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【30代の退職から学ぶ】キャリアを捨てた経験と得られた教訓

毎年この時期になると思い出す。3年も経過したが、未だにあの時のことを鮮明に覚えている。

コロナ禍まっただ中、2020年の年末に15年近く勤務した大企業の某車会社を退職した。

世間が大混乱している中、何か目的や目標を持って、次の転職先を見つけて退職したわけではない。

「ただただ辞めたかった」、「解放されたかった」その一心で退職を決めた。 しかし、この決断にいたるまでに多くの時間を費やし、悩んだ。

退職が脳裏にちらつきだしてから約7年の間、辞める辞める詐欺を繰り返した。

退職後に継続することの大切さ、辞める勇気、新たなことを始める難しさを学んだ。

どんな仕事してたの?

車両製造の製造部組立部門。車両製造において花形の部門とも言われ、工場オペレーターとして業務に就いていた。

コンベアー上で流れてくる車両に部品を取り付け、次の工程に渡す。テレビで放送されているような状態を想像してもらっていい。

オプションによって作業は変わるが基本的にはマニュアル通りにたんたんと同じ作業を繰り返す。

飽き性な人にはキツい作業かもしれない。自分で考えて仕事をするのが苦手な人や同じ作業をモクモクするのが得意な人は向いているかもしれない。

キャリアの形成  

職場の年齢バランスから、早い段階で育成され、技術が必要とされる業務や複数の業務を任され、業務管理、新人教育や後輩育成、社内研修参加など将来を見据えたポジション候補であった。

20代前半はとにかく働いた。上司にも恵まれ入社7、8年目では役職と同等の評価をしてもらい給与、ボーナスも上昇した。平均世帯年収を大きく上回っていた。

当時の上司は無口ではあるが今でも考え方や姿勢をとても尊敬している。私の人生で数少ない尊敬できる人である。

しかし、これを機にその上司も部署を移動し、変わりに来た上司に絶望し私の中で少しずつ壊れていく。

メンタル崩壊へ

年収が上がる喜びもあるなか、責任が増大し、ミスが許されない環境、ミスの対応が悪ければ公開説教、職場の雰囲気は風通しが良いとは言えず、新しい上司は仕事を知らないなどの理由で、少しずつ自身が悪い方向に変化していった。  

当時、会社の体質として「褒めて伸ばす」よりかは「叩いて伸ばす」昭和気質であった。私もかなり叩かれ、厳しい環境の元で育ってきた。

新人、後輩教育時にはつい口調が厳しくなったり、相手が理解していないまま次に進んだり、私に余裕が無くつい当たってしまっていた。

厳しい環境で育ち耐えた私は、相手にも同じ様なことを求めていた。正しくは自分に引き出しが無く、他の方法を知らなかった。

この時ぐらいから自身の価値の薄れ会社と世間のズレを感じ始めていた。仕事が出来ると思っていた私は実は全く出来ない、無能な井の中の蛙だと気付いた。

自信を失って以降伸び悩み、助けを求める事、相談することができず、何が正解かも分からず自己嫌悪におちいり、業務はこなすが泣きながら通退勤をしていた。

心身のバランスが完全に取れなくなり、産業医にメンタルクリニックを紹介されていた。

限界を感じ辞めたいと考え始めたが収入が途絶える不安、会社の肩書きを捨ててまで辞める勇気なんてない。

転職経験もなく、アラサーを前にキャリアを全て捨てれるのか。葛藤が長く続いた。

意を決して退職を伝える

あと数十年もこのモヤモヤした思いを抱えているのは無理。モチベーションも鎮火し、「もう、いいや」となり、退職を決意していた。
 
周囲からは勿体ないと言われ続け、自分の本音に向き合わなかった。ズルズルと続けていた原因。これは本当に良くなかった。

退職を上司に伝えた時は手も声も震えていた。初めての経験なのだから。普段冗談を言い合う関係性だが、様子を察してか真剣に聞いてくれた。引き留めてもらったが、私の意志は固く諦めた様子であった。

20代の私に伝えたいこと

20代の時、高卒コンプレックスを抱き、大卒に負けたくないことから稼ぎに執着していたのは反省である。

視野が狭くなりすぎて、もっと多方面から物事を見れたら選択肢の幅が広がったと思う。

もっと自分と向き合って対話すれば良かった。周囲に助けを求め、相談にのってもらえばよかった。

しかし、学んだことも多くあった。製造業界を中心に浸透したトヨタ改善方式の理解、人へ教育方法、教育していた側だからこそ分かる言語化する重要性に気付き、考えと思いを言語化できるようにもなった。

この当時の経験が現在の自分を支えてるのは間違いない。

30代で2度ニートを経験し、現在はリゾートバイト生活をしている。転落と言われれば転落だ。しかし、周囲に何を言われようが関係ない。当時よりも今の方が何倍も楽しい。生きるのが楽にもなった。

そして、20代の自分には感謝している。「よく頑張った」

読者に伝えたいこと

ここまで読んでいただいた方は、共感や過去の私に似たモヤモヤを抱えながら生活している人だと思う。

一社で働いてた私は退職し数年ぶりに新しいことを始めたが、難しさを痛感した。そして今も新しいことに挑戦し、日頃から難しさを感じている。

この難しさを越えるには継続することが大事と感じている。継続していることが自分にとって楽しいことか、やりがいを持ってやれているか、継続する理由を考えて、合わなかったら勇気と自信を持って辞めたらいい。

継続しなければ、辞める理由も見つかることもないと感じている。

あなたには沢山の可能性がある。年齢なんて関係ない。

自分にできない理由を探すことや言い訳をするのは簡単だ。自分の気持ちに素直になり、まず取り組むことが大事だと感じている。


人生で一番美味しく感じた煙草の味

退職日の青空、冬の澄んだ空気、全てのことから解放された安堵した。ようやく少しだけ前向きになれた。

過去、自分との向き合い方の大切さを記した記事を執筆しています。こちらも是非読んでください。
遠回りしかしていない不器用な生き方ですが、何かの参考になればと思います。




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