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「花束みたいな恋をした」を観た。
昨日、近くの銭湯に行ったら、
「今日は寒いね。昨日の方が寒かったけどね。」
と、後からはいってきたおばちゃんに話しかけられた。
私はその時、もう風呂場から出ようとして、フェイスタオルで身体を拭いていたけれど、珍しく地元の人に話しかけてもらったし、と思って、
「昨日はもっと風が強かったですもんね。」
と、ちょっとお話しした。
味の素の冷凍ハンバーグが美味しいこと、
食パンを食べると太ること、
イオンの玄米パンが美味しいこと、
おばちゃんは色んなことを教えてくれた。
へーそうなんですねって、乾いた身体を濡れたタオルで拭きながら話を聞いてたら湯冷めしてしまったので、もう一度湯船に入った。
おばちゃんに出身を聞かれる。長野の田舎の方だと答えると、長野の人は頭が良いとなんか褒められた。そんな事はないと思う。のぼせた。
湯船を出て、また身体を拭く。
おばちゃんはまだ話し足りないようで、今年の信州リンゴが美味しくなかった話をしてくれたけれど、また湯冷めしてきたし、2回も体の水を吸ったフェイスタオルは可哀想なくらいぐっしょりして冷たくなっていたので、
「あの、ちょっと、上がりますね。」
と、なにがちょっとだと思いながら、風呂場から逃げた。(長野のりんごを貶された悲しさからでは無い。)
ドライヤーで髪を乾かしていると、またおばちゃんが話しかけてきた。
「そこの大学って、同棲率と、自殺率が全国で1番高いんでしょ。今はどうなのか知らないけどねぇ。」
「そうですね、自殺率は知りませんが、同棲率は今も高いんじゃないですかね。」
「きっと寒いから、そうなるのよねぇ。」
「そうですね、それに寂しいからかなあ。」
「ひえー、そういうもんなの?」
若い子の感覚は分からないとおばちゃんは言う。
髪が乾いたので、コートを着て、
テレビを見ながらうとうとしている番台のおばあちゃんに「おやすみなさい」と声をかけて外に出た。
国道沿いの歩道で、先にあがったつれが待っていて「今日はなんか盛り上がってたね。」
と言われた。
私はさっき買った駅前のベーカリーで買った食パンの袋を持ち上げて「食パンは太るんだって。」と教えてあげた。
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今日は、Mちゃんの車で「花束みたいな恋をした」を見に行った。
モーニングを食べて映画館へ向かう。
上映開始まであと15分。
Mちゃんは、とめどなく続く車の隙間にえいっと入って行くことができない子なので、ナビが示す到着予定時刻はだんだん遅くなっていく。
私は、押しボタン式の信号機を、車がいないタイミングでしか押せない人間なので、彼女の気持ちがよくわかる。
坂元裕二の脚本は、そういう私たちを拾い上げてくれるものだと思う。
映画には間に合った。
映画の中で、荷物を捨てたトラックの運転手のセリフは、とても押井守っぽかった。(押井守というよりアニメ版攻殻機動隊か、プロレタリア)
最高に楽しめたけど、なんだか辛かった。泣くシーンじゃないのに右目からずっと涙が出てたのは、今朝失敗したアイメイクのせいか、それ以外のせいかは分からない。
映画館を出る時に、前に座った女の子2人が「号泣する映画じゃなかったけど良かったね」と言っていて、ぐっしょり濡れた使い捨てマスクを隠した。Mちゃんはそんな私を見て笑った。
トイレに行くと、同じ映画を観ていたアラサーの女の人たちが、映画の半券を写真に撮っていた。や、トイレでやるなよ。と、思った。
帰りに靴屋に寄って、劇中に出てきた靴を見ていると、店員のお兄さんに
「それ、ジャック パーセルってかたなんですよね」
って言われて
「はあ、そういう人が考えたんですか。」
と返すと、
「シリーズ、とかの型です。」
と笑われた。
恥ずかしくて買ってしまった。
疲れてるのかもしれない。
久しぶりに自分のアパートに戻って1人になった。
真っ白なジャックパーセルと、真っ黒な就活スーツを並べて、これからどうしようと思った。
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