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23歳

昨日の夜、また銭湯に行った。

風呂場に入ると洗い場に先客がふたり。脱衣所から見て手前にはぽっちゃりしたお婆さん。
そのふた席奥に痩せたおばさん。

私は、2人と背中合わせの洗い場に座った。
しばらくすると、若い女の人が入ってきて、痩せたおばさんの隣に座った。おばさんは「遅かったね」と言った。彼女達はどうも親子らしい。

私がシャンプーをしていると、ぽっちゃりおばさんが唐突に2人に声をかけた。

「おふたりは、姉妹ですか?」

そりゃあないだろうと内心思ったが、2人とも嬉しそうに、そうみえます?うふふと笑った。
ここで大事なのはふたりとも、という点だ。
ほお。
ふと、先週読んだワンピースの質問欄を思い出した。

「サンジが、ナミの事をナミさん、ロビンのことをロビンちゃん、と呼ぶのは、女性は年を取るごとに若く、若いうちは大人に扱われたい、という気持ちを持っていることを彼が知っているからですか?」

というものだった(微妙にちがいます)

たしかに私もそんな願望を持っている気がする。

もしかして、だから姉妹に間違えられた親子はどっちも嬉しそうだったんだろうか。これはだいぶ便利な言葉だ。今度使ってみよう。

しかしながら若くみられたい、と思うようになる境界線はどこなんだろう。わたしにも「ちゃん」と呼ばれたくなる時が来るんだろうか。

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今日、23歳になった。
誕生日はまだ嬉しい。

友達がくれた5年分の日記帳、きっと埋めることはできないけどなるべく書いて行けたらと思う。

焼き芋屋の車を追い越す速度で歩く、そんな時代をいつか懐かしいと思うのかな。

ここまでの22年間は、どこか社会見学みたいだった。だって、なにをやっていても、いつかは終わるし、出ていかなきゃならなかった。もちろんこの先も終わる事始まることの連続なんだろうけれど、社会見学ではなく社会にならなきゃいけないのか。そう思うと気が重い。
アリとキリギリスならキリギリスが良い。
そんな事いつまで言ってられるんだろう。

今日、23歳の幕開けは、実験の1日だった。
土曜日なのに、とか少しは思わないでもないが、失敗続きの実験が珍しく成功したので良かった。

20:19 研究室には誰もいない。
私もそろそろ帰ろうと思う。

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