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記憶にのこるもの

わたしの家はベランダが広い。8畳の部屋と比べると余計にそれが目立つので、うちに来た人は口々に「意外とベランダ広いね」という。
そんなベランダを有効活用するべく最近はベランダに椅子を置いている。そして室外機を簡易的な机にして灯りを置いてお茶を飲んだりなどしている。
外にいるといろんな匂いがする。
お隣さんはたぶん料理上手で、魚を焼く匂いがしたり、肉じゃがの匂いがしたり、毎日美味しそうな匂いがする。きっと少し遠いところのお宅では生姜焼きを作ってたんだろう、一瞬鼻をかすめた。
わたしは自分のために料理するのが面倒で、隣のおうちの食事の匂いをおかずにして、コンビニで買ったチョコスティックパンをむしゃむしゃ食べている。隣のおうちの子になりたい。

急に母が寝たきりになっていつ息をひきとるか(あるいはひきとらないのか)わからない今日この頃、ふと彼女について思い出すのは、高校の昼休みに食べたお弁当の味とか、風邪をひいた日のロールキャベツの味とか、成績の事で怒られて泣きながら食べたコロッケの味とかそんなのばかりで、ずっとふざけて言ってきた「母の作る赤味噌のアサリの味噌汁だけが唯一苦手な食べ物なんです」なんて言葉も今となっては後悔でしかなく、なんでそんなつまらない事を言ってたんだろう、過去に戻れるならあの味噌汁を何杯でも飲みたいとすらおもう。
大切な人が作ってくれたものをもっと大切に味わえば良かった。こんなに早く食べられなくなるならもっと帰っておけばよかった。

なんて、まあそんな事を言っても仕方がないので、わたしもいつか大切な誰かにあたたかなご飯を食べさせてあげられるよう、料理の勉強でもしようかな。
きっと、たべたモノ って驚くほど深く人の心に根付くものなのだろう。わたしもいつか誰かに料理で思い出してもらえたならそれは凄く幸せなことで、その時に「あれまた食べたいな」と思ってもらえたならそれは生きてた意味にすらなりえるんじゃないだろうか。とふと思った。

話は変わるが、明日人生で2回目の給料日なのだが、明細をみたら先月に比べて金額ががくっと下がっててちょっとショックだった。

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