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【毎日ひとつの非日常】No.020-026 実家の跡地に行く

毎日ひとつ緩い制約を課して、日常を縛りプレイする試みを続けています。4週目のおしながきはこちら。

No.020 1日に2回働く

朝7時に勤務を始め、夕方4時に会社を出る生活が馴染んできた。真面目と狂気のあいだにいる気もするが、この時計で動いていると、帰宅してから頭のOSを切り替えて別の仕事ができるようになった。

夕方帰宅するとそのまま布団に入り、2時間ほどして起きたら運動してシャワーを浴びて原稿に取り掛かる。遅い時間ではあるが眠さはなく、気持ちもスッキリしている。毎日というわけにはいかないけど、タイミングを選べばこのリズムでやっていけそうだ。


No.021 お弁当をInstagramに載せる

近所に破格の八百屋を見つけてから、自炊と弁当の割合が増えた。台所に作業台もできたので、毎回の弁当を写真に収めることにする。誰も僕の弁当に興味はないと思うので、それ専用のアカウントを開設した。

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「弁当男子」「おべんたグラム」などのハッシュタグで現れる映えた彼らには適わないが、撮りためると少しずつ見栄えを意識するようになる。基本的に茶色くなっちゃうのを何とかしたい。

だからというわけでもないが、「おべんとうと日本人」を再読した。加藤先生の人柄が現れたような文体と装丁にホッとする。ひとつの切り口(本書ではお弁当という超身近な題材)から多彩なテーマを掘り下げる構成は、社会学のお手本のようだ。僕の作ったふりかけプリンタが収録されているのは、ひそかな誇りでもある。


No.022 カメラを売る

年末年始で調子に乗ったツケで、月末の資金繰りが厳しくなりそうだ。手早く現金が必要になったので、手持ちのカメラを売りに出すことにした。

メルカリでは希望者が出るまで時間がかかるため、地の利を活かして秋葉原にカチこんだ。ヨドバシでの価格が相場より低く、しかし背に腹は変えられないのかと焦ったが、落ち着いてキタムラに移動。ベテラン感が漂うおじさまのていねいな査定の結果、6,000円ほど高額で買い取ってもらえた。これほど差が出るものなんだな。

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査定を待つスペースは病院のような匂い。初めてカメラ雑誌に目を通し、次に買うべき機種にアタリをつけた。本当に知らないことだらけだ。

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夜は渋谷のライブに行った。工学院大学の卒業イベントを兼ねていて、音響や照明をはじめセットリストまで学生が準備していたらしい。僕も裏方系のサークルに所属していたけれど、ギターを握ったり調整卓を仕切ったりする彼らはとてもキラキラして見えた。入学ガイダンスで憧れた場所に行ける条件は整っていたはずだが、僕はなんで挑戦しなかったんだろう。後悔というほど深刻ではないけど、何が自分を「動かさなかった」のか気になった。

MONO NO AWARE は「かむかもしかもにどもかも!」をラジオで聴いて「なんだこの珍妙な曲は!」と気になっていたバンド。早口言葉は序の口に過ぎず、全ての曲の歌詞がはちゃめちゃに面白く、もっと日本語に触れたいと思わされる。ボーカルの人がシャツインで昭和風なのにカッコよくて意味が分からなかった。

フレンズはいつも通り楽しく、ほぼ最前列で見れて眼福そのものだった。「夢を口にし続けるのは大事」という(おそらく卒業生向けの)言葉がぼんやり暮らす僕にも刺さってしまった。


No.023 実家の跡地に行く

仕事で市ヶ谷へ。3〜11歳の頃はこの辺りで過ごしていた。幼稚園に通う3年間住んでいた社宅は取り壊され、跡地にはオシャレなカフェができている。

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20年以上前に引っ越した場所なので、取り壊された時期を知らないのはもちろん、幼き僕は正しい住所さえ憶えなかった。

それでも大半が駐車場になっているのは物寂しいし、カフェに通う人たちは昔ここに何があったのか知る由もないことを思うと、場所の記憶が失われる無常さを感じずにはいられない。根元でアリ釣りを楽しんだ、あの大きな桜はどこへ行ったのだろう。意味もなく人形を投げ捨てた窓は、誰かの足元に埋まっているのだろうか。

今日は「過去を知る人」としてカフェラテを飲んでいるが、普段は「過去を知らない人」として誰かの失われた思い出の上で過ごしているのだろう。土地の記憶は誰かをセンチにさせる。


No.024 ミラーレスを買う

カメラを売って、カメラを買う。クレジットカードの錬金術を信じろ。取材がメインの用途なのだが、もうちょっとしっかり写真が撮れるようになりたい思いもあり、レンズ交換できる機体にチャレンジする。

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いろいろ調べたのだけど、結局は店頭で一番しっくりきたα6400にした。買取に出したRX100M3と同じSONY製でUIが馴染み、価格帯もちょうどよく、なにより「技術の上達に寄り添うカメラ」というPOPにグッときた。

レンズはひとまず一番シンプルなものをキットで購入。望遠などは欲しくなったタイミングで取り揃えよう。何より金に余裕がない。

No.025 真空成型機を買う

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この日は盛りだくさん。朝9時からの作戦会議は銀座ローズベーカリーにて。ふわっふわのスクランブルエッグはそれだけで尊いものだ。

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午後は友人を引き連れて、卓上真空成型機「V.Former Lab」のお披露目イベントへ。MakerFaire BayAreaで知り合い帰国後取材させてもらったラヤマパックと、前職でお世話になったできたデザイナーさん達が共同で開発した製品だ。僕が書いた記事がコラボレーションのきっかけになったようで、ライター冥利に尽きる。半分我が子のような気持ちで購入させていただいたが、家にオーブンがないことに気が付いた。

いったん帰宅したのち、渋谷で大学時代のサークルの集まりへ。本当に楽しい時間で、特に野郎共は頭が悪くて終始ゲラゲラ笑っていた。友達は最高。

No.026 Ring Fit Adventure を始める

正確には2日前にスタートしていたけど。期せずして一日二つ以上の非日常が訪れることもあるので、それは分散しても良いことにする。

全ての操作に筋肉を必要とする設計や、何の説明もなく「エクササイズバトルだ!」と語られる頭の悪さが最高。筋肉という切り口で何もかも解決する潔さにゲラゲラ笑っていた。意気込んで頑張ってやる難易度にしたら、最初の雑魚敵からスクワットを30回ほど求められて死ぬかと思った。

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