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"絆創膏はがし"がイベント化する世界

最近の長女、どこかしらに絆創膏を貼っている。

左膝に派手な傷をこしらえ、やっと良くなってきたなと思っていたら右肘、治るのを待たずに爪をむしって流血、といった具合だ。

「痛い〜」と半泣きで絆創膏を強請り、
お風呂に入るときに「しみる〜」と大騒ぎ。

そして、剥がすときもまたひと騒動。

「痛い痛い痛い痛い痛ぁーーー…くないや!
なぁ〜んだ〜へっちゃら〜ハハーン♪」

…正直うるさいw

と、自分のことはこんな風なのに、
他人のこととなるとめちゃくちゃ楽しむタイプだ。

夫も最近は地味に怪我が多い。

老いかな。

大好きな酒にも弱くなり、酔っ払っての帰宅中、ホームと電車の隙間に脚を ズボオッ っとはめてしまい、エグい打撲と傷を作ったのはコロナ前のことだった。

その時はあまりの酷さにこちらも肝を冷やしたものだが、そこまでではなくとも、以後もちょこちょこ傷をこしらえている。

そもそも、夫という人はものすごく痛みに弱い。

基本的には頼りになるのだが、怪我をした時のポンコツっぷりはなかなかのもの。
唾でも付けとけ!というちょっとの傷でヘロヘロしてしまう。

そんななので、傷を負ったことはもとより、絆創膏を剥がすのも怖くて痛くてたまらないらしい。

そんな夫の絆創膏を剥がすのを、長女が嬉々として担当する。

「いくよ?いくよ?」
「なに!なに!?ちょっと待って!!!」
「だいじょーぶだいじょーぶっ!」
「ああああああ」
「ハァーーー!!!」
「アアアアアア」

…毎回毎回、何を見させられてるんだという気になる。

しかも、お楽しみはイベントそのものだけではない。

終わってからも、痛がる父を反芻して、真似して、思い出し笑いで笑い転げる。

数日後にぶり返すこともままある。

たかが絆創膏はがし、されど絆創膏はがし。

コスパの良さがすごい。

子育てしていると、こんなのが日常である。
日常すぎて、記憶に残らないほどささやかだ。

だから記しておく。
絆創膏を剥がすだけのことにこれだけ大騒ぎしていた、馬鹿馬鹿しくも愛しい日々を。

こんな世界があることなど、
子を産むまでは知りようもなかった。
そんな世界で、いま生きている。



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