『小劇場』という言葉はもう使わない方がいい

小劇場(しょうげきじょう)とは、小さな劇場のことで、演劇分野においては日本で1960年代後半に誕生した演劇の1ジャンル(小劇場演劇)を指す

小劇場は小さな劇場を拠点とする演劇集団(劇団)及びその演劇(小劇場演劇)である。

Wikipedia より引用

※この記事の情報はふんわりとインターネットで検索した情報程度でしか成り立っておりません。あまり間に受けない方が良いと思います。



実は最近、トレンドを追うのを目的にTikTokを始めました。
本当は流行りに乗るのは個人的な嗜好として大反対、生理的に受け付けないレベルでのひねくれ者ではありますが、演劇が更に若い人に伝播してゆくためにどう言った広報戦略を取って行けば良いかインフルエンサーをお手本にしようとかいう極めて安易な発想です。


(果たしてTikTokが今流行りの先端に存在してるかどうかについては議論の余地がありますが、ここでは深く触れません。違うSNSが流行ってるのであれば教えてください)


それにしてもやっぱりあのノリはどうも受け付けない。
見ててしんどいです。
(個人的には)


一応、どう言うコンテンツが流行ってるのかざっと目を通した後、馴染み深い『演劇』や『小劇場』などで検索してみました。
するとなんだか不思議な動画に出会ったのです。


TikTokでは『小劇場』で検索すると日本人の若者が生活のワンシーンをやや誇張気味に表現しているムービーがいくつか見られました。
どうやらこれらは彼ら彼女らにとっての『日常のあるある』のようだと推察されましたが、そのような日常生活を送っていない僕にとってはまさに異界の出来事に等しいくらいに、見た際にその判断が遅れました。
一旦僕の日常生活についてはさておいて、これらを『日常のあるあるを面白おかしく表現しているショートムービー』だと定義した方が良さそうなのでそうしましょう。


さて、これらの動画で用いられている『小劇場』の用法については、上記で引用している通り、我々演劇人が使う『小劇場』の意味とは大きく異なります。


その実態をさらに調べてみるために『#小劇場』と検索すると、なんと中国圏の動画が数多く見つかりました。
そしてまさにその内容こそが日常のあるあるを面白おかしく表現したショートムービーなのでした。


これは一体どう言うことかと疑問に思い、日本語で言うところの『劇場』を中国語翻訳すると、ネット上では『剧院』と言う言葉に翻訳されました。
『芝居』や『演じる』などと言う言葉も『玩』と翻訳されている様子を見るに我々が言うところの『劇場』という単語は中国圏ではストレートに通じない可能性が高い。
(この辺が特によく調べてないところ)


一方、日本では茶番劇のことを揶揄した表現で『○○劇場』などと言う言葉もありますが、まさにここでの『劇場』の意味こそがTikTokで散見される『小劇場』のニュアンスに近のではないでしょうか。ルーツは不明…と言うより大して調べてないですが日本の『○○劇場』のニュアンスが中国に輸入され、『小』は日本の意味と大差はないですが「短い」などの意味とともに合わさり『小劇場』という言葉になって日本のTikTokユーザーに逆輸入されたのではないでしょうか。憶測ですが。


これからこの言葉が日本の若年層に浸透してゆくことを考えると、『小劇場』という言葉に演劇人と若年層の間で大きなギャップとして存在することになるでしょう。


演劇関係者でもなければ正直この『小劇場』という言葉を知らない方も多いと思います。
『小劇場』という言葉を流行らせるチャンスと見るか、語弊や誤解を産みかねない不便な言葉としてみるかは今後の演劇人の課題なのかもしれません。


まあ、そんなことは無いんだろうけど。

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