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「シャイニング」原作は別の意味で怖い。という話 ※ネタバレ含みます

最近スティーブン・キングの小説を読むのにはまっている。

「シャイニング」を読んだのだが、かの有名なキューブリック監督の映画とは違う面白さがあった。

〜以下、「シャイニング」原作や映画のネタバレも含みますので、知りたくない!という方は読まないようにしてください。また、とても個人的な感想ですのでご注意ください。〜


まず大まかなあらすじは以下である。

ある家族が冬の間だけ閉鎖しているホテルの管理をする仕事を引き受ける。
そのホテルでは次々とおかしな事がおこり、一家を翻弄していくのである、、、。

小説を読むと、キューブリック監督の映画はかなりビジュアルに特化した演出になっている事が分かった。
映画に詳しい妹に話をしたら、スティーブン・キング本人が監督した映画もあると教えてもらった。
まだ観てはいないのだが、原作に忠実な作りになっているようなので、近いうちに観たいと思っている。

物語の家族構成は、父親、母親、息子の3人家族である。
原作では、この家族の置かれている状況や両親の生い立ちについて、かなり細かく描かれている。

なぜタイトルで「別の意味で怖い」と書いたかというと、登場人物である父親の状況が、ある意味共感できてゾッとする部分があったからである。

この父親の職業は劇作家である。
一時は雑誌に載ったこともあったが、その後は劇作家としては稼げなかったので、教員の仕事をしていた。
が、暴力沙汰を起こしてしまい教員をやめてホテルの冬期管理の仕事を得る。
そのホテルには血塗られた歴史があり、ホテル全体が邪気に包まれていた。
その邪気を感じつつも、ホテルの歴史が創作の良い材料になると思い、ホテルで資料を探し続ける父親。

地下室で資料を探す父親

母親と息子は霊感があるため(母親は微かだが、息子は特に霊感が強い)ホテルから出て街へ行きたいと言うが、街へ出たところで暴力沙汰を起こした自分に残っている仕事は、働けども少ない給料しか貰えない仕事くらいである。
また、せっかく創作の材料になりそうなものが目の前にあるのに、それらを置いていけないという思いも後ろ髪を引かれる。
そうしてホテルに留まるうちに、父親は取り憑かれていくのである。

この劇作家である父親の設定を読み、共感できる部分があったので怖くなった。

創作活動を続けたいという思いと、家族と生活する上での先立つもの=お金を稼がなければならないという思い。
生活と経済が両立できるかと思いきや、ホテルの亡霊によって家族の幸せは成り立たない。
また劇作家として雑誌に載った出来事が、余計にプライドを増幅させる。

それらが現在の自分の制作活動と仕事の関係に少し似ていると感じたのである。

制作をメインに活動して行きたいが、なかなかうまく稼げない。
私には夫がいるが、夫も制作活動をしており、お互いが制作と仕事の両立で悩んでいる。
その中で2人が幸せに過ごせるのはどのような道なのだろうか。

そんな事をずっと考えているので、この「シャイニング」を読み進めるうちに、自分が段々とこの父親になっていくような感覚になり、怖くなった。

もちろん他にもたくさんのエピソードや展開、テーマがあり、どれもとても面白いのだが、私の中では上述した内容が1番印象に残った。

物語は読むタイミングによって、その人が抱えている思いや問題をあぶり出すのかもしれない。

数年先に読んだら、また捉え方が変わってくるだろうか。
違う捉え方ができるような時間を過ごしたいものである。

ご興味がおありの方は是非読んでみてください。

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