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イエナプラン教育とは?

令和3年年9月定例会で最初の一般質問を行いました。
この記事では質問のやり取りをまとめたいと思います。

質問のテーマは以下の二つです。

  • 公立小学校でのイエナプラン教育は実現可能か



浅野千紘です。
令和3年年9月定例会に当たり、通告に基づいて質問をいたします。
「イエナプラン教育について。」

新型コロナウイルスの影響で新潟県にも特別警報が発令されております。現状の新型コロナウイルス対策については取組が様々なされていると思いますので、これからのWithコロナ時代に重要になってくると思われる多様性についての質問をしたいと考えます。イエナプラン教育についてとパートナーシップのこの2点の質問は、今すぐどうにかすべきというわけではありません。政策のアウトプット、結果は翌年に出すことができると思いますが、アウトカム、効果というものは、そのようなものを出すには10年以上かかるというような政策もあるとのことです。そのような視点も持ちながら質問をし、考えていきたいと思っています。前置きが長くなりましたが、質問に入ります。


2022年春に広島県福山市の常石小学校にて、全国で初めて公立でのイエナプラン教育実践校が開校予定とのことです。私立では、2019年に日本初のイエナプランスクール認定校として長野県佐久穂町の大日向小学校が開校しました。ここで、少し長くなりますが、イエナプラン教育についてご説明します。イエナプラン教育とは、1923年にドイツのイエナ大学で教育学教授だったペーター・ペーターゼンにより教育実践を通した研究として始められました。現在イエナプラン教育が最も盛んなのはオランダです。1962年に初のイエナプラン校が創立されたことを皮切りに、教育理念、方法の自由をうたう教育改革の流れに乗って普及しました。現在では、オランダ国内に約220校のイエナプラン小学校があり、数校の中等学校もあります。この教育は、異年齢集団で活動するのが大きな特徴です。対話、遊び、学習、行事という4つの活動を通じて、一人一人の個性を尊重しながら自立と共生を学んでいきます。具体的には、1日の最初と最後には対話の時間があり、児童が全員円になり、一人一人自分の好きな話をします。その後、学習の時間になります。児童は、事前に1週間分、あるいは翌日分など、学びの計画を自身で立てており、それを実行します。また、学びの中には教科横断的に個人もしくは共同で探求する現在の総合の学習のような活動もあります。行事は、学校行事や誕生日などお祝い事、週1回開催されるミニ学芸会、新入生歓迎会、夏祭りなど、様々な催しのことです。さらに、評価について通知表は用いません。日頃から作文や絵、算数のプリントなどの学習成果物を各自でファイリングしており、学期末にその中から児童が保護者に伝えたいものを厳選し、学習ポートフォリオを作ります。そして、このポートフォリオと各教科のテスト記録を基に、教員と保護者、児童の三者懇談を行い、評価を返す形を取ります。このように通常の学習と同じ部分も多数あり、また全く異なる部分もある教育プランとなっています。個性を尊重しながら自立と共生を学ぶという、これからの公立の学校で足りないのではないかという部分を補う代わりにデメリットもあります。オランダの研究によると、学力面だけを見ると下がってしまう場合もあるようです。しかし、私はこのイエナプランを知ったときに、当市でもイエナプラン教育の土壌があるのではないかと思いました。また、これからは公立の学校でも選択肢があることが重要であり、必要になるのではないかと考え、以下質問いたします。

  


【Q1】
公立学校でのイエナプラン教育について。イエナプラン教育の特徴として、マルチエイジグループ、異年齢集団での学習がありますが、当市の小学校でもそのように1つの教室に違う年齢の生徒で学習する場面はありますでしょうか。ある場合は、どのような学習になりますでしょうか。

  

【A1】糀谷正夫教育委員会事務局学校教育課長
浅野議員の見附市の教育とイエナプランに係る質問にお答えします。
まず、異年齢集団での学習に関わる質問についてですが、各学校における学習場面では、学習指導要領に準拠した内容であることを原則としつつ、みつば3校を中心に複式学級、異学年集団として国語、算数以外の様々な教科の学習を行っています。また、みつば3校以外でも、例えば6年生と1年生が一緒に体育の学習を行う場面もあり、加えて通常の学習以外にも体育祭や運動会、いじめ見逃しゼロスクール等で小学校と中学校の校種を超えた活動を展開しています。ほかにも、清掃や行事の集団づくりにおいて、豊かな社会性を育むために異年齢、異学年での集団を組織し、活動を行っているところです。



  
  


【Q2】福山市は、変化の激しい社会をたくましく生き抜く子どもの育成を目指す福山100NEN教育を宣言し、その理念とイエナプラン教育が一致したため、同プランの導入を決めました。当市の教育理念である「見附は今、個が輝くとき」教育創造都市“みつけ”には、イエナプラン教育との親和性はありますでしょうか。
 

【A2】
次に、見附市の教育とイエナプラン教育との親和性があるかについてお答えします。イエナプラン教育は、3学年の子どもが一緒になる異年齢グループをつくり学習することが特徴の一つであり、その中で一人一人の個性を尊重しながら自立と共生を学ぶことを理念としています。国内では、広島や長野県の学校がこの理念に基づくカリキュラムを作成し、実施しています。見附市の教育は、共創教育の理念を核にして、ふるさと見附を愛する子ども、世に役立つことを喜びとする子どもを育てることを大きな目標としています。このような子どもを育てるために、学校、保護者、地域の大人が総がかりで子どもの育ちに関わることで教育の質の向上を図っています。目指している方向については、イエナプランと重なりがあるものと受け止めています。



【Q3】
将来的に当市でもイエナプラン教育のような教育プランを一部の小学校などで取り入れる可能性はありますでしょうか。

【A3】
次に、将来的にイエナプラン教育を取り入れる可能性があるかについてお答えします。市内全ての学校において、共創教育の理念の下で、学校、保護者、地域の大人が総がかりで子どもの育ちに関わることで成果が上がっていると認識しています。直ちにイエナプラン教育を当市の教育に取り入れることは現段階では考えておりませんが、様々な教育方法のよさはこれからも積極的に取り入れていきたいと考えております。



【Q4】
今後公立小学校でもイエナプラン教育やモンテッソーリ教育など、現在行われている教育方法と異なる教育と通常行われている教育方法は並行して行うことができる、またはそのような方向性にしていくべきだとお考えでしょうか。


【A4】
次に、イエナプラン教育やモンテッソーリ教育など、現在の教育と異なる教育方法は並行して行うことができるかについてですが、公立小学校においては国が示した学習指導要領の内容と方法に基づいて教育を推進することになります。各市町村においては、国が示した教育について、その質の向上を目指して、各地域のよさや教育資源を生かした教育方法を取り入れていくことが有効であり、どのような教育方法を取り入れるかは地域の実態を踏まえて検討すべきものと考えております。
  


【Q5】
イエナプラン教育と移住について。ア、広島県福山市の常石小学校の2021年度の新低学年の受入れに当たって、2020年10月に行った説明会では延べ202名が参加したそうです。さらに、福山市では移住者も受け入れており、東京や埼玉県などからこの説明会に参加した保護者もいるとのことです。また、入学が決まった約20名のうち半数は市外からの応募です。このように移住の条件の一つとしての教育環境の整備についてはどのようにお考えでしょうか。


【A5】
 次に、イエナプラン教育と移住に係る質問ですが、広島県福山市の小学校の例のように、市外からの移住者がその地の教育に関心を持つことは当然として受け止めております。市では、これまでも子育てするなら見附という言葉を前面に出して、教育委員会でも各種施策を講じて学校教育や子育て環境をより魅力あるものとするように努めてきました。教育の理念は人づくりであり、決して移住のための政策ではありませんが、ふるさと見附を愛する子ども、世に役立つことを喜びとする子どもの育成につながる教育環境を整備し、子どもをしっかりと育てることを通じて、結果的にその教育施策が市内外に評価され、移住のきっかけとなるように情報発信していきたいと考えております。
以上でございます。

 


◆浅野千紘 それでは、再質問をさせていただきます。


【再質問Q1】
それでは、イエナプラン教育のほうから再質問させていただきます。
まず、広島県福山市のイエナプランを導入した経緯なのですけれども、以下のように検討がなされたとのことです。認知科学者の協力を得て、2つの小学校の1年生を1年間毎日観察し、言葉や数の習得過程を研究しました。すると、一人一人の学ぶスピードや理解度が異なることが改めて認識されました。この調査結果を受けて、従来の一斉授業やテストの在り方を見直すことにし、子どもが主体の学びを目指し、2018年から7つのパイロット校を中心に、各教科や総合的な学習の時間に異年齢での学びを実施し始めたとのことですが、もし見附市でこのイエナプラン教育が検討される段階になったとして、このような認知科学者などのデータを得るためにそういうパイロット校などが必要だと思うのですけれども、そういうものについてはどのようにお考えでしょうか。


【再質問A1】糀谷正夫教育委員会事務局学校教育課長
再質問にお答えします。
現段階で当市が行っている教育からそれをイエナプラン教育に丸々変えるというようなことはまだ考えておりませんけれども、各学校の教育活動について、パイロット校を設置したりだとか、それから教育活動がどのように取り組まれているかということを専門性の高い大学の先生等から指導していただくという手法はとても大切なことだと思っておりますし、現在でも当市でそういうような新潟大学の先生から学校評価について指導いただいているような取組も行っておりますので、継続していきたいと思いますが、現段階でイエナプラン、今の教育を変える、変えないというような議論には至っておりません。
以上でございます。


【再質問Q2】
私も現段階ですぐに検討するなどというのはまだ難しいと思うので、このイエナプラン教育などの土壌が見附市にはあるのかなというふうに考えておりますので、そういうところを伸ばしていくといいのかなと考えています。

先ほど見附市の教育理念との親和性があるかどうかという問いに対して、重なりがあると思っているというふうにご答弁をいただきましたが、教育長のほうにもお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。


【再質問Q2】渡邊茂夫教育委員会教育長
再質問にお答えいたします。
ふるさと見附を愛する子ども、世に役立つことを喜びとする子ども、これはやはり自立と共生、その姿の一つであるというふうに受け止めておりますのでそういう点で先ほど学校教育課長が重なりがあるというふうにお答えいたしましたが、私もそのように考えているところでございます。
以上でございます。

  


【再質問Q3】
私もイエナプランを聞いたときにそのように考えて、親和性があるのではないかというふうな意図で質問させていただいたので、同じ意見だなと思っています。
もう1点再質問なのですけれども、現状の教育の方針とイエナプランではやはり違う部分があると思うのですが、もしこのイエナプランを検討する段階になったときに、公立学校として現状の教育と違う教育が並行して行われるということについてはどのようにお考えでしょうか。


【再質問Q3】糀谷正夫教育委員会事務局学校教育課長
再質問にお答えします。
イエナプラン教育についてのよさについては先ほどお話もしましたけれども、それらは部分的には現在の各学校での教育活動にも取り入れているところであります。ただ、並行してというのをどういうふうに捉えるかということだと思うのですけれども、見附市、先ほどお話をしましたが、いいものについては各学校で積極的に取り入れながら、今の教育活動を見直し、改善しているところでありますので、並行しての捉え方の問題だけだと思いますけれども、十分今の教育活動の中によさは取り入れて各校行っているというふうに認識しております。
以上でございます。



【結び】浅野千紘
イエナプラン教育については、初めて言葉を耳にしたというような話もいただいており、今すぐということは難しいことも承知しておりますので、公立の学校でもこのような教育方法でやっているところが全国でもあるのだということを承知していただいて、今後の見附市に生かしていただきたいなと考えております。







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