Yの遅刻

午前11時のファミリーレストラン。
WはYを待っている。

Wが伝票を持って立ち上がると、Yが現れた。
向かいに座ると、
「何食べようかな」
とメニューを見る。
「1時間も遅れてるよ」
「ああ。昨日夜勤で、携帯を充電し忘れて」
「連絡がないと困る」
「ごめんって」
Yは笑う。

Wはトイレがあくのを待っている。
ふと席を見ると、たくさんの人の中に、小さく、Yの背中があった。
Wは首をかしげた。

YはWを待っている。
だけど、Wはもう現れなかった。

#短文バトル


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