エクササイズに固執しない(エッセイ・動き続ける 53 月刊トレーニング・ジャーナル2022年8月号)



森下 茂

連載「エッセイ・動き続ける」目次ページ
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個別セッションのメリット

 4月末より、チームでのムーブメントセッションとは別に、授業の合間に時間を決めて個別セッションを実施することになった。対象者は、希望者とスキルコーチから指名があった選手、20名ほど。全体セッションでは伝えづらい細かいやり取りができるのが個別セッションのメリットなのだが、改めてその効果を実感している。たとえば股関節を屈曲内旋させるヒップヒンジという動きがあるのだが、これはむちゃくちゃ大切なのだが、感覚を掴むのは難しい。その感覚を掴むのに、私が選手の身体に直接触れて動きを誘導することもできるのだ。

 また、直接身体に触れないまでも、自分の身体に意識を向けさせることで動きを改善していくアプローチは、個別セッションのほうが向いている。いわゆるインターナルキューイングというやつだ。

キューイング

 一方、20〜40人のチームセッションではインターナルキューイングはあまり向かない。先ほど挙げたヒップヒンジという動きを導くのに、「股関節を曲げながら、かつ内旋して」と伝えても、多くの選手の頭は「?」のまま。

 ならば、立った姿勢からお尻を引くときに、「できるだけ後ろにある壁の高い位置にお尻をタッチしてみて」と伝えてみる。身体の内側に意識を向けさせるのではなく、外側に意識を向けさせるのだ。そう、エクスターナルキューイングというものだ。スキップを高くしたいときに、パートナーが手で頭の上の方を示し、「この手に頭が触れるくらい高くスキップして」と。エクスターナルキューイングは、多人数や子どもたちの指導にはとくに向いているように思う。

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