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ギークス! ※無料化させました

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※一部コンテンツをnoteから移行させるため、全文無料化させました 「お願いだから幸せになって」 福祉バカのゲイ・聖とワケアリの女装家・夏希が、人への優しさを抱いて生きるとは。…
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記事一覧

ギークス! 聖の章(1) 友達のこと

 僕には、不思議な友達がふたりいる。 「……あの、これ原宿のノリかい?」  と僕は言った。…

ギークス! 夏希の章(1) 脱いでくれと言われたこと

 父の、非常に長く詳細な手記が見つかりました。  今までずっとひた隠しにしていましたが、…

ギークス! 聖の章(2) 施設職員を辞めた日のこと

 田んぼと畑が広がるこの田舎で、友達もいなくて金もなくて、となると、暮らすのが辛い。  …

ギークス! 聖の章(3) VS.親御さんとマコさんのこと

 僕と琴子さんは昔から、仲がいいかどうかはともかく、よく一緒に出かけたり遊んだりしていた…

ギークス! 聖の章(4) ゲイと豚野郎とシモのこと

 琴子さんはマコさんと結婚して、子供を産む気満々だったのだ。  いいよねぇ、女の人って。 …

ギークス! 聖の章(5) うちの人はみんなアレだということ

 ぶっちゃけ、うちに住んでる人はみんな変わっている。  最近、琴子さんがご飯を炊けるよう…

ギークス! 聖の章(6) 女装男子は純女の夢を見せられるか、ということ

 ニワトリさんがうちに帰ってきてからしばらく経って、今はもう、日差しの強い季節になり始めていた。  夏希というその、彼の名前が眩しかった。 「ごっきげんよぉーう!」  と言うその姿はとっても元気で茶目っ気もあって、力強くも可愛い瞳をしていた。  パリッとした半袖のブラウスや、デニムのタイトスカートからのぞく、白くて柔らかそうな肌が大人っぽかった。  でも、決して品がないわけではなくて、やっぱり「ごきげんよう」の挨拶が似合うだけのしなやかさがある。  ツヤツヤした亜麻色の長い

ギークス! 聖の章(7) 続・女装男子は純女の夢を見せられるか、ということ

「ニワトリさんって、天ぷら揚げるの上手ですね」 「いやぁそれほどでも」  夏希さんが泊まっ…

ギークス! 聖の章(8) きらめきのこと

 僕は本当に無力だった。  それでも、次の日には僕は日雇いのバイトでとりあえずのお金を稼…

ギークス! 聖の章(9) 「男が好き」と言い張るリスクと、それでも好きだというこ…

 あぁまずい。  こんなとこで、女装家のすっぴんに対して心揺れるわけには。  抱きつかれる…

ギークス! 僕らの章(1) 何者でもない、りんごとみかんのこと

 で……そういうとこで、ラブストーリーが突然に始まる系の主題歌が脳内を流れたのは過去の話…

ギークス! 夏希の章(2) 無名だということ

 本気になるのが遅すぎたということか。  当時の僕は胸が痛んだというか、もはやそこまでの…

ギークス! 夏希の章(3) 氷上と僕の、仲と「中」のこと

 こんなに、こんなにも腫れ物に触るような雰囲気でいいのだろうか。  やっぱり……かつての…

ギークス! 夏希の章(4) 澄プロ最後の仕事のこと

 これが、澄プロダクション最後の日……  今日の僕の仕事は番組ナレーションだった。  相手が金持ちのオタクでオープンリーゲイって……まさしく鬼に金棒である!  ゲイヒエラルキー最下層と呼ばれる女装っ子、要するに僕は、ただただその鬼のコネに乗っていた。 「しっかしねぇ……今回のゲスト、すごいです。よくぞ来てくれましたってね」  バラエティー番組の司会をする彼。  背が高くて筋肉質で、おまけに金髪でメガネで、ピンク色のストールを巻いているとか、もうネタとしか思えない見た目である。