私になるまで28

43歳の誕生日が目前6月。母に付き添われて、クリニックの乳腺外科にあしを踏み入れる。受け付けが終わり、看護師の問診。私は何歳ですか?と聞かれ、まだ42なのに「43歳です。」と言ってしまう。若く鯖を読むならまだしも1つ歳を多めに言うなんて。余程緊張してたんだと思う。問診の後、「マンモグラフィ撮りますけどいいですか?」って言われ首を縦に振る。検査室で上半身裸にされ、検査機器の前に立たされ技師さんに「ちょっと痛いけど頑張って!」といわれ、こことここ持ってと指示され、あれよあれよという間に、洗濯板のような私の胸を引っばり寄せ機器の間に挟む。ちょっと痛い?何?めちゃくちゃ痛いやんか!無い胸を挟まれてこえも出せない。時間的には差程かからず両胸同じように挟まれ検査を終える。次は診察室へ、田舎のおっさんのような先生が、画像を見て、右胸の端に1cm未満の腫瘍あると、説明され、多分良性だと思うから早く取ってしまおう。と2週間後にこのクリニックで摘出手術することになった。

2週間後、朝は抜くようにと言われ、お腹をぐーっと鳴らしつつ、クリニックへ。平常心平常心!と思いつつ、心臓はバクバク言っていた。看護師に連れられて、手術室に入って台の上に寝かされて局部麻酔がかけられ手術が始まる。色んな器具の音が聞こえ、何か切ってるなと痛みはないが、感覚的に分かる。時間的には長くなかった。「取ったよ」って先生に言われ、見ると、米粒みたいな白く輝くものを見せられた。服を看護師に着せてもらい、30分程やすんで、家に帰った摘出したものは念の為検査に出すという事だった。

ホッとして検査結果を聞くはずだったが…結果を聞く前日に来て欲しいと連絡があった。心がわさわさする。嫌な予感がした。「これ悪性やった。ちょっと寝てる間に悪い部分取るから、ちょっと遠いけど和歌山市内の病院まで来てくれるか?」頭が空っぽになった。考えていたのは手術の日がゆずライブのチケット先行の最中に重なっていた。「ガーンチケット取れへんかも、」こんな時にこんな事を考えてるなんて家族も周囲の人たちも思わなかっただろう。その時SNSでゆずチケット取れへんかも!って呟いたら、大丈夫!それならまだ期間内間に合うから。とゆず友に励まされる。その後2週間後和歌山市内の病院に行くことになった。

しかし、ゆず馬鹿なのにも程がある。自分でも呆れていた。家族はガンと聞いても平気な顔の私をすごく強いなんて言ってたが、ゆずのおかげで手術することについて深く考えずに済んだのだ。こうして、父の車に揺られて、病院へと向かった。

今はまだ修行中の身ですが、いつの日か本にしたいという夢を持っています。まだまだ未熟な文章ですがサポートして頂けたら嬉しいです。