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私になるまで48

また大荷物を車に積んで、病院へ向かった。娘に私の部屋を貸切にしていいのを条件にインコの世話をお願いした。後ろ髪を引かれる思いで家を後にする。

手術まで一週間あったが、その前に前の筋肉の筋をもう一本切る事になっていた急性期病棟に到着。すっかり顔見知りだった私は「ちかちゃんお帰り。」と言われる始末。

親は病院の手続きだけして帰って行った。病室に案内されると、6人部屋の奥のベッドにハローベストをつけた人が二人いた。〘 あれぇ、おっさん?しかも2人もいる!〙と、思ってたが、2人は女性だった。入院の少し前SNSで首の手術を受けた女性と知り合い、彼女の友達が数週間前に手術したと聞いていたのをすっかり忘れていた。ハローベストをつけたおっさん、いや、おばちゃんが私のベッドに近づいてきて「Mさんのお友達ですか?」

声を聞いて、ようやく女性だと気づき、「私ね。おっさん2人もいる!って思ったんです。」と言うと、めちゃくちゃ爆笑された。その後から、すっかり仲良しになり、楽しい入院生活はスタートする。

って思ったら、首の筋肉を切る朝、リハビリ科のPTの先生が来た。やっぱりリハビリやるやん!まぁやらないと筋肉は痩せていくから、ある程度は仕方ない。

今回も前と同じく、退院後の希望を聞かれた。やっぱりあれしかないでしょ(笑)

と、「歩いて…」と言ったあと、言葉が詰まった。PTの先生が「うん?歩いて帰りたい?」思いっきり首を横に振る。おー危ないことしてしまった。と思いながら、「歩いてゆずライブに行きたいです。」と、私。すると、先生「僕15周年記念ライブ行ったよ!」

「私も行った!2daysだったよね!」笑顔が溢れる。「あの時いたんですか?」「いたんです!」

それにもうひとつ偶然にも、同じ大学の卒業生だった。

昼からの首の手術は、あっという間に終わった。夜は少し痛みが、あったが、翌日から病棟内で筋トレが始まる。次は本番、

1年前は天王寺でしか出来なかった手術は、私の後から、北摂の病院でできるようになっていた。まさか2回もハローベスト様をつけなければならなくなるとは夢にも思わなかった。

手術の前日の夜は、偶然にも花火大会だった。急性期病棟からでは見にくいと看護師が西病棟に連れて行ってくれた。昨年の花火大会は涙の溢れる中見たが、この時は、涙の欠片も出なかった。その代わりため息がはぁ〜と、出る。その前日先生が来たので「手術しても歩ける?」と聞く。「歩ける。」はっきりとそう言った。

信じるものは救われる!

私もここまで来たら逃げる訳には行かない。先生頼むよ!

幾重にも花が咲く夜空を見ながら、そう思った。

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今はまだ修行中の身ですが、いつの日か本にしたいという夢を持っています。まだまだ未熟な文章ですがサポートして頂けたら嬉しいです。