『チャンドラー短編全集4 雨の殺人者』 作者:レイモンド・チャンドラー,(翻訳)稲葉 明雄
この短編全集シリーズには各々巻末に訳者あとがきが掲載されているが、本書では特別にあとがきの他に、訳者による「フィリップ・マーロウ誕生の前夜」が寄せられているのだが、これがいかにもこの全集の最終巻に相応しい。
レイモンド・チャンドラーの長編作は、幾つかの中編作を元にしていることが殆どなのであるが、その組み合わせ方を読み解くのもなかなか一興である。
本書に取り上げられている「雨の殺人者」は、チャンドラー初の長編作である「大いなる眠り」で主となる事件のあらましがコンパクトに描かれ