『引擎/ENGINE』 作者: 矢作 俊彦
築地署の刑事である游二(りゅうじ)は、張り込み中だった。このところ派手に稼いでいる高級外車窃盗団の、次の犯行予定を情報屋から仕入れていたのだ。
今回の盗難の標的はマイバッハ。駐車場を張る游二たち。しかし、早朝の銀座の街に唐突に響いたフェラーリV8の咆哮がうるさい。持ち場を離れ爆音の主を探した游二は、無理矢理フェラーリのエンジンを詰め込んだ黒いセダンを見た。
降りたのは黒いタンクトップを着た黄金色の髪の女。背中に裂傷の痕。
女は、銀座ティファニーのショウウインドーを覗き込みなが