『スズキさんの休息と遍歴―またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行』 作者:矢作俊彦
矢作俊彦は1972年に小説家デビューした。
流麗な文体、レイモンド・チャンドラーを彷彿とさせる比喩表現などを絶賛され、ネオ・ハードボイルドの旗手として名を馳せた。小説以外でもラジオドラマの脚本、漫画の原作、ラジオのパーソナリティーや、映画監督などと幅広く活動をしていたが、いずれの作品もハードボイルドをそのジャンルの前提としていた。
しかし、それも70年代、80年代までのこと。1990年代以降は作風の幅を大胆に広げ出した。
私は、たまたま古本屋で見かけた妙なタイトルの小説でそ