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3年間のコロナ周りに関して思うところ、あれこれ

みなさん、お久しぶりです。
ナースあさみでございますよ。

最近は、いや最近も料理や読書ばかりしておりまして、安寧な日々を送っております。


なんですが

5月8日から、新型コロナウィルス感染症の扱いが感染症2類から5類へ移行することになりました。

はっきりと明言はされていないものの、なんとなくの収束宣言感がありますよね。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000739517.pdf

5類とか2類とかなに?って方のために、上記に感染症分類の表を載せておきます。

ものすごくざっくり言うと、今まで国が保証してくれてた諸々がどんどんなくなっていくよ、という感じ。
個人的に一番大きな違いは、「入院しなきゃダメ!」と「仕事いっちゃダメ!」の権限を国が持たなくなることだと思っています。

ちなみに、いまだに年間1500人以上が亡くなっている結核という病気は、排菌(咳などで結核菌を外に撒き散らす状態)してたら即入院&隔離です。
ひぃ。

PCR検査や抗原検査も自己負担(普通の人は3割)になっていくでしょうし、コロナに関する治療薬(レムデシビルやラゲブリオ)もいつまで公費負担を続けるのか。

実は、問題そのものが解決に向かっているわけではないんですよね。
こちらの考え方&捉え方を変えていこうよ、という節目に突入したんだとわたしは考えています。


2020年以降、幸か不幸か

  • コロナのワクチン接種

  • コロナ療養者のコールセンター

  • コロナ専門病棟

で、いろんな方とお会いし、いろんな療養者と関わってきました。
もうね、みんなほんといろいろなのよ。
病態いろいろ、人生いろいろ。

SNSでは最前線の現状を訴える医師や看護師、地獄のような療養生活のコンテンツを多くみかけましたが、いかにドラマチックか勝負みたいな側面もあって、わたしは話1/2、いや1/8くらいの温度感で見ておりました。

ほんとうにひどい症例が、SNSで共有されるわけないでしょう?

それに、実際の療養中の人の様子や暮らし、家族の様子、自治体のスタンスはあまり見えてきませんでしたよね。

無症状で療養を終えて、保険金だけしっかりGETしてるような方も中にはいるんですよ。それがいい悪いの話ではなく、そういう人は、わざわざこの話を人にするでしょうか。

そこで今回は、ナースあさみから見たそのあたりの話をしていこうと思います。コロナとは、どんな病気だったのか、そしてどうなっていくのかまで話せたら。


病院内でやっていたこと

入院の対象となるような人たち

自宅療養者の中には、「具合が悪いので入院させてほしい」という要望を訴える人がそこそこいましたが、全員入院させてたらキリがありません。
だから、国は自宅療養をお願いしてるのに!という感じ。

こちら側の入院ボーダーとしては

  • 脱水症状がひどい(水が飲めない、下痢が止まらない、など)

  • 呼吸器症状がひどい(酸素飽和度の低下がある、呼吸困難感がある、など)

  • 意識が危うい(意識が朦朧としている、意識がないなど)

  • 介護が必要な状態なのに、家に頼りになる人がいない

あたりでしょうか。

国の本音としては、自宅療養をお願いしているのに家で勝手に死なれたら困るわけです。国の責任になってしまうので。でも、全員を入院させるのは現実的じゃない。そのため、細かく状態をその都度スクリーニングして、ヤバそうな人を入院させる、という流れになっていました。

まぁ、2022年の夏の感染爆発期では、そのプロセスも破綻したのですが。

そうそう、救急車を呼ぶ=100%入院になるわけじゃありません。救急車を呼んでも実際に搬送される人は絞られますし、搬送されても入院になる人は絞られていきます。救急隊の判断で、この人は搬送する必要がない→不搬送で終わるということもままあります。

実際に聞いたような話だと、八王子に住んでいる人が入院したがって救急車を呼んだけど、空いてる搬送先が新宿しかない。行きはいいけど、帰りは療養が明けた一般人と同じ扱いになるのでタクシーなり電車なりで自力&自費で帰宅することになる、それでもいい?

ならやっぱいいです、家でがんばります
というパターンですね。

いいんか〜い!と思わずツッコミをいれてしまいそうになるんですが、入院したい=不安なだけ、というパターンも結構あるんですよね。

反対に、救急隊が無理やり説得して搬送→即入院&呼吸器装着みたいなパターンもあります。

本当に重症なのかどうかというのは、プロであっても調べてみないとわからないんです。


点滴たち

レムデシビル、点滴だとベクルリーといいます。

簡単にいうと、抗生剤のようなものですね。
わたしの勤める病棟に入院したコロナ陽性患者は、もれなくこれが投与されていました。

ただ、これで劇的に改善するかといえば、人によるとしか言いようがありません。

特に、高齢者の場合には、コロナ感染を契機に誤嚥性肺炎になったり、尿路感染になったり、心不全になったり、腎不全になったり、下痢から脱水になったり、いろんな負の連鎖が起こります。それに応じて、点滴で薬が投与されるケースも多々ありました。

ちなみに、このベクルリー、大変お高いです。

わたしの病棟では5日間、計6バイアル使用するのがデフォルトとなっていたため、もしこの治療薬が完全自己負担だった場合、36万円前後かかることになります。ひぃ。

コロナに関する諸々をずっと公費負担することが現実的ではない、というのが伝わるでしょうか。


呼吸器管理

呼吸器を使えば助かるのでは!と考える方も多いんですが、呼吸器も薬と一緒、使用することで起こってしまうデメリットというものが必ずあります。

くわえて、コロナ感染症の患者に呼吸器をつける場合、患者の吐いた吐息が空気中に舞うのは避けたいですよね。

けれども、呼吸器の種類には患者の吐いた吐息を機械の中でうまく循環させるタイプとそうでないタイプがあります。そうでないタイプを、コロナ患者に使うことは望ましいとは言えません。

そのため、呼吸器管理が絶対正しいわけではないんです。

酸素投与もそう。吸えばいいってもんじゃない。
高濃度の酸素を浴びることで、逆に体内から二酸化炭素を吐き出せなくなるナルコーシスという状態に陥ってしまう患者もいます。


わたしの勤める病院は、大きな病院ではありません。
そのため、呼吸器管理が必要な状態になった場合、他の大きな病院をあたるわけですが、感染者数が増えているときほど、どこも受けてはくれません。

もうすでに、そこにある呼吸器は誰かに使用済なんです。

「どこも見つからないってどういうことですか?」
「見つからなくてダメだった場合、もうおわりってことですか?」

このセリフ、言われたのは一度や二度ではありません。

全患者を助けることが理想ではありますが
現実には、そうも言ってられません。
助ける人を&助けない人を選ぶ、というプロセスが発生します。

あなたたちよりも、若い方がたくさんいます。
治療をすれば、ほぼ助かると見込める人がいます。
彼らにはこの先、何十年と生きる未来が待っています。
あなたたちは、もう十分生きたでしょう。
あなたの今後10年と、あの子達の今後10年を天秤にかけるとしたら

という究極の選択を、臨床ではおこなっているんです。

ある医師は、患者家族への説明の際に、「適応外」という言葉を使っていました。

全力で治療をするには、状態的に適応外です。
点滴と酸素で助かればラッキーだと思ってください。

このセリフ、OKストアで見切り品コーナーにいる玉ねぎは、新宿伊勢丹の野菜売り場には並べられないに等しいなと思いながら、わたしは横で聞いていました。

正しくて残酷、ですよね。


治っても帰れない

既往のない人や若い方ならいいんですが、高齢者ほどスムーズな退院は厳しかったです。っていうか今も厳しいです。

自宅からきた人は7日間
高齢者施設などからきた人は10日間

個室に隔離されて、入室してくるのは防護服をきた医療従事者だけ
しかも、その入室も当然ながら接触回数を減らしたいので最低限だけです。

そりゃ体力も落ちるし、気持ちも病みますよね。
認知力が低下し、寝たきりに近い状態になってしまう人もいました。

自宅での10日間療養も、それなりのものがありますしね。

自宅に帰れない人たちは、リハビリしたり退院調整したりで1ヶ月以上の入院となってしまったケースもありました。

ベッドがすぐに空かない理由は、こんなところにもあります。

コロナでよくみた薬たち

ここからは、自宅療養者とのやりとりでよくおみかけしたお薬たちのご紹介。
備えたい人は、かかりつけ医に相談してみてくださいね。

まずはとにかく解熱剤

  • ロキソニン(ロキソプロフェン)

  • カロナール

  • アセトアミノフェン

この3つを、本当によーーーーく見ました。
すべて、解熱鎮痛剤になります。
さすがにみなさんご存知だと思うので、添付文書(薬の取説的なもの)は割愛。

もうさ、コロナを一発で抑えてくれる薬なんてないわけです。
風邪もインフルエンザもそうでしょ?これを飲むとあら不思議、元気なわたしに元通り!なんて薬があったら、とうに開発されてますって。

熱が出たり
喉が痛くなったり
咳が出たり
頭痛がしたり
めまいがしたり
関節痛がおきたり
だるさがあったり

そういうのを安静に過ごすことで、徐々に治していくのです。自分の身体を治すのは、自分の身体なんです。

「解熱剤を飲んだのに熱が38℃より下がらない」なんて相談の電話もあったりしましたが、そういうもんです。身体の中で免疫に関する細胞が熱をあげることで戦っているのですよ。Netflixやアマプラ見てないで、休んでください。

ラゲブリオ(抗ウィルス薬)

医師が診察し、必要だなと思った人たちに処方されていたのがこの薬。
抗生剤のようなものですね。

ただ、わたしの肌感としては高齢者の軽症者に処方されてたとして効果がどうだったのか、どう判断するんだろう…という感じでした。ほんとうに、この薬、必要だった?という。

それにですね、ひとつのカプセルが大きいんですね。
それを朝晩4カプセルずつ、計8カプセル飲まなくてはなりません。

「これ、カプセル外して飲んじゃダメなの?」
と聞かれたことは、一度や二度ではありません。(ダメです)

それから、どの薬にも言えますが、ラゲブリオにも副作用があります。
わたしが一番多く聞いたのは、下痢

抗生剤全般に言えることですが、腸内細菌のバランスが崩れるので下痢にかたむいてしまう人もいるんですね。腸内細菌としては今までうまくやっていたのに、いきなり敵襲がきた!と同義ですから。

「これ飲んでから下痢がとまらなくて…飲まなきゃダメ?」
「う〜ん…処方医に相談するしかないですね、わたしの口からは飲まなくていいよ!とは言えないので…」

というやりとりも結構しました。

トランサミン(炎症を抑える薬)

美容に詳しい方だと、シミを抑えるために内服しているなんて方もいるかもしれませんが、臨床にいる身として真っ先に想起するのは炎症を抑える効果です。

あとは、止血薬。大腸ポリープ切除のあとの点滴に必ず混ぜられています。喉の炎症を訴える療養者には、この薬がよく処方されていました。

デキストロメトルファン(咳止め)

同じく、スタンダードな咳止め
昔は名前をメジコンと言ったりもしました。

カルボシステイン(痰を切る薬)

風邪や扁桃腺を腫らしたときにも処方されることの多い薬。COPDの人も飲んでる人が多いなという印象。


ほのぼの市販薬

タイレノール、パブロン、ペラック、葛根湯、麻黄湯、イブなど、いろんな薬をおみかけしました。

なんですが

処方薬のほうが、こう…成分に混じり気がないんですよね。

処方薬が、塩、しょうゆ、みりん、酒だとしたら
市販薬は、白だし、麺つゆ、味覇、コンソメ的なイメージ、わたしの中では。

しょっぱくしたいなら、塩を入れるのが一番早くないですか?という話です。

もちろん、時間がなくて、対面での受診が困難で、などの理由で市販薬のみで療養された人もいると思いますが、病院内で市販薬が採用されないということはどういうことなのか、考慮の一部にいれていただけたらと思います。

過去にこんな記事を書いていたので、よかったら


自宅療養者の実際

やっぱりつらい

うん、そうよね。

なんだかんだ、コールセンターでも病棟でもこれを訴える患者が一番多かったように思います。風邪の10倍つらい、インフルエンザのほうがマシというセリフもありましたね。

コールセンターの主な業務は、こういう人の話を傾聴することです。
所詮ね、電話越しですもの、できることなんて限られています。

あとは、特徴的な症状だった嗅覚&味覚障害。療養中の食事の楽しみが奪われるという点で、みなさんつらいものがあったのではないでしょうか…

ただ、中には無症状や喉がイガイガする程度で済んでいる人もいて、これがコロナという病気の捉え方を難しくしている要因のひとつだなとも思います。軽症と重症のギャップがすごい。


疑わしきは黒、ゆえの受診難民

2022年の夏

症状ピーク時に受診できず、自宅で亡くなってしまう方のニュースが多く報道されていましたよね。

当時は、医療が逼迫して救急車がこなくて、こんなにつらいのに見放されて…みたいな。

ただ、院内にいる医療従事者から言わせると、コロナ疑いの患者を入院させることのリスクったらないんですよ。防護服を着て対応していても、自身が感染する危険はゼロではないし、他の患者に感染させるリスクもあります。

まったく自慢になりませんが、わたしの勤める病院ではこれまでに3回、クラスターが発生しています。一応、いろんな対策をやっているのにも関わらず、です。

コロナ療養期間中に亡くなった人は数名ですが、もともといろんな既往があったり、透析をしていたり、いわゆるハイリスクの人が多い環境。ゆえに、透析患者にいたっては、半年以内に十数名が亡くなっています。

ね、あなたを入院させるメリットよりもデメリットのほうが勝るとき、それは受け入れ困難という答えになってしまうんです。あとは単純に、ベッドが空いていない。

外来もそうです。

予約制にしないと、人が殺到します。待合室で密になりクラスター大発生☆なーんて、全然笑えません。保健所激おこ案件です。
週明け、年末年始明け、全然電話が繋がらない経験をされた方も、多いのではないでしょうか。

熱があるというだけで、こちらは「コロナかもしれない」と考えます。起こりうる状況の中で、最も最悪なパターンを考え行動するのが、わたしたちの常だからです。

救命センター系のドラマでも、初期治療の際はコロナ以前もガウンを着ているシーンが多々ありましたよね。目の前の患者が出血しているとして、どんな感染症をもっているかわかりません。採血の結果もまだわからない。そんなときは、どういう状況に転んでもいいように、万全の対策をしておくんです。

結果、風邪や誤嚥性肺炎なら、その都度対応を緩和していけばいいだけ。

受診難民に関しては、このほかにもうひとつ理由があるので後述します。


家族がいることのメリット&デメリット

療養者の家族関係にもよりますが、小さなお子さんがいる家庭では一家のメンバー全滅というのがデフォルトだったように思います。

そんなさ、大人でもちゃんとできない人が多いのに、家の中でマスク着用や消毒を子どもに強いるほうが無理ってもんでしょう……

あとは、飲み会や付き合いで父親感染→新生児感染→看病疲れで母親感染というのもよくお見かけしました。

この世に生まれてきてはじめての病気がコロナなんて、イカしてるなとしかいいようがありません。

ただ、かわいそうなのは、母親ですね。

はじめてのカロナールシロップの投与
はじめての坐薬投与
はじめての時間外外来の受診

これらを自身が発熱しながらおこなうと思ってくださいね。
しかも、母乳育児中だったら?

こう…寝ているだけの父親への怒り(もはや殺意)がわいてくるのも仕方がないと思います。

意外にも、高齢者が感染して同居している子どもが面倒をみる、というのはうまくいってたパターンが多いように思います。まぁ、マンパワー的にも理にかなっていますしね。

ただ中には、認知力の低下が著しくて家で面倒見きれない、症状のせいなのか暴力的になってしまい手がつけられないといった相談もあって、病院につないだり、加害の恐れがある場合には迷わず警察を呼んでくださいと案内したこともあります。

家族がリソースとなるのは、元気なときだけ。
破綻してしまうと、ただただ厄介なんですよね。


ナースあさみの温度感

現場はそんなに変わらない

5月8日以降も、臨床はそんなに変わらないのでは?というのが、わたしの考えです。

ほら、Go To トラベルで旅行に行く人が急増したとして、Go Toがなくなったからといって、みんな旅行しなくなるわけじゃありません。

する人はする。
コロナにかかる人は、かかる。
重症化する人は、する。

マスクを外す人も増えるでしょうし、ワクチンを打たない人も増えるでしょう。ってことは波とまではいかなくても、増えるタイミングというのはいずれくるでしょうね(すでに予兆はありますが)


生活習慣病ってやっぱリスクだよね

透析、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙習慣、肥満…これらがいかにコロナにおいてハイリスクなのかを痛感した3年間でした。生活習慣病、恐るべしです。

わたしが特にタチ悪いな〜と思ったのが、肥満ですね。
BMI30超えはもう、確実にリスク
マジでいいことがひとつもない!!!!

脂肪によって肺の広がりは抑制されるし、なのに酸素を届けなきゃいけない体積&細胞は人より多い。脂肪だってその人の細胞、心臓や肺だけ優先的に酸素まわしてね!というわけにはいきません。不要な脂肪細胞にまで酸素を回さなきゃいけない循環動態の不効率さったら、もう。

あとね、脂肪のせいで血管見えなくて針が刺せんのよ。
静脈通ってんの、この人???というレベルで見えない。

細胞ズタボロ系と血管ズタボロ系の病気の人は、なかなかに厳しいなというのがわたしの感想です。みんなもわたしも、痩せよう。


公費負担じゃなくなる、ということ

ベクルリーの薬価の話を先ほどしましたが、飲み薬であるラゲブリオもそうです。

グランドハイアット泊まれちゃうような価格を、国がずっと負担し続ける=税金でまかない続けるには無理があります。

薬だけではありません。

これまでは、コロナ病床を設置し運用した医療機関には、特別手当みたいなものが普及されていました。要は、コロナ患者を引き受けてくれてありがとう加算ですね。

これもなくなっていきます。実際、わたしの勤める病院では5月8日以降、積極的にはコロナ患者を受け入れないつもりだそうです。だって、ただでさえコロナ患者の管理には手がかかるのに、収益につながらないんだもの。

あなたが院長だとして、コロナを受け入れれば受け入れるほど赤字になるとしたら、どうします?大義のために、受け入れ続けますか??現場のスタッフ、どんどん退職届出してますよ???

ベッドが空いていても、患者をみるスタッフがいなければ病床としての運用はできません。病院を増やしても一緒、人がいないと成立しないんです。


かかりつけ医がいないことのリスク

受診難民の話の続きをこちらで。

意外かもしれませんが、高齢者はこの難民になる率が少なかったように思います。
いいか悪いかは置いといて、すでになんらかの病気を治療中でかかりつけ医がいるから、です。

必ず対面で受診した経験があります。カルテも手元にあります。どういう薬を処方してきたかのデータもあります。なんとなくですが、顔と性格も覚えています。住所や既往なども控えているため、わざわざ身体がつらいときに詳細な問診をする必要もありません。

いわゆる、ご贔屓さんなわけです。
コロナっぽいだろうけど、なんとかしたい、なんとかしなければというのが医師の人情じゃありません?

コロナだとわかっていて、対面で診察を受けてくれたところもありました。
電話で問診し、薬を看護師や薬剤師に届けさせた医療機関もありました。
家族全員分の診察と処方を出してくれたところもありました。

わたしの経験上だけでいわせてもらえば、かかりつけ医に診察を断られた療養者は、ひとりもいませんでした。言い方があれですが、町医者にとって患者さんはご贔屓さん、無下にできないのです。

一方、かかりつけ医のいない20代〜40代の人や、病気になったことのない小学生なんかは、行き場がなくて難民化していましたね。

上記のご贔屓さんとは、なにもかが対照的だから。

コロナ診療です。基本的に電話かオンライン、どこの誰かもわからない人に、いきなり強い薬なんて出せません。詳細な問診をしようにも、療養者の体調は最悪だし、こっちはこっちで次の患者が山のように待っています。

胸が苦しいといっても、聴診器をあてて呼吸音を聞くことはできません。
口をあけてもらって、咽頭や喉頭の腫れ具合をみるのだってスマホでは限界があります。

「オンラインで診察してくれだけど、最低限の薬しか出してくれなかった」

こんな意見が散見されるのは、こういう事情があるからなのです。

ただわたしとしては、日本医療のフリーアクセス権に少しは感謝すべきでは?他国だったら、一見さんお断りのパターンもあるし、かかりつけ医のOKが出ないと専門医に見てくれないところだってあるんだぞ〜!という気持ちでした。


備えておく、ということ

それなりの準備をしてる人が優先的な扱いを受けること、わたしは至極真っ当だと思っています。

予約した人がいい席に案内されることに、文句を言う当日客がいるでしょうか?

事前に情報を提供しておくこと、相手に準備をするだけの時間とマンパワーを授けること、これは医療だって同じです。予約していた人が優先されます。

感染爆発期に受診できずお怒りになっている療養者もたくさんいましたが、あの人たち、なにか準備していたんでしょうか。

内服薬を買っておくこと
経口補水液を常備しておくこと
体調悪化時でも食べられるものを備蓄しておくこと
いざというときのために、周りに助けを求められるような関係を築いておくこと

どれも時間とお金の優先順位を考えれば、誰でもできることです。

それに、自身の体調悪化を予測するプロセスが甘すぎます。

体調が悪化する、前段階が必ずあるはずなんです。
どうして、それを甘くみたんでしょう?
自分は、コロナにかからないとでも思ったのかしら??
根拠は???

きっと、ああいう人たちは災害時もぎゃーぎゃー言ってるんだろうなと思います。水もトイレットペーパーも売ってない!売ってないスーパーが悪い!!って。

仮に、わたしが水やトイレットペーパーを備蓄していたとして、そういう人に無償の愛をもって差し出せるかと言えば、断言できません。

まず、自分ができることを自分でやっておくのが一番ストレスが少ないと思うんですが、みなさん、どう思いますか?


「かかってもしょうがないよね」の価値観へ

インフルエンザだって、そうだったと思うんです。
ワクチン接種が推奨される中でも、年間約3000人が亡くなっていました。

だって、コロナ以前は

体調が悪い中、なんとか忘年会に出席しみんなでお鍋をつつく。
熱があるけど、翌日から帰省。
なかなか熱が下がらないので、検査したらインフルエンザ陽性
忘年会メンバーも続々と倒れてるそう…
あれ?おじいちゃんの様子がおかしい、え、肺炎で入院?

上記のようなパターン、なかったとは言わせませんよ〜〜〜

コロナもそうなっていくのではないでしょうか。
それぞれの考え方、対応においてできることをした結果

かかってもしょうがない
重症化してもしょうがない
助かったらいいな…!

そういう倫理観みたいなものが、育っていくのではと思っています。

社会においては、個人の健康だけがいちばん大切なわけではありません。
企業の経営も、物流も、学校生活も、それぞれ大切なんです。


おわりに

生きてるといろんなことが起こりますが、それでも生活は続きます。
今回は感染症でしたが、これが災害や戦争になる日だってくるかもしれません。

誰かに頼ること、助けを求めること以上に、自分でなんとかする知恵とスキルも身につけておきたいですね。日々の生活が、修行だと思って。


以上、現場からお送りしました。

貴重な時間を使い、最後まで記事を読んでくださりどうもありがとうございます。頂いたサポートは書籍の購入や食材など勉強代として使わせていただきます。もっとnoteを楽しんでいきます!!