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絵が上手な同級生

小学校のクラスメイトで、
接点はなかったけど、ずっと覚えている人がいます。
おとなしい感じの男子でした。

1年生になってすぐ、クラスメイトの顔や名前がまだ分からないころ、授業で絵をかきました。
確かテーマはなんでもよかったはず。
絵が得意なわたしは、特に力も入れず、ちょいちょいっと仕上げました。

それから、全員の絵が廊下に貼り出されました。
それをふら〜っと見ていたら、
ある1枚の絵でビックリして目が止まりました。

とても上手な、立体的な車の絵でした。

その時はじめて、絵に対して「上手」という概念が生まれました。
それまでは「好き」とか「楽しい」だけ。
平面じゃなく立体的に描かれた技術が衝撃で、淡い悔しさもはじめて感じました。

1年生になりたてのみんなが描いた絵たちは、
6年後の卒業式にまた展示されることとなりました。
(粋なはからいですね)


卒業式の日、真っ先に、あの絵を探しました。
「一年生の時は上手でビックリしたけど、今見たらそうでもないだろうな」と決めつけて。

結果、その絵は6年越しにまたわたしをビックリさせました。
立体的で、カッコイイ車。
「うまいじゃん…」
軽く放心状態になりました。
届かない凄さを感じ、悔しさが尊敬に変わりました。


でも6年間、その作者である男子と話した記憶がありません。
穏やかそうな面影をうっすら覚えているくらいです。

仲が良かったり、何かを一緒にしなくても、こんなに心に残る人間関係もあるんだなあと、しみじみ思ったりしています。

あの子は今でも絵を描いているのかな〜
と、今でもふと思います。

仕事にしてたりするかな。
描いてたらいいなあ。
元気でいるといいなーと思います。

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