見出し画像

「導入したはいいけれど...」企業における生成AI活用で最も肝心なのは○○

生成AI領域で仕事をしていて、今最も聞こえてくる声は
「ChatGPT導入したけど、中々使ってもらえない」
「すごいことは分かったけど、どう使っていいか分からない」
なんじゃないかと思います。

これに対して即座にインパクトのあるコレ!という施策は中々難しいものです。
ただ、コツやテクニックは必ずあるので、社内での実践を通じて感じたいくつかのポイントをまとめてみたいと思います。


カルチャー変革の遅筋と速筋


「遅筋と速筋」 by Image Creator / Microsoft Bing

筋肉には遅筋と速筋という大きなカテゴライズがあるそうです。
マラソンのように持久力を発揮する筋肉と、短距離走のように瞬発的に力を発揮する筋肉のことです。

急に何の話…と思われるかもしれませんが、企業におけるテクノロジーの展開(カルチャー浸透)にも実は遅筋と速筋があります。


つまり、短期的に効果を見出す単発の施策と、長期的な効果を目指した大がかりな施策の2種類です。

単発の施策は、ひとまずやってみるのがやりやすいのと、何より効果が見えやすいという性質があります。
例えば、勉強会やハッカソン等です。

勉強会なら、講師1名と場所の準備、参加フォームの準備が出来れば開催でき、終了後のアンケートで満足度を図れます。
ハッカソンはもうちょっと準備が大変ですが、実際に使えるアイデアが2,3出来上がるので、効果が分かりやすいです。


ただし、残念ながら熱しやすく冷めやすいもの。

単発の施策を1度やっただけではユーザは減衰し続け、かといって定期的に組むのはその設計・運営がとても大変。


そこで遅筋の登場です。
ここで言う遅筋は自走式コミュニティである、と考えています。

自走式コミュニティの最たる例はSNSでしょう。
誰がなにをせずとも、最新のトピックスについて勝手に誰かが話題にあげ、勝手に議論が巻き起こり、勝手に理解が深まります。
(勝手に炎上することもありますが…)

富士通では社内のSNS基盤をとても重要視しており、事実、生成AIが世間で火を噴き始めたときには既に生成AIをテーマにしたコミュニティがいくつも立ち上がっていました。


遅筋は0から作り上げるのが非常に困難なことも特徴です。生成AIを使うカルチャーを浸透させるために、まず社内SNSを使うカルチャーを浸透させなくてはならない。
本末転倒とまで言いませんが、えらく遠回りに見えます。

その辺の話を次の章で深掘りしていきます。


合わせ技一本、だけど最初が肝心


「柔道 合わせ技一本」 by Image Creator / Microsoft Bing

熱しやすく冷めやすい速筋と、熱しにくく冷めにくい遅筋。
これらを両立して仕掛けることで、短期的な効果を目指しつつ、今後安定的な軌道を確保するための基盤を作っていく。
そんな両立が理想的であることは間違いないハズ。と思っています。


では、遅筋を育てるために速筋を上手く使えないかな?というのが一つの発想です。

コミュニティと言っても何も社内SNSに限りません。毎週末の飲み会でも良いのです。デジタルなプラットフォームは重要ですが、必須ではないのです。


単発施策、例えば勉強会だとすると、出来るのはせいぜい
「生成AIとは何ぞや」
「何に使えるんだ」
「例えばデモするとこんな感じよ」
の3点くらいですかね。
QAも足して、おおよそ1時間半くらいでしょう。

その場はある程度盛り上がりを見せても、それを定着化させるためにはフォローが何より重要です。


そこで、
「ちょっとQA答えきれなかったので、いついつ飲み会しましょ!そこでもっと深い話をぜひしましょう!」
と声をかけてみるのはどうでしょう。

そんでもって、その会に集まったメンバーに対して、
「定期的にこういう場を設けたいですね。月に一度くらい。毎回参加じゃなくてもいいので、場をセットするから次回ぜひ来てください!」
みたいな。


上手く行けば小規模とは言えコミュニティが出来上がります。
どうしても1対多が主になってしまう単発の施策から、1対1×多の構造を作れるコミュニティ形成を促します。

ここに集まる人たちは間違いなくイノベーターかアーリーアダプターなので、そこから派生してアンバサダー的な動きも狙えます。


結局、「社内のどっかに詳しい人がいる」よりも「身近なところに詳しい人がいる」方がよっぽど技術の理解度は高まりやすいので、そういう構図を目指せるんじゃないかと思います。


まとめ


  • 新しい技術の浸透には、即効性のある施策と安定性のある施策の二本立てが重要

  • 特に重要なのは自走式コミュニティ形成

  • ただし、その仕掛けをいかに上手くやるかが大切

  • 即効性のある施策から直でコミュニティへの導線を確保し、そこでイノベーター/アーリーアダプターを囲い込むのが有効


Stable DiffusionやChatGPTに始まった生成AIの潮流。ブームというにはあまりに大きすぎる変化は、今後もまだまだ続く見込みです。

何よりも使って、体験して、実感しないとその有効活用にはつながりません。
社内でそのムーブメントをどのように起こせるかが最大のカルチャー変革のポイントになります。


私も試行錯誤しながらです。こんな方法もいいよ!というのがあれば是非コメント下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?