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1グロスと31センチ

飲み屋のカウンターというのは、愚痴を言いに来るところでもあるし、相談しに来たり、嬉しい事があった時言いたくなって来たり。色んな人が色んな話をしに来てくれるものですが、当然、自慢しに来る人もいます。自慢と聞くと、なんだか聞きたくないようでもありますが、自慢なんて友達や家族にはしにくかったりしますよね。なので、わざわざ店に来てそれとなく自慢する人も多く、ふんふん、聞いていると、

ん?それって結局自慢?

ということは、よくあります。自慢にも色々あって、

「このあいだ、T美ちゃんのところに遊びに行ったら模様替えしてて、ベッドとか、タンスとか運んであげたの。すごい!力持ちって言われてさぁ。うん、まあ、普段の筋トレの成果かな?ってTシャツめくって見せたら、T美のやつビックリしゃちゃって、ははは」

これは、女の子に頼りにされて嬉しかった自慢と見せかけているけど、ほんとうに自慢したいのは「俺の筋肉美」ですね。筋肉を褒めて欲しいのに、

「よかったじゃないすか、T美ちゃん喜んでたんじゃないですか」

なんて言っても、

「ん?ああ、うん。そうなんだけどね」って、感じであんまり乗ってくれません。

「えー!そんなすごい筋肉、見せて下さいよー!」

と、言えば

「そう?見たい?いやー、見たら惚れちゃうよ?」と、まあ、自慢したい所をちょうど褒めると、実に気持ちよくなっていただけます。火に油を注いじゃう事にもなりますが。
でも、褒めて欲しい所がどこなのか、分かりにくいこともあります。褒めるって難しいですね。そういう意味では、数を自慢する人というのは、単純にその量を褒めればいいので、分かりやすい典型です。

・ジャズレコードのコレクションを数千枚持っている。
・ワインセラーに1996年のポイヤックを20本持っている。
・ボールペンのコレクションが200本。
・始めての逆上がりは2回練習しただけでできた。

どれも

「わぁ!なんて沢山なんでしょう!すごい!!」

あるいは

「ええ!そんなに少ないんですか!!すごい!」

と、言えばいいので、割とラクです。だたし、ジャンルに依っては、その数が一般的に多いのか、少ないのか分からない場合もあります。ちなみに、数量自慢をするのはなぜか圧倒的に男性です。

お客さんの中には、自分用の靴下を買う時には一度にグロスの単位で買う、という人もいました。グロスって何?って思ったのですが、12ダースのことなんですね。これはさすがに多いって分かりました。...って、いったい足いくつあるねん!!

そう言えば思い出しましたが、中学校時代、BL好きだった私に、友達がプレゼントしてくれた「さぶ」の友達募集欄には、身長、体重の他に、自分の膨張時のナニのサイズまでも記述されていました。つくづく男性と言うのはきっちりした数字で違いを出したがる生き物なんだなぁ、と思わずにいられません。

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※今回のこの記事は、ひとつが100円となっていますが、無料で最後まで読む事ができます。マガジン「カウンターの外は動物園」(500円)を購入していただくと、今後追加される記事も過去の記事も含めて、私のワインバー時代の小ネタ記事のすべてを読む事ができます。全部で20本ほど書く予定にしています。

でも、書き出してから、結構3年前って忘れてるなぁ、と思い始めています。

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