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ダイヤモンドと村の掟

2日ほど前話題になった、岩田健太郎氏の動画。

そして、もうひとつ、こちらはその船内で活動をしていた高山義浩氏の記事。

最初に出たのが岩田氏の動画で、その後に出されたのが高山氏の記事です。ここ数日話題になっているので、ご覧になった方も多いでしょう。

ダイヤモンドプリンセス号って3000人から乗ってるんですね。私のいる集落って人口500人ですよ。「町やないかーい」って思った人も、きっと多いですよね。

ただ、乗客はお金を払って寝食を享受しているのであって、自治は船長を筆頭にクルーたちが行うわけです。3000人のうち1000人がクルー。そこへ新型コロナウィルスです。3000人のうち2000人はお客さん、1000人が実働部隊。そこへ、国際的な感染ですから、医師、役員、自衛隊なんかがやってくる。彼らもそんな大型客船でしかも振興のウィルスに対応するなんで、やったことないわけです。そうなると、当然、初動がしくじる。というのは予想がつきます。いくらいい大学出て、いいとこ勤めてても、有能な人たちでも、やったことのない事例はトライ&エラーじゃないですか。

船で一番偉くて、全責任負っているのは船長です。ちなみに、船の船長って色んな意味でものすごく偉い人です。日本ではそれほどと思われていませんが、大変尊敬される職業のひとつです。船とは船長の指揮下に稼働をしています。そこへ役場、お医者、自衛隊の偉いさんもやってくる。そしてウィルスの脅威。お金を払っているお客。もうそれだけでカオス…。

有能な人が助言をしても、別の誰かの意向で実施されない。ちゃんと決めたことが「知らされていない」となって、守られない。容易に想像がつきます。

そんな様々なレイヤーの中、それぞれの立場で一生懸命やってきたところへ、いきなりやってきたお医者さん。彼は「これは酷い状況だ」と訴えます。正論です。「そんなこと分かってるよ、けど…」一部の人は思います。「面倒くさい奴がやってきた」また別の一部の人は思います。そして、あからさまな圧力。あるいは目に見えない圧力によって、排除される。

こちら、厚生副大臣も言及されています。スレッドの中に岩田氏と思しき方について触れられています。

私はこの3つを見てね。思いましたよ。

これは村や

とね。村なんですよ。今日はちょっと長くなるわよ。でも言わせてちょうだい。この構図は村なの。

限界集落なんかへ移住したけど、結局溶け込めずに帰っていく。という話があるわね。もうかなり昔から「よそ者、若者、バカ者」が村を変える、なんて言われてるわ。何かしらの思いを抱えてそういった集落へ移ったけれど、結局去ってしまった人の話でよく聞くのは、

・集落が閉鎖的で、自分の意見が取り入れてもらえない。
・ナンセンスな決まりごとがある。

まあ、このへんかしら。田舎に住んでいるものからすれば、これは当然と言えば当然なのよ。だってね、あなたいつからいるの?その決まりって昨日今日決まったわけじゃないのよ。今までいろいろいろいろな理由があって、ようやく決まったことってあるの。ずっと会議を欠席してた人がある日やってきて「そんなこと聞いてない!」って言ったら、こんな田舎じゃなくてもどこでも怒られるわよ。

意見?意見はたいへんいいことよ。けど、昨日今日やってきた人がいきなり「僕はここに村直営の無農薬野菜売り場作ったらいいと思うんです!」とか言ってもね、アンタ、普通に通らんやろ。

実はこの岩田氏と高山氏の言っている中に「信頼関係を構築してから」という興味深い文言があります。それこそが村の本質です。岩田氏は「信頼関係?いやいや、そんな悠長な話?」ってなってますし、高木氏の言う「色んなレイヤーで動いているので、自分が動きやすくなるにはまず信頼してもらうこと」と言っています。

村と言うのは、この信頼関係に最重点を置いております。つまり、ダイヤモンドプリンセス号は村であり、官僚の世界も、自衛隊も、医者も、どの世界も村構造なんです。乱暴なようだけどそうじゃない?例えば、タワーマンションも村だし、23区の中の小さい地区だって村かも知れない。

ちなみに今回、分かりやすいように「村」というワードを幾分マイナスな部分で取り上げていますが、ご容赦ください。では、どういう場所が村でないか、それは「きちんと討論ができる場」ではないでしょうか。例えば、誰かが意見を言ったときに、それをきちんと受け止めて返せる。そういうことを繰り返して、物事も人間関係も成熟していくわけです。逆に何かを言えば「偉そうに」とか「余計なことを」「じゃ、お前がやってみろよ」「何も知らないくせに」となる受け身ばかりの場合。いやね、なんか意見が出たら、別の意見を返せばいいんです。

でも、ちゃんとした討論ができる人ってあまりいないように思います。偉い人の言うことは聞きましょう、決まりを守りましょう。と、何十年もかけて学校でずっと教えられてきてる。意見を交換して物事を昇華させるという習慣がない。そこで、出てきた技が信頼関係よ。信頼されれば偉い人からも一目置かれて意見を聞いてもらえる。信頼されれば、何か言っても取り入れてもらえる。ホンマ、かったるいで。けど、そうやってかないと、物事が進んで行かない。それってね、10年くらいかかるのよ。そう考えると、すっかり世界の流れから取り残されてしまう、いろいろ心配...。

それから、「やったことない事例はトライ&エラー」って書いたけど、これがちゃんとできるところは高度文明だと思います。「ちゃんと」トライして「ちゃんと」エラーできる。何回でもエラーして、そのたびにレベルが上がっていく。これが文明ってもんですよ。しかし、往々にしてトライしたけどエラーだったんでもうやめた。あるいはエラーをなかったことにする、エラーを隠すって言う場合もありますね。それ、みんなそこでストップしちゃいますね。村の構造、こんなところにもあったのか、となんだか考えてしまいました。

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