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詰まってます

同人誌「東京嫌い」がスタートして8日が経った。つまり8名が作品を発表したことになる。私は責任編集という立場で全員の提出された下書きを見ているわけだが、この秋の夕暮れ、毎日ひとつの作品が、イソギンチャクの出産のようにポッカリとネットの大海へ放出されていく。守られた世界で閲覧した作品と同じはずなのに、どこか少しだけ緊張しているのは私のほうで、作品はと言えば無邪気に海の中を漂っていく。

かと言って、この海は殺伐としてはいない。しっかり読むと決めた人が身銭を切って同じ海に入っているから外海よりは暖かくて波も少ない。同じく責任編集の林さんは今までに何度もネット上の作品にきちんとお金を払う価値を説いている。

つい先日、片付けていたら2001年のノートが出てきた。読むと本当に金がなかったことが分かる。メモに「価値のありそうなものは手当り次第オークションに出す」とか「1000円のお金が払えないことで振り回されたくない」とか書いてある。この頃、息子のランドセルも買えなくて北海道の方からオークションで1000円くらいで買った。だから、この「東京嫌い」のマガジンの300円もポイって払える人もいるだろうけど、頑張って払ってる人も絶対にいる。

無料で書く記事は好き勝手書けばいい。そこにお金は発生しない。けれど、お金をいただくということはその瞬間は商売だし、プロだし、責任がある。責任とは「お金を払った相手を満足させる」責任ではない。「自分の納得できるものを出す」という責任のこと。それが対価だと思っているし、そういうことがネットでも普通になっていったらいいと思う。

今回、私がこの「東京嫌い」に集まってきた作品に感じたのは「ちゃんとしっかり詰まっている」ことだ。上げ底でもなく、ハリボテでもなく、よくある土産物みたいに中身がちょびっとであと全部包装でかさ上げしてあるみたいなんでは決してない。私は詰まっている物が好きだ。私の作っている菓子もめちゃ詰まっている。包装もキチキチだ。

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何度も言うが「東京嫌い」は詰まっている。今まだ8名だけどすでに程よく詰まっている。それぞれの形は締まっていたり、ふんわりしていたり、少し鋭角だったり、甘いものも、ちょっと辛口のもある。そのどれもがうまい具合にちゃんと収まっている。そりゃ、辛いのばっかり好きな人もいる、まん丸ホワホワなのが好きな人もいる。辛口につられて買ってみたら「甘いのが混じっている」って言われるかもだし、逆もある。けれど、これはそういうヤツ。

お菓子パーティーでアルフォートもあれば、海苔おかきもある、スルメもある。一見バラバラだけど、テーマは「海」みたいなの、あるじゃないですか(ちなみにアルフォートはチョコの模様が船)。

それと同じで、私的にこの同人誌は「noteアソート」のひとつと思ってて、それが「東京嫌い」を切り口に書きました、というもの。読んでみて「ぜんぜん嫌いちゃうやん」ってなるかもだけど、あくまでも切り口としての「嫌い」なので、東京嫌悪マガジンでは決して、ない。むしろ今出ている作品を見ると好き成分多め。東京ってそういう意味ではポップでキャッチーだ。まったく癪に障る。いや、これからまだまだ作品続くので、ぜひ見守っていただきたいです。

「東京嫌い」全作品買い切りで300円(月の課金ではありません)。あと13作品、ぜひオンタイムでお楽しみください。


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