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怖いマスクの作り方

特殊メイクは、大変手間がかかる。映画の撮影現場などでも、画面に大きく映るゾンビ役者はしっかりメイクを施されるが、その他大勢となると意外とシンプルなマスクをかぶって撮影に挑んだりする。自分も他の人が撮ったゾンビ映画にエキストラゾンビとして参加したことがあるのでよくわかる(一緒に行った友人は「君、いい顔してるねえ」と呼び出され、マスクではなく顔を赤茶黒で塗られただけで映画に登場した。特殊メイク要らずのゾンビ顔だったというわけだ)

さらに、イベントともなるとメイクは不向きだ。長時間の稼働はメイクに不向きで、汗でくずれたり、誰かと触れ合えば取れてしまったりする。そこで、マスクの需要がある。

写真は10数年前、とあるバーの依頼で作った簡易型のゾンビモンスターマスクである。一日に何回か、店員がマスクを被って現れて店を徘徊し、客を脅かす。そういう趣向だ。なぜか「デザイナー」がいて、メインのマスクとボディスーツはデザイン通りに作れとのお達しがでた。その他にもアイディアを出したが
・頭が二つに割れて断面に歯が生えている遊星X風マスク
・口を中から手で開き、その奥から顔が出てきているSMジョージ風マスク
も却下で、わりとストレートな
・めっちゃ燃えた人マスク
・どろっとしたミイラマスク
・ぶよぶよ水死体マスク
の三種が採用された。

イベントでいろいろな人がかぶるため、洗濯可能なインナーマスクとガッチリ固めたアウターマスクに分けたりといろいろ工夫した。

作り方

写真がないので各自想像をふくらませること。

材料
・所謂ぼくがウレタンと呼んでいるもの
最近だとCOSボードが便利、リアラボード/旧ライオンボード、EVAスポンジシート、等、いろいろあるが主に密度が違う。おおむね硬めの発砲素材で、丈夫で弾力がある。板になっており、厚みがいくつかある。何で一律に「ウレタン」と呼ぶかというと、いちいち別の商品の名前を出して説明するのが面倒くさいから。
・Gボンド10
なんでもくっつく接着剤、たいへんくさい。舞台監督さんもよく使っている。17の方がくさい(個人的感想です)。接着したい両面に塗布し、乾かしたのち、押し付ける。
・合皮
広い面を楽に一色で染められる、表面に貼って平滑に仕上げる、等、塗装の手間とマイナス面をカバーする意味合いが強い。あと引っ張り、裂けに対して丈夫になる、これ大事。価格が高い。オカダヤなどでも買えるが、専門店から通販で買った方が色数的にも多く、お得な気がする。
・グルーガン
棒状の硬い糊を熱で溶かして接着剤として使用する。発砲材相手だと、細かい穴に溶け込んでガッチリ食いついたときは強いが、細い面などに使うと「実はくっついていませんでした」みたいなことも多いので、ガチガチに固めたい時だけ流し込んで使う。
・塗料
アクリル絵の具一択。合皮では貼り込めない細かい部分の仕上げに使用する。下地作りが必須。

手順

1.デザイン画を書く
自分で作りたいものが何で、それはどういう形をしているのかを、自分でわかるためのメモ。人に見せるものではないので、雑でいい。

2.ウレタンでだいたいの形を作る
「球体 型紙 作り方」などで検索して、型紙を作ったら(あんまり使い物にならないので)ウレタンを目分量で切り出して現物あわせで頭にかぶれる丸い形にしていく。Gボンド10というのでくっつけるといい感じだが、換気をちゃんとすること、マスクもつけること。接着面にうすくのばして塗りつけ、乾かして貼り付ける。Gボンド10が良いのは、ちょっと貼り間違えてもすぐ引っ張れば剥がせるところ。もちろん片面に所々持っていかれるので、塗り直して乾かしてまた貼り付ける。ギュッと固定して固まったら、もう絶対にはがれない(むりに引っ張るとウレタンが裂ける)。

3.いい感じに削り出す
細かい部分は、カッターでサクサク削って形を出す。刃はこまめに替えること、断面がギザギザするとあとで困るのはお前だ。接着して作った曲面などは得てして角が出ているものなので、はみ出した部分はカッターで落とし、おおまかにヤスリで削るといい感じになる。

4.合皮を貼る
Gボンド10をできた「形」と、それに合わせて切り出した合皮に塗る。合皮は大きな平面に貼るときは一枚。曲面に貼るときはシワが寄らないよう、何箇所かに分けて貼るとよい。モノにもよるが、しっかり両面にGボンドを塗って乾かしておけば、ゆるい曲面や、細かい凸凹にはのびて貼りつく。ゾンビなどを作るときはわざとシワを寄せて作ることもある。

5.塗装する
なんだかんだで人間は細かい凸凹が好きである。なので平滑な面に彩りを添えるため、塗装を加えていい感じにする。まず濃い色から塗って、段々と薄い色にすると立体感が増す。

ボアなどを使い、こんな感じの「猫ゾンビ」なんてのも作れる。

需要があれば、新しいマスクを作り、わかりやすく制作過程の写真をつけた記事を書きたい。もっと詳しく写真つきで読みたい!と思った人は、遠慮なくリアクションしてほしい。マガジンだってお気に入りにしていいし、サポートだって気軽にしていい。お待ちしております。

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