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句読点、点、息継ぎ

 リードロニカの稽古も大詰めである。読書劇なので、音読の仕組みは朗読劇に似ている。細かいところまで指示を出したうえで、それぞれの演技を求めている。
 細かいところ。例えば「テーブルと椅子とトイレとキッチン」という文章があれば「テーブルと、椅子とトイレと、キッチン」 と区切るのか、それとも「テーブルと椅子と、トイレとキッチン」と区切るのか、はたまた「テーブル、と、椅子とトイレとキッチン」と区切るのか。それらの違いは演者と観客の心にもさまざまな違いを与える。
 テーブルじゃわかりにくいか。
 例えばヴィランがヒーローに告げる。三者択一の問題だとしたら?
 ヒーローが死ぬか、ヴィランを殺すか、無関係の無辜の市民を殺すのか。
「君の命と僕の命と彼らの命とどれを選ぶ?」という質問だったらどうだろう。
 「君の命、と、僕の命と彼らの命と、どれを選ぶ?」
「君の命と僕の命と、(笑い)彼らの命と、どれを選ぶ?」
 前者と後者では、ヒーローとヴィランの関係性、ヴィランの人格の設定などに、大きな違いが出る。
 音読は、その読み取りの差異を明らかにする。
 音響読書劇リードロニカは、その差異を多層音読によって、観客に同時体験させることが目的の公演だ。
 もし、その結果を目撃したいのなら2月の23日と24日の公演を見逃さないように。

 

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