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紅島弓矢という名前

 作品によって、登場人物の名前の付け方が違う。特にテツではないのだけれど、苗字にローカル線の駅の名前をつけるのにハマっていた頃もある。苗字が駅名で、名前はその駅や土地由来の何か。正直に言えば20数名のキャラクターを作るのにランダムでは手癖になると感じて策を弄した面は否めないが、統一されたルールがあると筆が進みやすいというのは確実にある。

 10年前に書いたときの『アリスインデッドリースクール』にはルールがなかった。正確に言えば「初期プロット段階」では全員に色の名前がついており、その後キャスト数を増やす段になってルールが崩れた。たぶん「色て!」と思ったのだと記憶しているが、なぜ「色て!」と思ったのかは定かではない。

 紅島弓矢、という名前がなぜ生まれたのも、由来がわからない。確か「男でも女でもどちらでも成り立つ名前」として、音が先に出てきたようにおぼえている。脚本のどの段階かは忘れたが「母親がバーを営んでおり、一人娘に『まっすぐ飛んでいくように』弓矢と名付けたが、名前の通りすっ飛んでいく子供に育った」という作中由来を考えた。

 たくさんの役者が紅島先輩を演じてくれた。滅んでいく世界で、ガラじゃないのにみんなを引っ張って、折れそうになるけど絶対折れないでまっすぐ飛んでいく先輩の名前は、やっぱり弓矢じゃないとなあ、なんてことを思った。

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