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デッドリー永遠稽古日記1〜3日目

 4月1日から上演予定の『アリスインデッドリースクール永遠』の稽古について書きます。いやあもうほんとすてき。最高。とりあえず三日分の内容。ネタバレなし版と、後半は内容に触れたネタバレ版です。

2月25日(火)ネタバレなし版

 リードロニカ上演の翌日!ちょっと広めのスタジオにて夕方より稽古開始。簡単なシアターゲームであったまったら、世界が一変するまでのミザンスを一気につけた。本来は「本読み」を繰り返して脚本の中でどのように人物の「心」が動いていくのかを読み取っていくのが第一なのだけれど、惜しむらくはそれをやるための時間(半年くらい?)がない。そこで出演者の皆には、動くこと、歩くこと、その結果、その位置にいることが次の展開に必要な切掛であることを説明しながら、ミザンスを伝達した。

 ぼくが投げるボール(この位置に移動して)に対して「カキーン」と演技(ここの位置に来るならばこの気持ち)を返して来る演者たちは、若いからなのか基礎能力が高いのか、何にせよレスポンスのストレスがない。今回のぼくのテーマは「役者の持ち味を生かした演出」でもある。同じ動きの中でも、いくつかのパターンをためしてもらい、それぞれの演技の方向性を観察するところまで、進めることができた。

 まだ全員ではないけれども、贅沢なキャストが集まってしまった。

2月26日(水)ネタバレなし版

 層を積み重ねて掘るような楽しさ。とツイートした通り、少人数だったこの日は各出演者の「ここぞ」というシーンを抜きで小返し(シーン全体ではなく部分的に始まり、部分的に終わる稽古の方法)を重ねた。いくつかのモチーフを提示して、簡単なミザンスと共に代役も入れつつ、次々に新しい要素を発見していく。

 途中に10分や20分の休憩を挟んでいるものの、3時間半があっという間。参加者が少数だったため、脚本のセリフひとつひとつに対して、前後関係やまったく後の方のシーンに効くセリフなどを精査することができた。10年間手をかけ続けた脚本だけのことはあり(改稿に際してもわかりやすくト書きを足したりなどはしたものの)、かなり後のほうの稽古で効いてくるような話もできた。

 デッドリーには出演者も感情を動かされる場面が多く、それを小返しとして部分的にやることが、今回の演出テーマとも密接に関わっているな、と実感した。

2月28日(金)ネタバレなし版

 ネタバレなしで書くの難しいな。この日は、とある役が合流して今までつけたミザンスを移しながら、役者の感覚に従って変更修正!という日。これがまた楽しい!

 ぼくがつけるミザンスというのは、目的が二種類ある。ひとつは観客や共演者が感じるための物理的距離感と、そこから得られる象徴としての感覚。そしてもうひとつは「有機的につながるセリフのための位置関係」(次のセリフの人が無理なく/無理して次のセリフを言うための移動/静止)。

 だから、本役の役者が入るとミザンスがより豊かになるのだ。

 しかも、ずっと代役だけやってもらっていた役者さんに、やっと本役の大事なシーンを演じてもらえたのも良かった。このシーンはすごく重要なので、早く観たかったのだ。全員が揃うわけではないので、代役もある小返しなのだけど、そこで動く情動は得難い尊さがあった。

ここから先はネタバレ版です。

 いままでデッドリーを観たことある上に、今回のキャストがどれだけすごいのかを事前に見ておきたい!という人向けのネタバレ版日記です。役者のことをめっちゃ褒めてるので、出演者は絶対みちゃダメ。

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