「落とし物」について

 こんばんは。

「落とし物」
・36thシングル「チートデイ」のアンダー曲
・センターは奥田いろは
・作曲はバグベアさん

 最初に1番だけ何となく聴いた段階では、「いい加減大人になれよ」という妥協を勧める歌なのかと思っていたんですが、2番まで聴いたらちょっと違う印象を持ちました。混乱したという方が正しいかも。「ウォウウォウウォ(ウォウウォウウォ)」に気を取られて集中できなかったというのもあります。何を言っているのか頭に入ってこない。
 それで繰り返し聴いていくうちにだんだんと、「こうなった」というのはどうなったということ? 「一番欲しかったもの」とは何? みたいになって、現代文の試験問題を解いているような気分になってきました。とりあえず一文ずつじっくり読み込んでみて、落とし所として納得したというか、何とか自分なりに理解ができたのでメモを残しておきます。


・1番Aメロ-1

信号に急かされ 早足の交差点
通り過ぎる人が みんな振り返るんだ
横断歩道で何かを落としたと
なぜか気になって不安になる

落とし物=次のブロックに出てくる「大きな憧れ」のこと。

・1番Aメロ-2

あの頃からずっと 抱いていたはずの
大きな憧れを挫折と引き換えに
こんなちっぽけなしあわせを手に入れ
忘れようとしてる 今の自分

「憧れを挫折と引き換えに」が繋がっているので、何を忘れようとしているのか少し分かりづらい。「挫折と引き換えにこんなちっぽけな幸せを手に入れ、あの頃からずっと抱いていたはずの大きな憧れを、忘れようとしてる」と並べ替えれば分かります。

・1番Bメロ

同じような夢が 渋滞している
ただ運が悪かった 誰に言い訳してるのか?

多くの人が同じ夢に向かっているので、そこから頭一つ抜け出すためには運も必要である。私には運がなかった。

・1番サビ-1

純情を売り物にするな
大人になる度 汚れてく
触れ合ったものを思い出せ
心はまっさらだったはずなのに どうしてこうなった?

「どうしてこうなった?」というのは、「どうしてまっさらではなくなった?」ということなのか、「どうして挫折してしまった?」ということなのか、少し迷いがあります。

・1番サビ-2

純情なふりなんてするな
人生の闇も知っただろう
それならばそれでいいじゃないか?
あの頃の自分とは違うってこと 認め楽になれ

未だに純情な人間のふりをしており、その状況に苦しんでもいる。

・2番Aメロ

都会の片隅で 壁にもたれながら
行き交う恋人たちをずっと睨んでいたよ
自分に足りないものって何だ?
どれだけ考えてもわからない

自分に足りないものは運だと言い訳をしていた。

・2番Bメロ

何も知らぬこと 言い訳にしてた
若さの賞味期限に白い旗を挙げるしかない

もう若さを武器にできる年齢ではなくなった。

・2番サビ-1

イノセンスだけじゃ勝てないよ
清濁を併せ 生きるんだ
人間の狡さ 否定するな
できることならば 誰も傷つけず
泥水 自ら飲もう

純情だけでは勝てない。人間は狡いものだ。

・2番サビ-2

優しさだけじゃ流されるよ
上手くいかないこと 諦めず
何度でも手を伸ばせばいいさ
一番欲しかったものをいつの間にか道に落とすな

一番欲しかったもの=過去に抱いていた「大きな憧れ」を諦めるな。


ざっくりと要約するなら
・純情や若さを武器に夢を目指していたが、うまくいかずに挫折した。
・夢を叶えるために、手段を選ばず何度でもチャレンジし続けろ。

 とは書いたものの、やはり「手段を選ばず」というのはちょっと違うかもしれない。「清濁併せ呑め」「人間の狡さ否定するな」というのは、自分がどう受け止めるかという話であって、自分が「狡い」アクションを起こす側ではない。「誰も傷つけず泥水自ら飲もう」というように自己犠牲も強いている。ということは、汚い手でも怪しい人脈でも何でも使ってとにかく夢を掴み取れと言っている訳ではなく、あくまで世間は、人生は、そういうものなんだという諦念みたいなものがあって、その上で「一番欲しかったもの」を落とすなと言っている。キャッチコピー的に言うなら「他人に期待するな、自分に妥協するな」という感じでしょうか。

 個人的には「人間の狡さ否定するな」という言葉には素直に頷きたくないですね。もちろん程度の問題ではありますが、「一番欲しかったもの」以上に、人としてどうしても譲れないものがあるという人もいると思います。その「狡さ」を受け入れるくらいなら、夢を諦めた方がましっていう。
 ちなみに自分は夢を抱いたことがないので、落とし物もしません。

心はまっさら

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