「設定温度」について

 夏の終わりに聴きたくなる一曲です。先日の神宮2日目にも披露されました。

「設定温度」
・3rdアルバム「生まれてから初めて見た夢」所収
・参加メンバーは全員(1~3期生)
・作曲は石井亮輔さん

 歌詞としては、犬や室外機、テレビという身近なものを出しながら、僕と君のすれ違いを歌っています。心地よく感じるエアコンの設定温度の違い、そしてお互いへの愛の熱量の違いのダブルミーニングになっているのだと思います。いろいろな立場に置き換えて、みんなが自分ごとに捉えられるいい歌詞だと思います。

そんな暑がりと そんな寒がりが
一緒に住むから 愛と呼べるんだ

 個人で捉えるとやはり歌詞の通り恋愛の話。

 乃木坂46というグループの歌として捉えると、加入してきた年数も違えば、生まれた場所も違う。グループへの熱が特に熱い人、そこまででもない人。選抜への想いが強い人、そうでもない人。目指す場所もそれぞれ違うでしょう。それぞれの価値観を受け入れることで、そこに愛が生まれてグループとしての力が増していく。

 敢えてもっと大きく捉えると、多様性を受け入れるから世界が平和になる、くらいスケールの大きな歌にもなりえます。

 その一方で最後に歌われるのは「秋はまだ遠い」。エアコンを使わずに済む、価値観のすり合わせが必要なくなる季節はまだまだ来ないという言葉で締めくくられます。


 曲の構成は以下のようなイメージです。
・A-B 1期生
・A'-B 2期生
・サビ 1期生・2期生
・間奏 移動など
・A'-B 3期生
・サビ' 全員

 円盤やのぎ動画で確認できるものしかありませんが、「設定温度」披露の歴史の中からいくつかポイントを紹介しておきます。

◆2017.07.01 真夏の全国ツアー2017@明治神宮野球場 DAY1
 3期生ライブ→2期生ライブ→1期生ライブときて、いよいよ全員で「設定温度」です。まだ1期生もほとんど残っている中でもエース感に溢れている齋藤飛鳥さんが特に目を引きます。個人的には、中元日芽香・伊藤万理華・生駒里奈と3期生が同じ舞台にいるというのが結構印象的で、加入や卒業一つ一つの事実を見ていけば確かにそういう期間もあった訳だけど、振り返ってみるとなかなか面白い瞬間を捉えているなと思います。その後の東京ドームでも同じ形で披露されました。

◆2019.02.24 乃木坂46 7th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY4
 西野七瀬卒業コンサートで「命は美しい」の衣装で披露されました。最後のサビでは
全員が外向きの円になってパフォーマンス。1~3期生の全員曲である「設定温度」が終わるとともに、4期生が登場して「傾斜する」というここの流れはきれいですね。

◆2020.02.21 乃木坂46 8th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1
 この曲の雰囲気にふさわしくないコールが聴こえるのが少し残念。先輩メンバーも徐々に減り始め、間奏から3期生と合わせてオリジナルではいない4期生も登場しました。ただ歌唱はサビからの参加だと思います。

◆2021.02.22 9th YEAR BIRTHDAY LIVE~前夜祭~
 前夜祭イベントのパフォーマンスゾーンとして、無観客のステージで26th制服で披露されました。もう1期生が減ったのが一目瞭然の歌い出しで、最初のサビから3期生登場、間奏から4期生登場でした。全員が揃った最後のサビのみダンスあり。

◆2022.08.30 真夏の全国ツアー2022@明治神宮野球場 DAY2
 これは配信で見ただけなのであまり覚えていませんが、久保史緒里センターで、セレクトされたメンバーでの披露でした。センター横は賀喜遥香・樋口日奈。

 パフォーマンス面に目を移すと、無駄なダンスがないところが好きです。サビまでは立ったまま歌唱に集中していて、サビも立ち位置は変えず必要以上に脚を動かさない。最近はフォーメーションダンスが多すぎてやや食傷気味なので、こういう歌に集中できる曲は貴重です。
 サビで身体を3回ウェーブする振付がありますけど、乃木坂ではあまり見ないタイプだし、結構ダンス力が試されますね。あそこでしなやかで美しい動きを見せられる人は本物だと思います。


 またなんか話がとっちらかってしまいましたが、結局のところ乃木坂46はいつでも僕と君で愛を歌っているのだと思いました。

 いつでも涼しい顔をしていて、すぐに眠ってしまう君。
 君があまりに淡白なものだから、愛が足りひんと苛立っている僕。
 まとめるとこんな歌です。

愛が足りひん!

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