「もし君がいなければ」について

こんばんは。

「もし君がいなければ」
・4thアルバム『今が思い出になるまで』収録
・衛藤美彩のソロ曲
・作曲は杉山勝彦さん

 衛藤さん本人もどこかで言っていたと思いますが、杉山さんの曲で卒業できるなんて贅沢ですね。歌っている内容は、サビの一節に集約されていると思います。

もし君がいなかったらこの夢は終わってた
諦めてしまう方が楽だった
いつだってそばにいて期待してくれたから
投げ出さずもう一度頑張れた

「もし君がいなければ」より

 アイドル活動をする上での夢と悩みについて、それからとりわけファンへの感謝を歌っていると捉えることができると思います。君=ファン、もしくは君=メンバーと置き換えてもいいかもしれません。しかし改めて読んでみるとびっくりするほど普遍的かつストレートな感謝の歌ですね。

 個人的には、この楽曲に関する思い出といえば8th YEAR BIETHDAY LIVEのことしかありません。

・8th YEAR BIETHDAY LIVEでの伊藤純奈と久保史緒里の歌唱について
 「ないものねだり」「自分のこと」「もし君がいなければ」「強がる蕾」と並べられた8thバスラDAY4の卒業生ソロ曲ブロック。歴代のBIRTHDAY LIVEの中で最もエモーショナルといってもよいゾーンですが、この曲も卒業生と関係性の深い二人、舞台『三人姉妹』で共演した後輩二人による歌唱となりました。二人とも歌唱力には定評のあるメンバーですし、純奈さんは喉の調子があまり良くなかったらしいですが、それでも本当に素晴らしいパフォーマンスだったと思います。
 そして、この二人が歌うことで歌詞の中の「君」がファンから衛藤美彩さんに変化して、卒業するあなたの存在によって、私はこんなに頑張れたんだという歌になっています。歌詞全体においても卒業などの言葉は避けられており、見事に反転が実現しています。先輩のことを「君」とは呼ばないとか細かいことは置いておきます。

・落ちサビについて
 間奏・短いCメロの後に落ちサビ→大サビという流れです。
 音源では、まさに落ちサビという感じで声量も抑えめに「もし君と~」と静かに入り、最後の「行けなかった~」から盛り上げて大サビへと入っていきます。衛藤さんの卒業コンサートでも同様に歌われていました。

 もし君と会わなけりゃ
 人生は変わってた
 新しい道なんて行けなかった

「もし君がいなければ」より

 歌詞についてですが、ここを最初に聴いたとき、というか8thバスラまでずっと、何で「もし君と会わなければ」じゃないんだろうと少し疑問に思っていました。「会わなけりゃ」ってかなり口語的ですし、口語的と言いつつも「~しなけりゃ」って日常生活でもなかなか使わないような気がするので。微妙にしっくりこないなと思っていました。
 でも久保史緒里さんがここを歌ったときに疑問が氷解したのをよく覚えています。
 ここ、久保さんは少ししか声量を落とさずに、むしろ感情を込めて力強く歌っていたんです。落ちない落ちサビ。

もし君と会わなけりゃ

 明確に想いを届けたい相手がいるときは、この歌い方で、なおかつ「会わなけりゃ」じゃないとダメなんだと気づきました。「会わなけりゃ」とくだけた表現にすることで「君」との距離感が近くなるし、半拍溜めることになるので、その分押し出すように力強く歌えるようになっていると思います。

 そういった訳で、それ以降は音源だと物足りなく感じる身体になってしまいました。音楽的には落ちサビで落とすのが制作者の意図なんでしょうが、個人的には久保さんの歌い方が正解だと思ってしまいました。それくらいハッとした瞬間でしたね。もしかしたら、緊張で抑揚とかどうでもよくなっちゃっただけという可能性もありますが、それはそれとして…。

 舞台『三人姉妹』はU-NEXTでも観られますのでぜひ。それでは。

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