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ベイブレードX 運営に対するあれこれ


イベント開催はありがたいけれど

ベイブレードXは2023年8月に発売された。
競技玩具で、競技性やカスタマイズ性、技術まで問われる、非常に戦略性の高いバトルホビーだ。
競技玩具らしく、公式・非公式を問わず多数の大会が各地で開催されている。メインターゲットの小学生を対象としたレギュラークラスだけではなく、中学生以上の大人まで参加できるオープンクラスも開催されるなど、年齢を問わず大盛況の様子だ。
だが、現状を見る限り、手放しで「ベイブレードXは素晴らしいホビーだ、ぜひ大会にも参加してくれ」とは言えない。
その理由は、主に公式・運営の態度にある。

問題点がいくつか

問題は3点ある。
1.参加者の暴走を止められていない
2.大会スタッフ・ジャッジの練度不足
3.「ベイブレードX」に対する公式側の態度

1.参加者の暴走を止められていない-運営がコントロールできていない

先日、大阪・東京で小学生向け大型大会「エクストリームカップG1 2024 レギュラークラス」が開催された。小学生の頂点を決める全国規模の大会だ。選手はのべ512名にも上る。
ここでひとつの問題があった。選手の登録は各会場「先着」256名だった。事前応募・抽選形式ではない、早い者勝ちルールだ。公式HPではこのようにアナウンスされている。

https://beyblade.takaratomy.co.jp/beyblade-x/event/g1_regular2024.html

ここに「〇時から受付を開始します」「〇時以前の待機はご遠慮ください」などの文言はない。おおよその社会規範、マナーとして、開場時間に合わせた待機列形成を期待していたのだろうか。だが現実として、3月31日の大阪大会では「マナー」は守られなかった。徹夜・早朝組の待機列形成、代理受付や本人以外への出場権譲渡、等々・・・大会の後日、公式Xで以下の画像が投稿された。

https://twitter.com/tbh_pr/status/1775686400182272012

しかし残念ながら、4月7日の東京大会でも早朝組の発生が確認された。
魚拓はとれていないが、4時頃には待機列ができていたとXで報告が上がっている。また、「絶対に参加したければ4時には並べ、子供たちは野良試合をしている」といった旨のポストも見かけた。6時半頃には「現在お並び頂いても参加できない可能性がございます」とアナウンスがあったという。開場時間は10時にも関わらず、この時点で来場しても参加できなかった子供たちが発生した。
これらのように「自分さえよければいい」という思考の、マナーを守らない大人たちが集結した結果、マナーを守った子供たちは泣く羽目になってしまった。G1大会・小学生最強の座をとったのは、マナーを守ることを知らない大人の策謀が裏にある。最強を目指すためにはマナーを守ってはいられないようだ。

2.大会スタッフ・ジャッジの練度不足

ベイブレードは一瞬一秒の差が勝敗を決する、非常にジャッジが難しい競技だ。各種レギュレーションや厳密なベイチェックの下バトルを成立させるためにジャッジが配置される。人間である以上は各ジャッジ間の練度に差が出るのは仕方がないが、あまりにもルールの理解が足りていないスタッフ・ジャッジもいたようだ。如実に表れたのがバトル前のベイチェック、不正をしていないかの確認だった。
ベイブレードXには「マーキング」というものがある。パーツに印をつけ、自分のものだと目印にする他、ベイブレード全体のバランスを整えるためにパーツの向きをわかりやすくする目的で行われることもある(現実の大会では後者の意味合いが大きい)。このマーキングができる場所は公式レギュレーションでも制定されている。また、公式YouTube動画でも触れられている。

原則禁止事項『各パーツの接触部分やランチャーに触れる部分への塗装』
黄マーク部分がマーキングできる部分の一例

このマーキングについて、ジャッジ判断でパーツの交換・塗装の除去を命令されるケースが多い。重要なのは、レギュレーションや塗装例を守っているにも関わらず弾かれるケースがあることだ。先述した「エクストリームカップG1 2024 レギュラークラス」でも、マーキングへの指摘が相次ぎ、中には「子供が泣きながら対応した」「レギュを守っているのに3回も指摘された」という声もある。
このマーキング行為はベイブレードXにおいては非常に重要で、パーツの向きで性能がまるっと変わってしまうことも多い。大会参加者ともなればマーキングしている選手も多いだろう。その中で、ルールを守っているのに熟知していない大人から「ルールを守れ」と迫られる恐怖はいかほどのものだろうか。大人でさえ委縮してしまうだろう。大人であればジャッジへの異議を立てることや、「上」のジャッジやスタッフを呼ぶこともできるだろうが、子供はそうもいかない。大会に参加するための練習として「ジャッジへの異議申し立て」も必要なのだろうか。
大会スタッフを全員タカラトミー社社員で揃えるというわけにもいかずアルバイトスタッフを起用する背景を考慮しても、スタッフ育成があまりにも追い付いていないように感じる。

3.公式は「ベイブレードX」をどう思っているのか

スタッフ・ジャッジの練度不足に付随して、もうひとつ考えたいことがある。タカラトミー社は「ベイブレードX」をどう捉えているのかという問題だ。
ベイブレードXは「自分さえよければいい」人が発生してしまうほどに人々を熱狂させている。現場の熱量は、体感した人ならわかるかもしれないが、声量もすさまじく、大きな波のようだ。競争が人々を駆り立て「自分が一番だ」と拳を上げさせ、あるいは「ベイブレードができることが楽しい」エンジョイ勢も相手とぶつかることに拳を握る。
だが、この熱量に反して、タカラトミー社は冷ややかな視線を送っているように思える。ベイブレードX事業部だけを見れば、公式YouTubeチャンネルやSNSでの活動など手が込んでいる部分もたしかに大きい。一方で、企業の一商品でしかないと考えれば仕方ないかもしれないが、「たかがオモチャ」といった態度に見えてしまうのはなぜだろう。
大会・イベント運営の杜撰さがそう見える大きな要因に思える。先述したように、参加者や選手をコントロールできておらず、またスタッフの育成不足も目に余る。どうも「本気」でやっているようには見えない。選手はみな「本気」で足を運んでいるにも関わらず、ここで熱量の差が見て取れてしまう。他の玩具、ミニ四駆との比較になるが、向こうは非常に恵まれているようだ。過去にはプレイヤーの暴走もあったが、レギュレーションやルール、マナーとして「あるべき姿」を見せ、公式・運営とプレイヤーが協力し、大人も子供も分け隔てなく同じ土壌で競い合っている。
ベイブレードXはどうだろうか。クラス分けをしているとはいえ、皆が平等に「あるべき姿」を目指してプレイしているだろうか。「自分さえよければいい」姿を子供に見せてばかりはいないだろうか。この環境は、はたして教育によいものだと言えるだろうか。

運営に望むこと・子供に見せるべきもの

以上をふまえて、公式・運営には「あるべき姿」の例示・・・レギュレーションやルール、マナーの順守を第一義として、違反者にはペナルティを課すなど、「公式」としての権力を正しく示してもらいたい。もちろん順守する人の中には公式も含まれる。また、「自分さえよければいい」大人に対しての決別を宣言してほしい。子供は大人の背中を見て育つ。このベイブレードXを取り巻く環境が、はたして子供の教育にいいだろうか。また、マナー違反者が増長して幅を効かせ、雰囲気を悪くしていないだろうか。
もし現状を変えたい人がいるなら、公式への問い合わせやSNSでの発信を通して、現状を変えられるよう訴えていくことが可能だ。特にSNSでの問い合わせは多くの衆人の目に留まり、事態を変えていこうという新しい波を作ることさえ可能だと思う。どうか臆せず、「ここがおかしいのでは?」「ここは変えた方がいいんじゃ?」という意見を発信してみてほしい。
ルールやマナーを守った人が損をしてしまう状況が、僕はただただ悲しい。公式による舵取りの下、よい方向へ進んでくれることを一プレイヤーとして望んでいる。

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