シンガポール補習校入学式

去る4月16日土曜日、一番上の娘のシンガポール補習校の入学式。今年の1月中旬にあった募集要項の受け取り、試験、合格後のオリエンテーションなど足掛け3か月に渡るプロセスを経て、待ちに待っての入学式!

シンガポールにいると”節目”というものを感じるのが非常に難しい。季節の移り変わりもないし、年度の変わりは年末だし、学校でもいわゆる”式”というのはなく、新タームが始まるだけ。多文化国家なだけあって、色々な宗教の祝日はあれど、そのそれぞれを家庭で祝うわけではないので、時間の流れを心理的に区切ってくれるイベントというのがない。そのせいか、意識していないと一年が本当にあっというまに過ぎてしまう。

そんな中で、シンガポール補習校では日本にいるかのような格式のある入学式を執り行ってくださっている。集合時間に正門前に行くと、紺色のワンピースを着てきれいに髪を結った新一年生とその保護者の方が大勢青空の下で写真を撮っている。受付を済ませると、シンガポールの国花オーキッドのコサージュと名札が準備されており、それを娘の胸元につけてあげる。子供達はそれぞれ先生に引率されて教室へ。保護者は式のある体育館へと移動。

体育館に一歩足を入れると、自分の子供の頃の記憶そのままの日本の体育館に、シンガポールと日本の国旗が掲げられ、赤い横断幕が壁に吊り下げられている。そして前方には大きな「入学式」の看板が。それだけで、なんだかグッとくる。

式が始まると新一年生たちがお行儀よく先生に先導され行進して入場。娘の姿を発見。少し緊張して歩く姿がぎこちないけど、私を見つけてそっと手を振ってくれた。全60名の生徒の名前が読み上げられる。大きな声で「はい」と返事する子もいれば、緊張しているのか小声の子も。娘の声はかすかに聞こえた。後で聞いたら大きな声で「はい!」と言ったみたいだけど、後ろの方にいた私には残念ながらはっきりは聞こえず。でもきちんと先生の指示に従い集団行動ができている娘を初めて目にして安堵するとともに、なんとも誇らしい気持ちに。受付してからほんの30分ほどの間に、式進行を先生から教えられたんだろうなぁ。子供たち、みんなきちんと整列して、「起立」「着席」の掛け声にも周りを見渡しながらきちんと対応していた姿が頼もしかった。

校長先生が学校生活を楽しく送れるよう子供たちに激励のお話しをしてくださり、いよいよ補習校学校生活の始まり!こんな風に感動して、これからの学校生活にワクワクと期待する気持ちが高鳴るこういう感じ、すごく新鮮!いろんなことを吸収して成長していってほしいな、と式を終えながら心の中で娘にエールを送った。

シンガポールには補習校以外にも日本の教育課程を補佐する塾はいくつもあって、選択に困るぐらいだが、私の中の軸として自分の子供達は補習校に絶対に行かせたいと決めていた。うちの子供たちのように国際結婚の家庭に育ち、インター校に行っていると補わなければいけないのは言語だけではなく、日本人としての人格、文化風習の理解と振る舞いなど文化的側面が大きい。私達にとって、規律厳しい所謂ザ・日本の環境である補習校に通わせることの重要性と意義はそこにある。

子供達がフランスの教育を受け、そして日本的な側面にも触れつつ大きくなるとどういう性質を持った人間になるのか、とても興味深い。どちらかにより強い影響を受けつつも、もう一つの文化にも適応できるようになるのか、和洋折衷的に自分なりに両文化を咀嚼して取り込むのか、それとも時と場合と周囲に合わせて使い分けるようになるのか‥ 私にできるのは選択の幅が広くなるように環境を整えてあげて、あとは見守り、必要なら少し背中を押してあげること、かな。

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