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営業論

 久しぶりにゆったりとした気持ちで金曜日を迎えている。ここ数週間、頭の中で短距離走でも繰り広げられているんじゃないかというくらい思考回路が興奮状態だったので、ようやくスタート地点に立てそうだと安心している。今日はもう、この後ネイルに行って、家に帰ってゆっくり本でも読みながら眠りにつくだけだ。ちなみに今週は、ここ数年ずっと積読と化していた又吉直樹の「劇場」を少しずつ読んでいる。

 今日は朝から久しぶりのお客さんへ、最近こんなことやってます、というプレゼンをした。もちろん私ではなく、いつだって優しく頼もしい社長がプレゼンしてくれた。うちの会社はAIの会社で、その業界の中でもやっていることがとてもとても複雑なのだ。そんな会社にいつの間にか流れ着いていた私の、営業としての役目といえば、会議メンバーが揃うまで「御社は出社ですか在宅ですか」とか「大手さんだと出社しても誰かしら居るから行き甲斐がありますね」とかなんとか話をして、会議終わりに「本日の資料と共有した画面のURL、この後まとめて送りますね」とか「せっかくのご縁ですので、AI周りのお困りごとあれば何でもご遠慮なくお呼び立てください」とかなんとかいうくらいだ。

 ちなみに会議前にはオンラインと言えどもきちんと化粧をして(欲を言えばピアスもつける)、会議中は出来るだけ笑顔で、かつ、オーバーなくらい頷くリアクションを忘れない。(人って頷かれると安心して話したくなる、特に技術屋さんは。)そして、お客さんのジョークに対して笑うときに叩く手の位置は、胸の前ではなく顔の前が正しい。(オンラインだと顔から上しか見えないからね。)

 営業って果たしてこういうことなのか?w、と疑う気持ちも昔はあったけど、できることを懸命にやるってのが営業の基礎だから間違っていない、と今では開き直っている。いくつになっても謙虚さと一生懸命さとちょっとした勇気がそこにあれば、それは立派な営業魂だ。

 なんで私が今日、いまどき営業本の序章にも書かれていないような、こんなくだらない営業論を柄にもなく書いているかというと、このnoteを細かくチェックしてくれている会社の可愛い24歳の後輩女子に、私なりの拙いエールを送りたいからである。

 世の中にはコンサルティング付加価値を100%も200%も上乗せできるようなスーパー営業がうじゃうじゃいる。出版できるレベルの資料を一晩で作って、酒は飲んでも飲まれずに、お客さんの個人的な悩みに朝まで付き合って、一日24時間365日クライアントの課題解決に向き合い、一度の案件で何億も取ってくるようなプロフェッショナル達。私が24歳のときに目指していた営業マンの姿だ。

 結局私はそんな営業マンにはなり損ねたけれども、膣エステの話とか、年下の男の子とデートしたら最終的にホテルに連れてかれそうになった話とか(光栄である)、飲み過ぎて酩酊して翌日使い物にならなかった話とか、そんな無駄な話はいっぱいできる37歳の営業(仮)くらいにはなったわけで、私を目指すつもりは1ミリもないかもしれないけど、とにかくまあ、仕事は人生の全てにはなり得ないから(何か他に大事なことがあったら暇している私が巻き取るから)、24歳という今を楽しむ心を忘れずに、人生をエンジョイして欲しいなと思っています。

 スーパー営業ウーマンっていうのは、今を楽しむことの積み重ねのその先に、いつの間にか自分でも気づかない間に、勝手に出来上がっているはずなんだ。

 皆にとって最高のフライデーナイトになりますように。


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