発達相談と、 息子のトリセツ

わたしの復職まであと10日。
前回の日記から10日ほど経ったが、復職のネックになりかけていた「息子の保育園慣れない問題」は劇的に良い方向に進んでいる。

ここに至るまで色々あったので、もし今同様に悩んでいる方がいて何かの気づきになれたら幸いである。

1.保育園への同伴

息子はかれこれ2週間くらい、体調不良で休んだり、行けたとしても保育園にいる間泣き通していたりして、まともに保育園に通えていなかった。

「朝登園してから、ご飯を食べている間以外はずっと泣き続けているので、園内遊びもお外遊びも参加ができていない状態です」
と言われたときは参った。しかもそれが4日連続で続いたりした。(泣きすぎてお腹すいたんだろうな、、食べるのに貪欲な息子でよかった)

しまいには、「息子くんの不安がなくなるまで、お母さんが付き添ってくれませんか」との提案を受けた。

最初は「慣れない子への対応ってそういうものなのかな」と思い、のこのこと息子に同伴することになったのだが、一回やってみて「これは意味ないな」と悟った。

息子はわたしにへばりついているし、先生方は他の園児たちの対応で大忙し。他の園児たちからは遊び相手と見なされ、ただただわたしが保育士の体験をする一日になってしまった。

(それにしても保育園にはいろんな園児がいて、、わたしだったらブチ切れるなそれ…という事案にも冷静に対応している先生方にほれぼれした。いつもありがとうございます。)

2.苦悩と検索

週末に入り、ひたすら悩んだ。

・他に息子に合いそうな園はないか?
・ベビーシッターはいくらかかるか?
・こんな状態だったら、入社日をずらすべき?
・内定先に「息子が慣れるまでは時短で…」とお願いするか?

そして、調べた。

保育園 慣れない
集団行動 できない
慣らし保育 どれくらい

など、しょうもない検索ワードが並ぶわけだが、そこであるキーワードにたどり着く。

発達障害


うーん、、考えすぎかなあと思ったけれど、頭の片隅に置いておくことにはした。

そんな中、マレーシアでお世話になったママ友が「行政に相談してみては?」というアドバイスをくれた。

それまでは「保育園とわたしたち」という構図でしか考えられていなかったが、ここで専門家も巻き込んで良い方向に進んだらいいなと思い、週明けに連絡してみることにした。

3.行政への相談、からの発覚

週明け、この日は園に濃厚接触者が出たため登園自粛していた。

早速、市の保育課に電話を入れてみた(今思えば連絡するところを間違えていた)。

「息子が保育園に全く慣れず、2か月目になっても毎日泣き続けていて、、発達面も含めて一度相談したいなと思いまして…」

その後、複数部署を経て市の「健康福祉センター」につないでもらうことになった。

健康福祉センターでは、保健士さんと臨床心理士の方がついてくれ、息子の発達、それに応じた環境調整などをサポートしてくれるらしい。

早速面談予約を入れようとすると、「明日の朝イチだけ空いていて、あとは来月まで埋まっています」とのこと。
すかさず翌日の朝イチに予約を入れることにした。

予約にあたり、「面談前に、保育園側からも普段の様子を伺いたいので、聞いてみてもらえますか?もしくは保育園からお電話いただきたいです」と言われた。

そこで初めて保育園に行政に相談していることを話し、改めて息子の様子を聞くことにした。

電話に出たR先生は、少し困ったような感じで

「園長との面談をセットするので、4日後でもいいですか?」

と提案してきたのだが、

「明日面談なんです、、R先生の所感で結構なので、少しでも気になることがあれば伺えませんか…」

とごねてみたら、なんと色々出てきた。(以下、抜粋)
息子は保育園で相当苦しんでいる様子だった。

「お話するとき、目が、全く合いません」
「名前を何度読んでも、返事がないです」
「お友達が多い空間だと、取り乱します」
「音にすごい敏感です」
「みんなで同じことをする、という状況をすごく拒絶します」
「クレーン現象(※)が多々見られます」

そもそも一時的な現象かもしれないし、親の不安を煽ることもできないといった中で、率直に伝えてくれた先生には感謝。

それにしても、発達障害について調べていたときに知った行動特性の数々が出てきたので、話を聞きつつもうまく頭に入らず、しばらく現実が受け止められなかった。

先生から聞くまでは「息子には当てはまらない」と思っていたのだが、どうやら母子でいるときにはなくても、慣れない環境に身を置くと発現するというケースが往々にしてあるらしい。

先生にお礼を言い、健康福祉センターの担当者とも連携してもらうようお願いをした上で、翌日の面談に臨むことになった。

4.臨床心理士との面談

翌日の朝、初めて市の健康福祉センターを訪れた。「母子保健室」なるところへ行くと、担当となる臨床心理士が迎えてくれた。

「わたしたちは発達相談を受けることが役割です。医師ではないので、診断などはできません。わたしたちは今日の面談を通して見受けられたこと、こうしたらよくなるんじゃないかな、というアドバイスをしています」

とおっしゃっていた。行政にはいろんな困りごとに対して、あらゆる役割の人がいてサポートする体制があるんだなあと思った。日本で育児についてサポートを受けるのが初めてだったこともあり。

ちょっとしたプレイスペースがある面談室に通され、かれこれ1時間半程度、生後からの発達(何ヵ月で歩きだして、しゃべりだしたか、など)、マレーシアでの生活、マレーシアでどんな検診項目があったか、日本に帰ってからどうか、などなどひたすら聴取された。後半は、息子の様子を観察。積み木で指示した動作ができるか、会話ができるかどうか、などを見てもらった。

いただいたアドバイスは日常で実践できるものばかりで、結構参考になった。(詳細は割愛)

結果、保育園の先生のご指摘と同様、「行動特性について気になることがある」といったコメントをいただき、市の療育センターへ紹介状を出されることになった。

「療育」。数日前までまったく無関係だと思っていただけに、自分の気持ちがまったく追い付かず。

今後のステップとしては「療育に向けた面談」「専門医による診療」ということになるのだが、一番気になる「専門医による診療」は最速でも3か月先とのこと。先すぎる・・・。

今回の面談では、特定の診断を受けたわけではないものの、「息子が集団生活を送るためには、なにかしら特別な対応が必要らしい」ということがわかった。大きな収穫だった。

5.息子のトリセツを作った

面談を受け、保育園側ともよく話し合った結果、「息子の特性を理解し、集団行動が難しい場合は個別対応をしていく」ということになった。

そこで作ったのがA42枚程度の「息子のトリセツ」である。息子がどういう人で、何が好きで何が嫌いで、どういったアプローチが有効と思われるか、ということをつらつら書いたのである。思い返せば入園時にそういった引き継ぎはしっかりできていなかったなと反省。

早速保育園に渡して、保育士間で共有してもらうことにした。

書いた内容はたとえばこんなかんじ(実際の分量はこの4倍くらい)。

【好きなこと】
 ごみ収集車、トーマス、電車
【好きな遊び・歌】
 トミカ遊び
 砂場遊び
 車・電車を探しながらのお散歩
 歌「はたらくくるま」「ジューキーズ こうじちゅう!」
【嫌いなこと】
 集団で同じことをする
【得意なこと】
 集中して一人で遊べる
 ルーティンが守れていれば落ち着いて過ごせる
【苦手なこと】
 集中しているときに別のことをする
 走る・ジャンプする

【サポートをお願いしたいこと】
・興味がない物事に関しては、取り掛かれないもしくは集中力に欠けることがあります。興味がありそうな要素を拾って伝えてもらえると少しずつ食いつくと思います。それでも難しい場合は、お手数ですがご迷惑でない範囲で別のことをさせてもらえると落ち着きます。

・見通しが立たないことへの不安感が強いようです。次の予定に移るときにぐずる場合、「●●したあとは、◎◎するよ」と伝えてもらうだけで(うまくいけば)納得すると思います。

これを渡してからというと、息子が保育園で過ごせるようになった。具体的には

・息子が取り乱しているときは、好きな音楽をかけてもらう
・公園遊びに参加できないとには、個別に電車が見えるスポットに連れて行ってもらう
・みんなしている挨拶ができなくても、無理にさせない

など、個別の対応をしてもらっている。

こう書いてみるとただのわがままな園児にしか見えないのだが、できるところからゆっくりと、息子ならではの方法で順応していいてもらえたらいいなと思う。

降園時に先生より、「やっと息子くんのことがわかってきました!お母さん!一緒にがんばりましょう!」と言われたときは少しほっとした(いまさらかい!とも思ったが)。やっと安心して預けて良いのかな…と思えたからだ。

息子と二人三脚、とばかり思っていたが、保育園も行政も頼って、「みんなで育てる」を意識的にしていかないとなあ、と思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?