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身体の動きを学んでみる3;筋力について(7)

筋肉の収縮様式についてを続けます。

筋の収縮様式:2の続き

前回の結論:筋力は、求心性収縮力<遠心性収縮力
これには但し書きが必要でした。
それは、
あくまで同じ負荷量;
例えば同じ体重とか、同じ重さのダンベルだとか;
ということです。

階段は降りる方が筋力を必要とする

そこで具体的な動作、今回は階段の昇り降り(階段昇降)
について、太ももの前にある大腿四頭筋で
考えてみましょう。

階段を昇るときには、段に上げた脚の大腿四頭筋は
収縮しながら長さも縮まっていきます。求心性収縮ですね。

階段昇りでの大腿四頭筋の収縮様式

一方、降りるときはどうでしょう?

階段降りでの大腿四頭筋の収縮様式

支えている側の脚の大腿四頭筋は、
徐々に膝が曲がっていくので、
筋の長さとしては伸ばされていきます。
しかし収縮しなければ膝がガクンと折れてしまうので、
当然のことながら収縮もしています。これは遠心性収縮です。

同じ体重(同一人物の場合)なので、
負荷は同じと考えれば、
必要な大腿四頭筋の筋力は、昇り<降りとなります。
降りるときの方が昇るときよりも筋力を必要とするんですね。

ですから、下肢の筋力を鍛えたければ、
階段をひたすら降りるという考え方もできます。
昇りはエスカレーターで降りは徒歩で、です。

階段は昇る方がツライわけ

でも階段を昇り降りした人なら気づくでしょうが、
降りるときよりも昇るときの方がツライ、シンドい!
と感じるのではないでしょうか。それはなぜでしょう?

この理由を考えるときには、物理の知識を使いましょう。
ものが下から上に上がるということは、
その高さ分の位置エネルギーを加えていかなければなりません。
エネルギーの注入が必要なんですね。

そのため、
呼吸循環系の働きが(降りるとき)より必要になります。
ですから階段を昇る際に、はぁはぁと息を切らす場面が
出てくるわけです。

それに対して、降りるときは
最初にある位置エネルギーを消費していくだけです。
具体的には自分の体重分の重力を利用することができます。
極端に言うと段差を一気に飛び降りてしまえば、
なんのエネルギーも必要とせずに(あくまで物理的に考えての話です)
下に降りることができます。

ただし、
もの(物体)とはいえ人の身体なので、そのまま落下すると
転倒して怪我をしてしまうかもしれません。

そこで遠心性収縮の登場です。
自分の体重を落下させずに(ゆっくりと)降ろすには、
;膝折れを防ぐには、と言い換えてもいいでしょう;
大腿四頭筋の遠心性収縮による膝角度の調節(コントロール)
が必要になるわけです。

結論

階段昇降では、
昇ることで呼吸循環系が鍛えられます。
降りることで下肢の筋力が鍛えられます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回は、筋肉の収縮速度(スピード)と力(ストレングス)
の関係、筋パワーとは何か?
についてのお話です。ではまた。



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