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記憶のすり替え【エッセイ】

ここに挙げる2つの話、内容は全く異なるのだが、共通点があるので一緒に書いてみた。

1つめは喋る猫の話。これは、以前産業カウンセラー講座で同期だった人と飲みに行ったときに聞いた話だ。彼女の家の猫が、見えない何者かと人語でコミュニケーションを取っているところを目撃したらしい。見られていると気づいた猫は、ハッとした顔をして話をやめたらしい。

2つ目は実家にある丸い石の話。ある日突然弟が、これは大事な石だから動かしちゃいかんと祖母が言ったのだと言い出した。私はそんなものかと思い、大して気にも留めず受け容れた。

その後数年して、それぞれに何気なくその猫と石の話をしてみたら‥‥なんと、全く覚えていないのだ。二人とも。同じような表情で私を見ていたのを覚えている。この人は何をおかしなことを言っているのだろう。私(僕)がそんな話をするわけがないじゃないか。まるでこちらがおかしなことを話しているようで、とても気まずかった。

それにしても、両方ともことの内容が内容なので、何か神がかり的なことなのか?と考えていたのだが、「記憶のすり替えでは?」という助言をくれた人がいた。

人は自分に都合の悪い記憶は消したりすり替えたりしていくものらしい。そのように考えると、今回の2つの件は、「自分の言ったことがあまりに信じがたいおかしなことだったから、なかったことにしてしまった」ということになるらしい。

しかしこの2つの件に関しては違和感がある。その話をしていた時、二人ともに感じた感覚が異様だったからだ。本人でなく、まるで第三者がその中に入って、あえて私にその話を伝えようとしているような印象を受けたのだ。

今ふと思いついた。来月弟が実家へ帰ってくるので、もう一度あの石の話をしてみようかと。その時彼はどんな反応をするだろう。楽しみだ。


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