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【すんだい新学期】遅れてくる開講日までの準備(その1)

※駿台高卒コース・朝霞担当クラスの生徒さん向けの記事です。開講日の遅くなる関東で受講予定の生徒さんは,参考にして自学自習をしてください。

 今回は「生物を学ぶこと」について触れます。

★学習法に正解はない

 大学入試に向けた勉強法があるかというと,それを真っ向から否定するのが自分の仕事であると思っています。そもそも,

《日常学習→(直結)→大学入試》

をモットーに掲げているわけですから,単純明解な日常学習の充実にこそすべてがあると思っています。

 例年4月に学習の指針となるプリントを配布しています。その内容をアレンジして以下に掲載します。今回は,大学入試に向けた基本的な考え方を示します。

★出題者が何を考えているか想像する

 これまで高校や学習塾で,与えられた問題を何も考えずに解いてきたみなさん! 大学入試では何が要求されているか考えたことがあるでしょうか?
 大学入試問題はその大学の鑑(かがみ)です。入試問題を吟味すると出題者の考えていることが垣間見えてきます。みなさんが今のところ目指す大学は,どこも立派な看板があります。したがって,世間に公表されたときに恥ずかしくない問題が出題されます。

「ゴロ合わせをたくさん知ってる生徒を入学させたい」
「○○という問題集を3周した生徒を入学させたい」
「予備校で受験テクニックを身につけた生徒を…」
「きちんと勉強しなくても受かる要領のいい生徒を…」
「教科書の太字をたくさん緑ペンで塗りつぶした…」

 どうでしょう。大学の教官がこんなことを思って問題を作るのでしょぅか。
 それでもみなさんは今までやってきたことに固執しますか?

★「生物」は自分について学ぶ科目

 「自分のカラダのしくみを学ぶ」これが生物という科目です。「生態系は自分のカラダじゃない」という文句は言わない! 自然の中の人間,生態系の知識なくして我々のカラダの成り立ちを知ることは不可能です。
 自分のカラダを他の生物と比較しながら,また化学の見方・物理の見方で改めて自分を知ることで生命を探ります。ですから,この解明には必然的に多くの知識が必要となります(文学的アプローチ,社会科学的アプローチなんかもありますから,大学で学んでください)。
 ですからいつも自分のカラダや生活に当てはめてみることが大切です。机にしがみついて勉強すること以外にも,楽しく食事をしている時,スーパーやコンビニで買い物をしている時にふと生物を思い出してみると,理解の助けになることが多いでしょう。

★生物・物理・化学は何が違う

 物理・化学・生物・地学という高校理科の各科目は,ザックリ言えば表現する言語が違います。物理は自然現象を主に数学を用いて表現する科目,化学は化学式や数量関係で表現する科目です。どちらの科目でもしばしば「自然現象は明解に理解できるんだなぁ」という印象をもつことがあると思います。
 生命現象は複雑であり,まだまだはっきりと解明されていない現象がほとんどであるため,単純化や数式化が難しいんですね。したがって生物では教科書で学んだことを日本語で説明することが中心となります。ここが取っつきにくいところかもしれません。何と言いますか「理科っぽくない」印象をもたれますね。
 しかし,どの科目も自然現象を理解することに違いはありません。科目によらず「どんなしくみになっているのか」を理解することが不可欠です。理解しなければならないことは,すべて高等学校の教科書に書かれています。
 どの科目も難しさに大差はありません。巷では「物理は満点取りやすくて,生物はある程度の点数はとれるけど満点は難しい」とか言われます。物理で満点とる生徒は易々と点数を取っているのではなく,先生方に質問したり,議論したり,それはそれは努力をしています。このような戯れ言に流されるのは,生物を我々の指示通りに学ぼうとせず,生命現象を真っ当に理解しようとしない輩です。相手にしてはいけません。

 「数学は苦手だから生物にしよう」なんて気軽に考えている人はいませんか? 覚悟をしっかりと決めて挑んでください。

★生きる力を身につける

 「受験勉強は役に立たない」「大学では実社会で役立つことは学べない」という声を聞きますが,それは大学で学問をきちんと学んでいないからです。そういう連中に耳を貸す必要はありません。医療ミスから逃れるためにも,妙なダイエット法にひっかからないためにも,サプリメントに熱狂しないためにも,スピリチュアルなんていう耳ざわりの良い言葉にダマされないためにも,インチキ化粧品を買わないためにも,原発稼働推進に矛盾があることに気づくためにも,宗教まがいの詐欺に引っかからないためにも,メディアの煽動にのらないためにも,生物学の知識をもつことが必要です。そうそう,感染症が流行したときにパニックを起こさないためにも適切な生物学の知識をもつことが重要です。高校生物といえども,生命現象を探求することに違いはありません。

 生物を学ぶことは,大学入試への対策でもありますが,生きる力を身につけることに他ならないと言ってもよいでしょう。


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