最近の記事

キューバの民主主義

日本でも選挙が終わったところですね。在外投票制度を利用させていただき、遠くキューバからも投票ができたことに感謝です。 さて、米国の経済制裁の理由の一つが、キューバに民主主義がないことです。では米国が経済制裁を止めてほしければ、民主主義を尊重しろ、と主張するこの民主主義はどういう意味なのか。それは「米国が決める民主主義」です。共産党一党主義の排除です。しかし、キューバ側の主張としては、たとえ一党制でもキューバには民主主義が確立されており、共産党の中で、憲法に定められている社会

    • 内なる制裁ではない?配給:キューバ生活③

      ここのところ、米国の制裁強化、通貨統合、コロナ禍が重なり、キューバのインフラはとんでもないことになっている。最低賃金が約80ドルのこの国で、トマトが2個で1ドルを超える(あればの話)。豚肉は450gで4ドル(これも手に入ればの話)。ただこれは正規の1ドル=24人民ペソで計算した場合で、闇の価格1ドル=60人民ペソで考えると、これらの価格は2分の1以下になるが、つまり給料も半分になる。 こんな超インフラかつ給料の安い国で、飢餓でなくなる人はいないし、屋根の下で寝られない人もい

      • 内なる制裁:キューバの生活②

        闇市。その言葉は暗く危ないものを連想させるけれど、キューバでは日常の一面で、隣人付き合いのように、親しみに満ちた人たちとの間で売り買いが交わされる。 闇市その① 7年近く前、住み始めたばかりの我が家のドアたたく音がした。隣人たちのドアも同時にたたいたようで、隣のドアが開く音もした。(うちは3件が一フロアにあるアパートで、互いのドアがむきあっている。)赤毛のおばさんが大きな手提げ袋を抱えて立っていた。「ハムはいらないかい。」手提げの中から新聞紙に包まれたピンク色のハムの筒を取

        • 内なる制裁:キューバの生活①

          キューバ人にとって、米国の制裁がキューバをどれだけ苦しめているか、というのは日常的に聞いている話で、彼らは反対に、政府によるキューバの内なる制裁を問題にすることが多い。そして、それはもちろん米国にいるキューバ人が「自由がない」と大問題にしている事柄である。 内なる制裁の一つが、平等を保つために政府が個人事業の営みを禁止したこと。簡単に言えば、農家が政府に売る分以上を生産しても、余った農産物を勝手に売ることはできなかった。これでは、全くやる気が起こらないのも無理ない。国営レス

        キューバの民主主義

          対キューバ経済制裁とは(その3)

          さて、前回のNOTEの終わりに、次回はなぜキューバ人にとって米国があまりにも近いのか、米国がキューバ移民に与えている特別な措置と、マイアミこそ表現の自由のない場所ではないか、ということについてコメントすると書きましたが、それではあまりに私たち日本人にとって遠い話になってしまうので、これらについてはさらっと流して、経済制裁が意味することについて具体例をあげて説明したいと思います。 なぜキューバ人にとって米国があまりにも近いのか。。。地理的な近さ、フロリダ州キーウェストまではわ

          対キューバ経済制裁とは(その3)

          対キューバ米国の経済制裁とは(その2)

          さて、前回はキューバに課されたきた制裁、オバマ政権で少し緩んだものの、トランプ政権で覆され、更に強まった制裁があるという話をしました。 では具体的に2017年以降どんな制裁が加えられたのでしょうか。米国の議会調査報告書によると、1.テロ支援国家への再追加、2.キューバ軍事省が管轄する企業(主に観光業)とのビジネス禁止、3.ベネズエラの石油船がキューバ入港することの禁止、4.米国人のキューバ渡航禁止(オバマが教育・研究目的、キューバ人を助ける目的でなら渡航を許可していた)、5.

          対キューバ米国の経済制裁とは(その2)

          対キューバ米国経済制裁とは。

          こんにちは さて、米国経済制裁を取り除け!とわめいている私ですが、では60年以上もキューバを苦しめて続けている米国の経済制裁とは具体的に何なのか。簡単に説明したいと思います。これを知らなければ、良かれとやったことが逆にキューバ人の友達を大変厳しい状況に陥れてしまう場合があります。私は、キューバ人の友達が、スペイン人として開設した口座(スペインの政策により、スペイン国籍を認められているキューバ人は少なくありません)に、振り込みをした際に、そうだとは知らず彼のキューバの住所を振

          対キューバ米国経済制裁とは。

          今キューバで思うこと

          2021年7月11日にキューバ全土で起こった大衆デモ。その発端とされるアルテミサ県サン・アントニオ・デ・ロス・バニョスへは、ディアス・カネル大統領自らが赴きデモに集まった住民らと話をした。同日午後にはハバナでもデモが起こり、急遽大統領はじめエネルギー鉱業大臣(当時発電所の故障により計画停電が続いていた)、保健大臣等、経済企画大臣らが全国テレビを通して、キューバのエネルギー、コロナ禍、そして食料調達に何時間も並ばなければならない経済の困窮(2020年にはGDPが10%落ちた)に

          今キューバで思うこと