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やること5、読書感想文を書いてみる

結局いつもより25分早めに会社に着いた。
1階に併設されているカフェには顔見知りが数名、各々の時間を過ごしている。
同様にコーヒーを啜りながら父への読書感想文を組み立てることにした。

受賞作と言っても、読みたいジャンルの相性というものがある。
サクッと読める量の純文学なら「芥川賞」
起承転結を追うタイプの文学は「山本周五郎賞」
ほぼ確実に面白い本を、というのであれば「メフィスト賞」であろう。
審査員たちが読んで「面白い!」となったら受賞&即刊行されるのだ。
出版編集者たちで構成されている、目利きの審査員たちだ。間違いない。

一方、微妙だと思っているのが「本屋大賞」である。
直近1年で刊行された本のうち、全国書店員が「面白い」と思ったものに投票する。ここだけ聞くとメフィスト賞と似ているように聞こえるが、
一般人が読んで面白いなら大衆受けするだろう」という安直な発想だ。
そして残念ながら、受賞作は年々、均質化しているように感じる
・書店員がみな読書家というわけではない。読まない店員もいる。
・インフルエンサーがSNSで勧めてたから面白いはずと鵜呑みにする
・理不尽な環境のなかで愛や友情がはぐくまれる→感動作という風潮
上記以外にも言いたいことはあるが、正直、はずれ率が高い。

そんな先入観を持っていたせいか、父の勧めた本にさほど期待はしていなかった。
おかげでいい意味で裏切られた。
今回の本屋大賞は稀にみる当たりだった。
論文に匹敵するほどの参考文献の量、史実に基づく設定ゆえに、各人物の描写が大げさになっても物語の軸がぶれることなく、読了。
読了後に登場人物たちのその後を妄想してしまうくらい、悦に入った。

読書感想文には型が存在する
1、推薦型:どこが面白かったか熱弁し、人に布教する
2、考察型:登場人物の行動や思惑を深掘りする
3、提案型:展開に対して自分だったらどうするか別解を提案する
4、メタ型:作品の構成について俯瞰して作者の意図を考える

今回の目的は「父と晩酌しながら語りあう」なので、結論は出さなくていい。
1と2をメインに構築する。
・ワクワクしたシーンに付箋を貼り、推しポイントを軽くメモ
・取り引きシーンで仮にB案が可決した場合、誰が裏切りそうか
2点を意識しておおよそ800字ほどに収めたら晩酌用読書感想文のできあがり。

ちょうどいつもの出社時刻になった。
朝カフェも悪くないな。

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