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妊娠中、いつが辛い?の意外すぎる研究結果!

聴く耳を塞ぐ、〝確証バイアス〟

さて今回は、妊娠期間中の心身の辛さや変化について、面白い、いや、意外な研究結果が載っている論文を見つけたのでシェアしたいと思います。

「なんだ、今回の話は妊娠か。俺は関係ないや。」

「私まだ妊娠する気はないし。」

そう言ってチャンネルを変えないで。

そんな方々に冒頭にお伝えしたいことがあります。

世の中では今、多様性とすごく叫ばれているじゃないですか。

誰1人として、多様性なんか糞くらえ!私は、俺は、そんなことを1ミリもやる気はない!という人はいないと思います。

昔は画一的な社会だったので、みんな右向け右、俺の言う通りにしろ、先生の言う通りに動け、という感じでしたが、今時それをやっていたら人間関係はうまくいかないですよね。

会社や学校以外にも、ご近所づきあいとか家族とか友達とか、身近な関係でも多様性が大事だとみんなが気づき始めている時代だと思うんですよ。

日本の狭い移動距離だけじゃなくて、ネットでは世界中と瞬時に繋がれますし、海外に出ることや英語が昔よりは身近な状態になってきているので、他者理解を深める、多様性を受け入れられる脳に変化していかないことには、未来に適応できないということは誰もがお分かりかと思います。

というわけで、今回お話する妊娠中の妊婦さんの心と身体の状態、これを知ることも皆さんの他者理解、懐を大きくするのに必要なことじゃないでしょうか?

少子化と言われ、年々出産する人が減っているこの日本ですが、1人も産まなくなる時代なんてないですし、これから先、妊娠出産を控える女性に関わる機会はあると思うので、知っていて損はないです。

ですから、まだ自分が妊娠出産に全く関係ないという方にも、今回の話を本当に聞いていただきたいです。

その前に、なんで人は自分が知りたくもないことをすぐに避けようとしてしまう性質があるのか、ということについて話します。

これを聞いてもなお、今日はいいやと言ってすっ飛ばすあなたは、心が画一性に振り切りすぎているかと思いますので、自分自身と向き合った方がいいかと思います。

じゃあ何で、人には自分の知りたいこと以外の情報をシャットアウトするのかというと、「確証バイアス」という、自分の信念やポリシーを肯定する証拠を意図的に探しにいく性質が人間にはあるからなんですね。

逆に言うと、自分の考えやポリシーを否定されたり反論されたりする、そういう情報をシャットアウトするということなんです。

例えば、玄米は身体にいいという意見もあれば、玄米は身体に悪いから食べない方がいいという意見もありますよね。

そういった賛否両論ある情報が溢れているじゃないですか。

でも人は、自分が得たい情報の方を無意識に取りに行く傾向にあるんですよ。

だから、玄米ってどうなの?というフェアな立場から情報を探しに行くんじゃなくて、玄米は身体に良いだろうから白米から切り替えたいと思う人は、玄米がいいという情報が目に付いて、そしてそれをよく読んで、「やっぱり玄米っていいじゃん、玄米にしよう。」と、自分の心の答えに合わせるんですね。

だけど、玄米は悪い説の方が自分の脳裏を占めていると、玄米は悪いという情報ばかりが自分の心に入ってきて、「やっぱり玄米はあまり良くなさそうだな、やめよう。」となります。

そしてその目線から、玄米はいいという情報を見るので、これは眉唾だ!というふうに感じやすくなるんですね。

世の中の研究論文、エビデンス的なものはたくさんありますけれども、その多くは研究者たちがある程度仮定を立てています。

これはこうなるだろうとか、これはこのように良いだろうとか。

そうしたら、その結果が得られるような実験を進めていくので、研究者や論文を出しているような立場の方々曰く「あんなの、いかようにでも作りたいように作れるよ。最低人数とかがあるわけでもないし、自分たちがこういう結果が欲しい!と思ったら、それに見合った研究結果を作り上げるだけだから。」とおっしゃいますね。

だから、知りたくないことに耳を貸さない人間に、いくら一生懸命説明したとしても話が通じるわけがないんですよ。

ということは、人は誰だって「確証バイアス」に陥る可能性があるということです。

偏見の目で見る人がいるわけじゃなくて、人は誰でも、そのとき、その内容に対して、偏見の目を持つものなのです。

つまり、誰だって不平等な目線、そういう脳の状態で物を見ていることを「確証バイアス」に陥っている状態というわけです。

ですから、世の中で多様性、個人を尊重する、他者理解を深めるというときに、自分が大して興味がない情報だとしても、多様性や他者理解を深めていかないことには、今後、あまり徳はないし明るい道は開けていけないでしょう。

でも、今回の話を聞けば「確証バイアス」が起きている脳の状態に陥っていることに気付きやすくなると思うので、興味がない情報をシャットアウトしそうになったら、しっかり心を開いて、多様性や他者理解に繋がることを知識として知っておこう!と、聞ける脳みその状態に切り替えてください。

というわけで、前提が大変長くなりましたが、妊娠中の妊婦さんの心や身体の変化、辛さ、リスク、これを誰もが知っている社会というのは、今後日本の少子化が促進していくうえで少しは歯止めになるかもしれません。

だって、そういう温かいお国柄だったら、みんなで子供を育てていけそうだなとか、妊娠すること自体が不安でしょうがなかったけど、理解を示してくれる社会だったら怖さが半減するなとか、そういうことにも多少は繋がるかと思います。

なので、ちょっとしつこくお話をさせてもらいました。

それでは、妊娠中の妊婦さんの心と身体の推移、これらの意外な研究結果と論文をご紹介してまいります。

妊娠中のストレスが及ぼす母体への影響

参考にした論文のリンクはこちらに貼っておきますので、興味のある方はぜひご覧ください。

▼参考にした論文はこちら

産業医科大学の阿南あゆみ先生が研究代表者で、『就労妊婦のストレス状況が及ぼす母体および出生児への影響』というタイトルの研究論文です。

この研究を行った背景には、仕事と妊娠出産の両立、さらには育児をしながら就業継続を可能にする社会環境を作っていくことは周産期領域や産業保健領域の重要なテーマである、ということがあります。

どんな実験をしたかというと、仕事から受ける影響を実証する酸化ストレスマーカーと、精神的なストレスを測るマーカーを、妊娠初期から中期、そして後期と、それぞれの期間ごとに測定しました。

さて、どのような結果になったでしょう。

皆さん、妊娠中っていつ頃が大変そうですか?

答えを聞く前にちょっと考えてみて。

妊娠初期ってお腹がまだぺったんこで、特に初産の方々は、中期も終わりの頃になってこないと、あまりお腹が大きく膨らんでこないですよね。

私も、妊娠後期の最初、安定期の頃なんてまだまだお腹がペタンコだったんですよね。

妊娠後期、出産直前になってくるとさすがにお腹が出るから、みんな歩きにくそうにしているじゃないですか。

あと、むくみとかね。

そうは言っても、妊娠初期ってつわりが大変そうですよね。

私も食欲が失せたな。

妊娠中期が一番楽なのかな?

でも、妊娠中期から後期にかけて産婦人科に通う回数も増えていきます。

初期の頃は1ヶ月に1回で済むんですよ。

それが、中期から2週間に1回になって、後期は1週間に1回は行かなきゃいけないですからね。

妊娠中、十月十日という短いような長いような期間に、ドラマティックに女性の身体は変わっていくものなんです。

さあ皆さん、想像はついたでしょうか?

この研究結果はいかに。

なんと、意外や意外、「妊娠初期の方が高く、妊娠後期に低下する」という結果が、いずれの項目にも出ました。

まず身体症状でいうと、妊娠初期が一番辛く、妊娠中期から妊娠後期にかけて減っていったんですよ。

身体症状ですよ?

お腹が大きくなっている後期の方が一番辛そうじゃないかと思いきや、逆なんですよね。

続いて、不安と不眠。

これも妊娠初期が高くて、妊娠中期が一番低く、妊娠後期にまた上がっている。

これは私も経験者なのでわかります。

特に初産のときは予後が見えないからとにかく不安ですよね。

あと、つわりは昼がひどくても夜に収まりやすいので、昼夜逆転してしまうという妊婦さんが多いし、臨月が近づいてお腹が大きくなってくると、膀胱が圧迫されてトイレが近くなるんですよ。

だから夜中に何回も目が覚めちゃって眠れないんです。

続いては社会的活動障害。

これも妊娠初期が高くて、妊娠中期が一番少ない。

そして妊娠後期にまたちょっと上がる。

初期が高いのは、つわりが辛いというのが大半を占めるでしょうね。

私も、妊娠初期のつわりでぐったりして体力も落ちているし食欲もないし、仕事のやる気も出なかったです。

後期の方が辛そうだとイメージをする方も多いと思います。

だってお腹が大きくなるとスローモーションになるじゃないですか。

だから社会的に活動しづらそうって、妊娠経験のない方はイメージすると思うのですが、妊娠に慣れてくるので、初期よりは後期の方がマシだという結果になっています。

そして鬱傾向。

これも妊娠初期が一番高く、中期、後期と段々下がっていきます。

これらを全部合わせた総評価が、妊娠初期が一番辛くて妊娠中期が一番少なく、妊娠後期が中期よりもちょっと上がる。

ということで、結果は妊娠初期のストレス度が一番高いということでした。

これを聞いて皆さんはいかがだったでしょうか?

妊娠経験者の方は、その通り!と首を縦に振った方もいらっしゃるかもしれないし、妊娠経験がない方は、そうなんだってちょっとびっくりしたかもしれません。

かくいう私はすっかり忘れていまして、この論文を見て思い出したという感じです。

妊娠出産のことって、2〜3年後にはみんな忘れるんですよ。

私も妊娠初期の頃、いろいろな人に今後の妊娠がどうなっていくのか不安だったので相談しても、ありとあらゆる人が忘れたと言うので、そんなわけないだろうと思っていたのですが、自分も忘れましたね。

自分のインスタに、妊娠出産と産後の子供の様子を綴っているプライベートアカウントがあるのでリンクを貼っておきます。

▼インスタグラムのアカウントはこちら

そのアカウントのストーリーアーカイブを、今回お話をする前に見ていたところ、臨月に「とにかく頭がボーッとしていて、まるで自分が馬鹿になったみたいだ。何も記憶できない。」なんて書いていましたね。

赤ちゃんを育てるためにお腹に血液が集まっちゃいますから、頭とかがボーッとしちゃうんでしょうね。

というわけで、だいぶ忘れていたのですが、この論文を基に思い出しました。

確かに私も妊娠初期が一番辛かったですね。

思い返したくもない、まずは激ヤセ。

こちらに写真を貼っておきます。


妊娠前と妊娠初期では顔の形からして違う。

妊娠中の写真は可愛く見えます。

頬がほっそりして、むしろこっちの方が小顔に見えていいじゃん!と感じるかと思うのですが、そりゃあ写真ですから、いい顔をしますよ。

でも実際は頬がげっそりとこけていて、会う人にめちゃくちゃ心配されて、「痩せたね、大丈夫?辛いんじゃない?妊娠大変なんじゃない?」と言われまくって、それもすごくストレスでした。

つわりっていつ終わるのか、その時は先が見えない状態なので、これが一生続くんじゃないだろうか、食欲が回復する時期がまた来るのだろうか、それも不安でしたね。

あと、私は整体師という仕事なのですが、初めての妊娠で「つわりとか体調不良とか急な出血とか、こっちの事情で急にキャンセルしなきゃいけないことになったら、それこそストレスだ!」と思って、積極的に仕事も増やせないし、かなり社会的に消極的になっていました。

妊娠出産の経験がある方はどうだったでしょうか?

かつ、妊娠の経験がない男女の方々はこの結果をお聞きになってどう感じるでしょうか?

続いては、妊娠中の会社勤めの方々の離職状況と、離職理由についてレポートします。

妊娠中の離職率と離職理由

この研究は、全部で145名の妊婦さんに実施され、その中で妊娠中にお仕事をしていたのが約100名。

その100名の妊娠中の離職状況について、さらに調査がされています。

妊娠初期の段階で仕事を辞めたのが約20%、妊娠の中期に辞めたのが約15%、妊娠全期間を通じて離職した人は約30%という結果でした。

これを人数的に言うと、妊娠初期と中期で辞めていて、後期まで続いた人は仕事を辞めずにそのまま続けたということなんですよね。

では、仕事を辞めた理由。

先に妊娠中期に辞めた理由を言いますね。

1つ目が、「契約社員、嘱託社員のため、産前休暇や育児休暇制度がない」です。

これは辛いですよね。

正社員だったら辞めたくなかったのに、という声が聞こえてきそうです。

あと、「会社の決まり」という方が1名いらっしゃいますね。

妊娠したら会社を辞めなきゃいけないという決まりなんでしょうか。

あとは、「引っ越しなどの家庭の事情」「なんとなく」「記載なし」という方々でした。

さあ、妊娠初期で仕事を辞めた理由はなんだと思いますか?

1位、圧倒的に多いのが「つわりがひどい」。

2位、「身体がきついなどの身体的理由」。

3位、「出血した」。

大半の理由は身体の辛さですよね。

先ほど少し私の経験を話しましたが、初めての妊娠って、今後自分がどうなっていくかわからないし、あまりのつわりの辛さに意気消沈。

男女共に、体調不良のときにいくら、頑張れよ!とか、応援しているよ!とか、君にはできる!と励まされても、なかなかその気になれないですよね。

身体の不調は心の不調とリンクしちゃいます。

ですから妊娠初期の頃の、病気でもない、薬も飲めないという絶望感たるやという感じですよね。

今は人材不足で、どこの企業でも優秀な人材を確保したいじゃないですか。

でもこうやって、妊娠の初期の頃の身体の辛さを理由に、30%の人に辞められたら会社としても困っちゃいますよね。

だから、本当は企業として社会全体として、妊娠しても安心して仕事を続けられる環境、そういう日本の社会を築いていかないと、せっかく仕事ができるようになって活躍してくれていたのに、妊娠を機に辞められてしまいます。

辞めることになった妊婦さん側としても、体調さえよかったら今まで通りやりたかったのに、という方も多いと思います。

だから、早期改善が必要な案件ですよね。

あと、妊娠初期に離職した理由として、育児に専念するなどの家庭の事情と記載なしがいますが、妊娠したら女性が暗黙の了解で育児に専念して専業主婦になるという古い体制もどうなんですかね。

将来の夢はお嫁さんやお母さんで、結婚して妊娠したら主婦になりたい!これが夢です!という方は全然いいと思うのですが、本当は育児も家庭も両立したい、会社や社会の制度的にも安心感が担保されているとか、社会的な目線でも子供が小さいのに働いて子供がかわいそうといった不理解がなく、社会全体で妊娠出産を温かく見守ってくれていて、仕事を続けることが容易にできそうだったら、妊娠と共に辞める人も減ると思うんですよね。

以上が、妊娠初期と中期の離職理由の違いでした。

初期は圧倒的に身体の辛さ。

中期は、会社の制度がないとか引越しとか、やむを得ない事情ということでした。

この退職理由ひとつを見ても、妊娠初期の女性の身体と心への負担がどれだけひどいか。

仕事を辞めるレベルということですよ。

でもこれは妊娠しないとわかってあげることはできないし、妊娠した人の中でも、なんなら同じ身体でも、一人目と二人目ではつわりの状態とかも違います。

でも、病気じゃないから医療はあまり介入していないんですよね。

何でつわりが起きるのか、いまだに解明されていないんですよ。

もし、男性が妊娠できる体質だとしたら、直ちにここに研究予算も割かれて、解決できる薬や医療法が出来上がっていると思いますよ。

やっぱり社会を動かしているのはまだまだ男性だし、男性が妊娠を経験することはないからその辛さをわかろうともしないし、興味もない。

そして多くの女性たちも、女性の役割として無意識にこの辛さを受け入れて抑圧されている。

それに気づかず、その一時期は辛いけれども出産後には忘れてしまう。

だけど、人口がどんどん減っている日本、出生率が下がって少子化が爆進している日本、人材不足といって優秀な人がいなくなっていくこの日本。

ここで、妊娠初期の身体の辛さを理由に、優秀な女性の人材を失っている場合じゃなくないですか?

だから、妊娠初期の身体の辛さをちゃんと研究する医療体制を進めるのか、妊婦さんが安心して勤め続けられる制度をちゃんと整えた社会にするのか、しつこいですがこれも急務だと思います。

さらに、ここからの話も大事だからよく聞いて。

妊娠合併症というのが起きる場合があります。妊娠中に切迫流産とか早産とか、妊娠中の高血圧症、あと妊娠糖尿病や、子宮内で胎児が発育遅延なって合併症が起きる。

この割合は何%だと思いますか?

これは就労しているしていないに関わらず、145名中45名。

なんと31%もいたんです。

切迫流産で入院しなきゃいけない、絶対安静という方もいますし、周りにいたこともあります。

でも、そんなに目立っていませんが、31%ということは、妊娠した方の3人に1人は妊娠中の合併症を発症しているということだから、相当な割合ですよね。

皆さん、なっていても言わないのかな?

これを助ける社会的な制度として労働基準法とか男女雇用機会均等法に、産前産後休業や妊婦の軽易業務転換、通勤負担緩和措置などがあるんだって。

だけど、妊娠初期の休暇制度は基本的に定められておりません。

切迫流産の危険性とか、医師によるね診断書がある場合のみ休暇取得はできるものの、それを申請するのに母性健康管理指導事項連絡カードというのがあって、事業主に「このカードの利用に努めてください」という通達があるものの、たったの1.9%しか申請されてないんだそうです。

そもそも、そんな制度があることを知らないし、事業者からもきっと通達されていないでしょうし、使っている人がたったの1.9%なんて、ないに等しいですよね。

妊娠初期の苦悩

だけど、今回の論文の研究結果に基づくと、妊娠初期が一番心も身体も辛いのだから、この時期にこそ手厚く補助されるべきですよね。

だけど、こういう制度があるってことをそもそも知らないし、妊娠合併症を発症していますと妊婦さんが言えないから、こういう制度があっても使えないんですよね。

意味ないですよね。

仮にこういう制度があると元々知っていたとしよう。

だけど、結局使えない人も多いと思います。

それはなぜか。

これには妊娠初期の苦悩がありまして、妊娠したばかりの頃は、妊娠していることを周りから気づかれにくい、というかほぼ気付かないんですよね、自分で申し出ないと。

お腹だってなかなか出てこないし。

テレビとかドラマの中で、いきなり吐き気がしてトイレとかに駆け込むシーンがあるじゃないですか。

妊娠経験がある人にお聞きしたいんですけど、あんなふうになる?

私は、いきなりではなくて、ずっとムカムカして気持ちが悪い、吐き気がするというのが終日続いて、その山場がひどいときに一度トイレで吐いたことはありますけれども、それ以外は実際に吐いたことは一度もなく、常にムカムカしている感じでした。

こういう妊婦さんはきっと多いです。

テレビのシーンみたいに、ウッとなって妊娠していると気づきそうですが、実際はそんなことないんですよね。

だから妊娠していることを周りに気づかれにくい。

かと言って、自分から堂々と妊娠したと初期から言う人の方が稀で、妊娠したことを言い出しにくい職場環境とか、社会の環境、妊娠を告げたときに妊婦自身が負う心理的な気兼ね。

世の中、タレントさんにしても職場の同僚たちにしても、妊娠を公表するのって安定期に入ってからじゃないですか。

私の周りで仕事をしながら妊娠を進めている方々、私は施術などで関わるので妊娠初期から教えていただきますが、会社にはまだ言わないと言って、妊娠の中盤に入ってからやっと言うという方がほとんどですね。

なぜかというと、胎盤がしっかり着床するまでは、早産の危険とか流産とかで妊娠が継続できない可能性があるので、基本的には胎盤がしっかり根ざす15週を過ぎてから言うという方がほとんどですね。

仮に妊娠初期とかに、妊娠しました!と言ったら、おめでとうと言われるじゃないですか。

何なら、お祝いとかをしてくれる人もいるかもしれないじゃないですか。

でも、仮に妊娠が続けられなかった場合、その時にまた言わなきゃいけないですよね。

それは本人にとっても心理的な負担となりますし、言われた側もどう反応していいかわからないということを想像すると、初期のうちからの公表を控える方が実際は多いです。

それに今は不妊治療とかをしている方が多いですし、セックスレスなどで悩んでいる方も非常に多いので、妊娠しました!と両手を挙げて公表するのが少し後ろめたいような、罪悪感があるような気持ちになる方も多いように思います。

私のお客様で、私がまだ30代前半の頃に、40歳ぐらいの妊活を頑張っている方がいらっしゃって、その方が同じく妊活を頑張っている女友達をよくFacebookとかに投稿されていたので、皆さんで仲睦まじく体質改善とか妊娠に向けて頑張っていらっしゃるなと眺めていたのですが、その中で1人、そのお客様が妊娠しました。

よかったね!となるかと思いきや、妊活頑張ろうグループでのけ者にされて、よそよそしくされ、どこかで会っても無視されたという経緯を聞いて、当時は怖い!と思いました。

だけど、そのお客様も、その時は悲しんでいましたけれども、数年経って当時を振り返って、「もし自分がずっとそのまま妊娠ができずに、他のメンバーが妊娠していたら素直に喜べなかったと思うから、ああいう態度をとられたのは悲しいけれども、逆の立場だったら自分もしていたかもしれない。だから恨んでもいないし何とも言えない。」とおっしゃっていました。

これはほんの一例で、似たような話とか、世の中でも妊娠マークをつけている妊婦さんに体当たりしたりとか、電車とかでわざとぶつかったりとか、そういう嫌がらせもあると聞くので、妊娠を最初から公表することができにくい社会環境にありますよね。

税金を払ってくれる人間を生み出してくださる、妊娠を望んでいる方々のことを私は神様のように崇拝していきたい。

だって、これからの日本を背負っていく人数は多い方がいいじゃないですか。

だから、本当は妊娠初期から公表できた方がいいですよね。

あと、妊娠の継続ができなかったときに女性は自分のせいにしがちなんです。

何か悪い行動をしたかしら、何か悪い食べ物を食べたかしら、私が安静にしていなかったから負担になったんだろうか、そういって自分を責めるのですが、妊娠が継続できなかった場合の卵って、そもそも染色体異常などで妊娠が継続できない状態にあったんですよね。

だから誰のせいでもない。

こういった知識をもっとしっかり社会に普及させて、老若男女が当たり前にこのことを知っている。

そして、妊娠が継続できなかったときに、「駄目だったんだ」みたいな言い方をする人を1人でも排除する。

そして、妊娠にチャレンジしやすい社会環境とか、妊娠初期から安心して公表できる社会的な風潮であれば、妊娠した人に対して初期から手厚くサポートをしたり気遣いをしたり、その人が働き続けられるような環境整備を整えやすくなるじゃないですか。

身体の辛さは日によるので、調子がいいときは好きなだけ働き、調子が悪いときはサポートする、そういった体制を早く作りやすいですよね。

こういった様々な要因が絡み合った結果、仕事を辞める人が30%にも上るというこの社会現象に歯止めをかけて、女性が安心して健康に働き続けられる職場や社会環境をつくるために制度を整えるというのはもちろん、職場の理解とか職場と医療機関との連携体制を整えていく。

それ以外にも、しつこく話しているように、知識に対して耳をふさぐんじゃなくて、情報をシャットアウトするんじゃなくて、ひとりひとりがちゃんと知ろうとすることが大切です。

いくら制度を整えようが、医療と職場の連携体制を整えようが、多様性や他者理解をしようという気持ちを養っていくことが根本解決に繋がるのかなと思います。

だからこれはいろいろな人が随所で言っていかないと、興味を持たない人にはなかなか届きませんからね。

ですから、このお話を聞いた皆さんは、この放送をシェアしたり、ご自身の口でいろいろな人に語ったりしてあげてください。

この意識改善は急務です。

本日のまとめ

今回のお話のまとめです。

今までは一般的に、妊娠が進むにつれて発症する様々な症状に伴って、妊娠後期の方が精神的かつ肉体的にストレスが高いと予測され続けてきましたが、この仮説が否定されたというのが今回の論文でわかったわけでございます。

妊娠が進むとお腹が大きくなるので、子宮も大きくなっていろいろな臓器、腹部を圧迫します。

だから、多くの妊娠中の方が陥るのが腰痛です。

妊娠後期はお腹の負担が背骨にのしかかって、みんな腰を痛めていますよね。

あと、お腹が単純に中で膨れ上がっているので、横隔膜を圧迫しますから息苦しい。

あと、そけい部も圧迫されて下半身の循環が上半身に巡っていきづらくなるので、むくみと便秘になります。

あと、お腹が大きくなるので身体が動きにくくなって、お相撲さんみたいに歩かないといけなくなりますよね。

そんなこんなで、妊娠後期の方が辛いであろうと思われていたのが、今回の研究で覆った、そんな話でした。

そして、妊娠初期のストレスが高い要因としては、身体の側面から見ると妊娠初期のつわり、それに伴う症状。

妊婦さんの50〜80%が、初期に吐き気や嘔吐などの消化器系の不調を訴えるんだそうです。

私もつわりがありましたし、80%の妊婦さんがつわりが辛いというのに、なんでいまだに改善されないんでしょうか。

不思議ですよね。

そして、妊娠初期のストレスが高い要因の精神面は、妊娠を知ったと感じると同時に、親になっていくことへの戸惑いや自信のなさを感じる。

そして、これまで通りに仕事を続けられるだろうかといった不安を感じるなど、アンビバレントな感情が起こりやすい。

アンビバレントというのは、嬉しいけど辛い、楽しみだけど不安みたいなチグハグな感情のことです。

私も妊娠初期、これから仕事はどうなるんだろう、いつから今まで通りに施術の予約をとっても大丈夫なんだろう、それが見えないことが本当にストレスでしたね。

あと、そもそも私は自分が親になることを想定していなかったので、私が母になるの?というところにも戸惑いがありました。

というわけで、これをお聴きの管理職の方とか、職場にこれから妊娠していくであろう女性たちがいるという方々は、今から言う言葉をよく聞いてください。

短期間の休暇を取得することで、就労継続が可能になったという過去の事例はあるんです。

だから、妊娠した本人からの訴えを待つのではなく、職場の上司や同僚から妊婦さんへの配慮や支援を行うことが必要です、というのがこの論文の締めくくりでした。

妊娠初期は、他者目線からは妊娠していることに気づけない、かつ本人からも言い出しづらい。

だから、中期以降にならないと妊娠しているかどうかすらわからない。

そうすると、何で不調なのかもわからないじゃないですか。

だけど、日頃からコミュニケーションをスムーズにとれている間柄だと、「〇〇さんにはお伝えしておくのですが、実は妊娠していまして」と言えるじゃないですか。

大切な会社の部下とか同僚とか、辞めて欲しくない部下を守っていきたければ、日頃からコミュニケーションをとって配慮しておいて、妊娠初期から直ちに相談してもらえるようなリーダーでいることが大事ですよね。

妊婦さんからの訴えを待つのではなく、自ら妊婦への配慮や支援を行う。

少し休暇を取ることで仕事を続けられる可能性がアップするんだったら、妊娠初期から妊娠期間中に気軽に休めるような社会が成り立っていくといいですよね。

この点、私のように個人で起業していて、私が休もうがお客さんをとらなかろうが誰も給料の保証をしてくれないのですが、これは仕方がないですよね。

だけど、せっかく組織にいるんでしたら、そういうサポートとかハローワークとか労働組合とか、使えるものは使って、身と心の安全を担保されていくべきだと思います。

女性ホルモン特有の不快や不調の症状、生理前とか生理中もしかり、更年期もしかり。

いろいろなことで女性はホルモンに振り回される人生なのですが、生理痛の改善とかPMSの改善、更年期の不調は、ある程度病院で治療が可能なんですね。

ピルを飲んだり女性ホルモン充填治療を受けたり。

だから、そういうので悩んでいる方は直ちに病院に行ってほしいです。

あと、病院任せにするだけじゃなく、自分でも体質改善を試みる、冷え性だったらちゃんと循環するような体質になっておく、バランスの良い栄養がある食事を心がける、そういうのも並行してやると変わりやすいかと思います。

ただ、妊娠中と何が違うかというと、これらは薬を飲めるんですよね。

病院治療を受けながら辛さをいったん抑えて、そして体質改善を試みるという工夫はできるのですが、妊娠中に限っては薬が飲めないし、できることが少ないんですよね。

妊娠初期の私が一番辛かった時代にいつも言い聞かせていた言葉が、「つわりは一生続くわけではない。妊娠も一生続くわけではない。終わりが来る。」これを毎日呪文のように唱えて何とかしのいでいました。

というわけで、今回は妊娠中の妊婦さんの心と身体へのストレス状況を研究した論文をベースにお話をしてみました。

今回のお話はいかがだったでしょうか?

参考になった、聴いてよかったと思ってくださった方は、いいねとチャンネルフォローをお願いします。

最後までお聴きくださりありがとうございました。

▼音声で聴きたい方はこちら

「緩和ケア」と「産後ケア」。一見対極な存在と見られがちですが、両方を経験しそれらは近い存在であり、両方の重要性を心から訴えたい。これらの在り方捉え方の啓蒙、それらにお役に立てる活動をすることが私の将来の目標です。頂いたサポートはそのために使わせて頂きます!