職場は「自分の性分」と「勤め先のニーズ」が合致しているかが大事。

前回のお話の続きで、
自分の行くべき道や自分に合う環境の選び方に関する
エピソードについてお話ししたいと思います。


フラコラカルチャーさんの撮影ではアメイクがつかなかったので、
髪型ぐらいちゃんとしておこうかと思いまして、
ヘアセットをやってくださるヘアメイクスタジオに行きました。

コロナ以降、特に雑誌社は予算が少ないところが多くて、
今はヘアメイクがつくことがめっきり減りました。

というわけで、長く形に残る撮影やビジュアル重視の撮影がある場合は、
自腹でヘアスタジオに行くことがあります。

その際によく使うスタジオがありまして、
いつも同じ人に当たるのですが、その方は接客があまり良くないんです。

私は長年サービス業に携わってきてサービス力を磨いてまいりましたし、
ホスピタリティーを何よりも大事に思っているので、
接客業に対する目線は結構厳しい
んです。

厳しいからと言って、他の人の店で文句などは言いません。

でも、内心冷ややかに感じています。

話を戻しますね。

その、いつも担当になる女性は、接客はままなっていないのですが
作業が早くて上手なんです。

私はヘアメイクスタジオに対して、
スピード感と安さ、手軽さ、予約の取りやすさを求めているので、
接客が下手くそだろうが良いわけです。

だからその方は、そのお店にとっては
すごく理にかなったスタッフさんだと思います。

ですが、フラコラカルチャーさんの撮影前に行った時は、
初めて見る方が担当になったんです。

その人はそのお店には珍しく、
めちゃくちゃ話しかけてくるタイプなんです。

私は撮影前なので、撮影の内容を考えていたりセリフを構築したり、
流れを確認したりとスタジオでも忙しいんです。

だから携帯を凝視してせわしなくしているので、
話しかけないでという雰囲気が出ているはずです。

だけどその方は、「髪の毛に艶があってお綺麗ですね」とか、
髪型のオーダーをするときにヨガの先生が似合いそうな
適当な位置でお団子にしてくださいと言ったら、
「ヨガの先生なんですか!?これから何かあるんですか?」
などと聞いてくるんです。

正直、どうでもよくないかと思うのですが、一応お答えしていました。

そして髪型が仕上がって、
「かわいいですね、ありがとうございます。」と言ったら、
「私、ヨガとかが好きだけどウェアだけ買って結局行けていなくて。」
と女性が話し始めて、さらに
「携帯の画面が少し見えてしまったのですが、
画面に映っていた内容にすごく興味があります。」と。

そのヘアメイクスタジオは自分の家の近くだけではなくて、
都内の色々な場所にあって、
私もいくつかの店舗を使ったことありますが、
どの店舗の店員さんもそこまで話しかけてこないんです。

だからすごく珍しいタイプだなと思いました。

さらにそのあと、眉毛カットもしてもらったんです。

私は自分でカットをしないので、大体いつもボソボソなんです。

眉はもともと量があって長いので、
ヘアメイクスタジオへ行くついでに整えてもらっているのですが。

眉毛を切る前にマスクに挟むティッシュを渡された後に、
「お肌が綺麗ですね」という会話が始まって、
眉毛の形を聞かれた時も
「元の眉毛がお綺麗なのでこのまま活かされた方がいいですよね」とか、
褒めてはくれるのですがいちいち話のボリュームが大きいんです。

何が言いたいかというと、この方はあまり
このスタジオ向きではないなということです。

独立してやっていけるのであればフリーランスでやって、
個人個人のお客様をつけて気に入られていくタイプだなと思いました。

クイックヘアメイクスタジオは、やっぱり時間が優先的ですし、
あとはホスピタリティが高くないので、
お客様に対する想いが時間の価値よりも上にはならないわけですよ。

だから寡黙にやってくれる人の方が合う気がするんですよね。

こういったサービス業で特に大事なのは、相手のニーズを読み取ること。

その察知能力
です。

ずっと鏡越しでニコニコしているお客様とか、
質問をしてくるお客様というのは喋りたい気持ちや、
店員さんに対しての気持ちが前向きに出ているので、
そういうときはそこを汲み取って
お話をして差し上げるのがいいと思います。

だけど、お客さんがずっと携帯を見ていて忙しそう。

その場合は、とにかく早く仕上げて、
必要最低限のことだけを語りかける。

それを見極められるのが
プロフェッショナルな接客なのではないでしょうか。

つまり、バランスが大事なのです。

というわけで、自分がいるべき場所、
ニーズがあるべき環境というのを見極めた方が、
もっと理にかなった働き方ができる
よということです。

今回の方と、いつも当たりやすいぶっきらぼうな方と、
どちらがうまいかというのは好みの問題で、
私はいつも当たりやすい方の方が好きですね。

でも、今日の方は腕前もあるし、
さらに目の前のお客様にすごく興味を持つ方で、
いろいろ話しかけて心までケアしたいと考えるタイプなので、
もっと1人1人とじっくり時間を過ごせるような環境に居たら、
固定客や指名のお客様がどんどんついて花を咲かせると思いました。

クイックスタジオにはもったいないタイプの人かなと思います。

これはサービス業全般に通じることです。

駅近のように、人がどんどん訪れるようなところは
集客にさほど力を入れなくて済むわけです。

そして、たくさんお客さんがいるわけですから、
ホスピタリティーを磨かなくてもいいわけです。

たとえ今日のお客さんが気分を悪くして来なくなったところで、
腐るほどお客さんはいますから。

その反面、お客様と心の交流が少ないので固定客がつきにくいです。

だからそういったところの店員さんは、
作業を集中してやるタイプが合うと思います。

一方で、駅からすごく離れているとか会員制予約制とか、
予約が取れないレストランとか高級ラグジュアリーとか、
そういうところでは前者のような働き方や人材は合わないと思います。

そういうところを使うお客様というのは、特別感を求めていますし
世間から特別扱いをされることにも慣れている方なので、
ある意味で目が肥えています。

だから気に入らなければ他に行ってしまいますし、
技術やクオリティを超える愛を感じれば
絶大なファンになってくれるはずです。

だから自分のタイプをよく観察して、
ニーズがある環境や職場を選ぶというのが最も生きやすい。

そしてスムーズに活躍するための近道
だと思います。

よく自分が働いている職場や環境の愚痴を言う人がいますけれども、
結局はニーズなんです。

その職場が求めている人材像やシステムにニーズが合致しているかどうか。

雇う側というのは、その条件を最初から提示していると思いますので、
しっかり確認することが必要
です。

もし入った後でニーズが合わなかったのであれば、
合うニーズのところに行けばいいと思います。

でも、その場を気に入っていて、
どうしても立ち去りたくないのであれば、
そこのニーズに合わせていけるような自分に
変わってみる努力をしてみると良いのではないでしょうか。

▼音声で聞きたい方はこちら


(2022年7月22日配信分)

「緩和ケア」と「産後ケア」。一見対極な存在と見られがちですが、両方を経験しそれらは近い存在であり、両方の重要性を心から訴えたい。これらの在り方捉え方の啓蒙、それらにお役に立てる活動をすることが私の将来の目標です。頂いたサポートはそのために使わせて頂きます!