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8.有馬かなと心理社会的発達段階(後編)

前回は、有馬かなの幼少期(アニメや漫画で初登場!)の心理社会的発達段階(エリク・エリクソン)について執筆しました。今回は、有馬かなが成長後、アクアやルビーと再会した17歳時のことについて、この心理社会的発達段階に沿って見ていきたいと思います。
※今回の記事は、途中からアニメ勢にとってはネタバレを含みますので、注意してお読みください(途中で太字で注意を入れていますので、そこまでは安心して読み進めてください)。

有馬かなの青年期(16~18歳頃)の発達段階は、青年期「自我同一性の達成 対 拡散」

自我同一性(アイデンティティ)とは、「自分とはどんな人間か?」「自分とは一体何者なのか?」ということをいいます。赤ちゃんの頃や幼少期には、自分って何者なのか?ということについては、ほとんど(というか全く)考えることはありません。

成長していくにつれて、そして周りの同年代(とは限りませんが)の人たちとの違いを考える機会があったり、将来どういう人間になりたいかや職業、結婚などについて考えたりする機会が増えてきます。そういったことで悩む状態(心理的な危機状態)のことを「アイデンティティ・クライシス」と呼んだりします。

有馬かなは、幼少期から「天才子役」として、早い時期にある意味アイデンティティ形成を完了するような環境・状況にいた、といえるかもしれません(早期完了)。そうして、もてはやされた時期を過ぎ、元・天才子役といわれるような仕事がもらえない時期(危機(クライシス))を早期にずっと味わってきたといえるでしょう。

アニメや漫画で、有馬かながアクアやルビーと再会した時や、その後作品全体を通して描かれている心理描写は、まさに「自我同一性の達成 対 拡散」を示していると考えられます。

「推しの子」第13話より

「推しの子」における有馬かなのアイデンティティ形成のプロセス

天才子役といわれた時代から、有馬かなにとっての「闇の時代(第16話)」を経て、今日あま(今日は甘口で)でアクアと共演し、アクアとルビーにアイドル(新生B小町)に誘われ、心の中で葛藤を抱えながらも前に進んでいく、そういったドラマが描かれています。

注意:ここから下は少しネタバレを含みますので、原作でなくアニメだけご覧になっている方でネタバレを避けたい方は、ここで読み終えてください。

「推しの子」第16話より

天才子役時代、闇の時代、女優としてヒロインに復帰、アイドルデビュー、舞台役者、アイドル活動本格化、スキャンダル危機、アイドル引退、そして女優として映画作品出演・・・と、有馬かなの悩みながら歩んできた人生が作品では描かれており、そのうち「女優復帰」からは青年期にあたります(アクアに対する恋心も浮き沈みが激しい要因ですが…)。

有馬かなのさらに細かい「心の機微」やそのプロセスなどについては、今後も記事で触れていきたいと思いますので、今後もぜひご愛読いただければ幸いです。

前回と今回は、有馬かなの心理社会的発達段階についてお話しました。心理社会的発達段階って何?という方は、ぜひ前回の記事をご覧ください。

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