人間を弔うことについて

 西の遥か、大砂漠を超えた先にある国には偉大な王がいた。王の偉大さは砂漠を超え、諸国に轟いていた。

 やがて王が死に、国は悲しみに包まれた。誰よりも偉大な王だったので、その葬式は誰よりも素晴らしいものにしなければならないと家臣たちは考えた。王の葬列は豪華で長大なものとなり、国中を練り歩き、やがて隣国を次々に訪れてまわった。葬列はあまりにも長く、列の先頭が隣国の首都にたどり着いたとき、列の最後尾どころか中ほどすら葬儀場を出ていなかったという。

 葬列は何十年と旅をして回り、その国の国民は皆葬列に加わった。やがて、長い長い葬列は一人また一人と死に絶え、そしてその国は砂漠に還ったということである。


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