バベルから来た男

 ある雨の降る国に、バベルから来た男がいた。男は、雨が良く降るのを不便に思って、街を覆う大きなドームを作り始めた。

 ほどなくしてドームは完成したが、男は隣街に出掛ける時に雨に濡れることを不便に思った。男はドームを次々と大きくし、やがてドームは男の行く所すべてを覆う大きなものとなった。

 しかし、あまりに大きなドームを作ったため、ドームの中には雲ができ、雨が降ったということである。

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