Mリーガーになりたいと1番強く思った瞬間
新Mリーガーの誕生
浅井裕介は今年の春たくさんのチャンスに恵まれた。
しかしマスターズ決勝では本田朋広の猛攻に屈した。
Mトーナメントではラスラスの惨敗。
まあ仕方がない、納得いく麻雀は打てた。
まだ楽しみはある。
麻雀最強戦、日本シリーズ、JapanextCUP…ここ数年のタイトル戦優勝によって与えられたチャンス。
そして。
セガサミーフェニックスのメンバー入れ替え。
新しくMリーガーになる為には新チームの誕生か既存チームに空きが出る必要がある。
Mリーガーを目指す身であれば、大きなチャンスである。
それでも喜べなかった。
しかしドラフト当日が近づくほど、今までとは比較にならないほど圧倒的な方に期待の声を掛けてもらった。
上のポストをしといて選ばれたら感じ悪いな、と今思えば恥ずかしい事まで頭をよぎった。
追い抜かれた
私はかなり人間らしい性格をしていると思う。
人間が好きで、喜び、怒り、哀しみ、楽しむ。
そして、寝たら負の感情はかなりリセットされる。
麻雀はどんなに強くても常勝とはいかない。
負けという結果を引きずっていては次の対局にも影響が出かねない。活躍すれば対局も増え、大事な対局の間隔も詰まる。
切り替えは大切な能力で、私はその点にはある程度自信を持っていた。
そのはずだったのに。
寝ればリセットされるはずが、そもそも寝られない。
眠りも浅く度々夜中に目が覚める日が続いた。
今までは長く活躍して選ばれて当然だったら、そもそも自分と枠がまるで違うために悔しいという感情を抱く事がなかった。
だが今回は違った。
自分にも選ばれる可能性があると思った。
その上で選ばれたのは2人とも同世代、そして2人とも後輩である。
2人が選ばれたのがおかしいとは全く思っていない。
元太は最高位連覇、そもそも最高位戦選手の誰よりも指名されるべきだ。
堂岐も雀王を獲得後、連覇こそならなかったが目に見えて知名度を上げていった。
自分は追い抜かれたのだ。
この悔しさとは向き合わなければならない。
しかし時間は待ってくれない。
1週間後には最強戦の舞台が待っている。
そして考えたところで道は少ない。
追いつくには結果を出すしかないのだ。
なんとか気持ちを立て直し臨んだ最強戦。
予選は久々に楽な展開で快勝したものの、決勝卓では岡田紗佳の前に手も足も出ずの惨敗。
しかし、大舞台の麻雀は本当に楽しかった。
自分は楽しいから、大好きだから麻雀をやっているのだ。
当たり前で、本当に大切なことを見失っていた。
思い出させてくれた最強戦には本当に感謝している。
Mリーガーになりたいと1番強く思った瞬間
その日の夜。
同日に最高位戦Classicの本選2日目を勝ち上がった堂岐にLINEで応援の言葉を告げ、そこからしばらくするとこんな文章が送られてきた。
今まででMリーガーになりたいと1番強く思った時はこの瞬間だ。
嫉妬に狂っている場合ではない。
負けた対局を悔やんでいる場合でもない。
こんな痺れる言葉を掛けてくれた男に、結果で応えたい。
時は経ち、今年もMリーグが開幕した。
元太と堂岐もデビュー戦を堂々と闘い、彼ららしい麻雀がこれからも見られるのは間違いないだろう。
待ってろMリーグ。待ってろ元太・堂岐。