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CINEMA BIZ TALK /映画ビジネスあれこれ

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映画ビジネスに関してのエッセイ
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#映画館

映画館を音楽を体験するプラットフォームとして考えてみる。 ミュージシャン、バンド、アーティストの事務所の方への提案。

アップリンク吉祥寺で上映した『劇場版:優しいスピッツ a secret session in Obihiro』の全国興収が1億円を超えたという報道がありました。 2900円均一料金なので、興収を入場料で割ると、3万4482人です。 武道館4回公演相当かな。2,900円のCDあるいは、DVDを3万枚以上販売したことになります。 映画は、帯広の小学校での無観客ライブで、ライン録りした音を放送時にはステレオ音源だったものを5.1の映画用にミックスし直したとききます。映画館のウーフ

映画館で上映するためのDCP制作について

1)映画館で上映するDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)プロジェクターは1秒間24コマの静止画ファイルが映写されています。正確には、JPEG2000という静止画の連番ファイルからなるデータです。 2)なぜ1秒間24コマなのかは、35ミリフィルム上映が1秒間24コマの静止画の上映フォーマットだったからです。 フィルム映写機の仕組みはこちらの漫画をご覧ください。 https://note.com/ohutondetai/n/n764cb5166c0d フィルムの映写機では

映画館再開に向けて、すべての映画ファンへ。 誰よりも早く映画という「神のようなもの」が祀られた映画館に集い、映画を蘇えらせるのだ!

「明日6月1日、アップリンク渋谷と吉祥寺の映画館の運営が再開する。京都は6月11日にオープンする。 以下、映画秘宝の最新7月号に寄稿したテキストをnoteに採録します。岩田編集長からのオーダーはミニシアター特集のトップに掲載するので檄文をということだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 映画を一月くらい観ることができなくても死ぬ映画ファンはいないだろう。でも、映画を観る人が一月誰も訪れなければ、映画館は死ぬ。 2022年4

日本で公開される映画の多様性を支えているのは、映画の配給会社。アップリンク ・クラウドの『Help! The 映画配給会社』から推しの配給会社を見つけてみよう。

2020年4月8日は、日本の映画館がほぼ全て休館した日だ。このnoteを書いている5月11日現在、地方の映画館は少しづつ再開してきたが、まだ東京の映画館は閉まったままだ。 監督たちの有志により始められた『ミニシアター・エイド基金』のクラウドファンディングは、3億2千万円以上と、ミニシアターを潰すまいという本当に多くの映画ファンの想いが想像もしたことがない大きなお金が集まり、全国の100以上の映画館を助けてくれる。アップリンク にも基金のお金が入金されるので、本当にありがたい

新型コロナウィルス禍により補償なきを自粛を続けるミニシアターの経営は危機敵状況だ。そこでアップリンクは配給作品60本以上の見放題を販売することにした。

映画館だけでなく、ライブハウスや飲食をはじめあらゆる業種が補償なき自粛により、店を閉めている。人の命と経営を天秤にかけられるはずもなく、自主的ロックダウンであり、経営が苦境に陥っているところは多いと思う。 アップリンクは、映画の配給会社でもあるので、自社の配給作品がある。過去の配給作品60本以上をオンライン上で29,80円3ヶ月見放題サービスを始めた。以下は、政府の休業補償がないのなら映画ファンにお願いしようとはじめた「アップリンク・オンライン・マーケット」に寄せたテキスト

現在、映画館を作っている立場から映画館の換気について説明します

現在、「アップリンク京都」という映画館を京都の烏丸御池に4月16日オープンする新風館の地下1階に作っています。 これから説明することは、映画館が安全だという事ではなく、映画館というのは厚生労働省の管理下の元、各都道府県の興行場法の条例を元にして作っているので、映画館とはこういう換気の基準で作られているということを知って欲しく記するものです。 映画館は密室だから、2時間も映画を観ていると一気にウィルスに感染してしまうと普通は思うのではないでしょうか。ただ、今回の新型コロナウ

アップリンクの選挙に行こうキャンペーン

第1弾 7月21日(日)の参院選当日に、ユース(22歳以下)料金で映画をご覧になる方で、投票を証明するもの(投票済証明書など)を受付でご提示いただいた方に、次回、アップリンク渋谷またはアップリンク吉祥寺で映画を無料でご鑑賞いただける招待券をプレゼントいたします。 第2弾 全国どこからでもOK、年齢不問! アップリンク・クラウドでホドロフスキーの『エンドレス・ポエトリー』ロウ・イエの『ブラインド・マッサージ』フェイク・ニュース時代のドキュメンタリー『すべての政府は嘘をつく』

GW中の5月1日映画サービスデー、私はバルタン星人になり不寛容な観客を制し、そしてブースカになることにした

ゴールデンウィーク(GW)、この言葉は映画業界用語だという。ウィキペディアによると『NHKや一部の民放、新聞などは「ゴールデンウィーク」という言葉が映画業界用語だったことから、NHKで禁止されている業界の宣伝(放送法第83条(広告放送禁止規定)に抵触する)になることや、年配者に分かりづらいという理由などで、単なる「(春の)大型連休」という表現で統一している』。確かに映画館の人出は多い。特に1日は映画サービスデーなのでアップリンク渋谷・吉祥寺とも『ビル・エヴァンス タイム・リメ

アップリンクの映画館では年間700本以上の映画を上映するが、その編成を一体どうやっているのか教えます。

アップリンク吉祥寺については、まずスピーカー、スクリーンなど施設技術面のことを記し、次にデザイン面について述べた。 さて、今回は、運営のかなめと言える「番組編成」について述べたいと思います。 アップリンクの映画館がかつてのミニシアターとまず大きく違うところは、上映本数が多い。アップリンク渋谷・吉祥寺合わせて今のペースだと年間700本以上の作品を上映するだろう。当然、一人の人間が観ることのできる量を超えているので複数のスタッフで手分けして観て上映作品を決めている。僕も加わり

アップリンク吉祥寺のデザイン・コンセプトを話します。 ここは、「東京」を意識した。

これまで映画配給、映画製作、映画館運営とあらゆる角度から映画に携わってきた自分の経験を活かして、未来のミニシアターの在り方を提示した映画館だ。作るにあたって、デザイン、技術、機能の面でリサーチを重ね、細部にまで徹底的にこだわった。今回はデザイン面の話をしたいと思う。 最初に一つのルールを自分に課した。コンクリート打ちっぱなしで天井を張っていないスケルトンの空間に、床はモルタルでグレー、カウンターやテーブルはナチュラルな木、という何年も前から流行っているデザインからできるだけ

フィルム上映からデジタルへの変わり目、8年前に書いた「これが映画上映のデジタル革命」

今や当たり前になったDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)による映画上映。映画業界にデジタル化の波が押し寄せた8年前には、東京FILMEXで『デジタル化による映画文化のミライについて』というシンポジウムが行われるなど、映画業界は右往左往していたのだ。r 当時から現在にかけて大きく変わったところは、4点。 (1)ソニー、デジタルシネマ倶楽部、GDCと3社あったサービサーのGDCは事務所のコピー機に例えればリースアップしたので、映画を上映してもVPF(ヴァーチャル・プリント・

日本の映画チケット代は、世界と比べて本当に高いのか? 消費税増税を控えて考えてみる。

よく、日本の映画のチケット代って世界一高い、と言われるけど本当なのだろうか。とにかく映画業界の話は、過去のデータをずっと流用したりして、現状の事実確認をしないで記事にされることが多い。 ということで、グーグル先生に次の言葉を入力してみまました。 How much NY cinema ticket 教えてくれたサイトは、トリップアドバイザーの以下のサイト。 さて、答えは、 $12-$17  $1=¥111 とすると ¥1332-¥1887 ロンドンはどうだろうか

ミニシアター・コンプレックスの時代到来!

映画館について取材を受ける事が多いがミニシアターという概念が曖昧過ぎる。普通は小さくてメジャーではない作品をかける映画館というところだろうか。ちょっとその考え古すぎない⁈   歴史を紐解くと日本最初のミニシアターは、新宿のシネマスクエアとうきゅうは、81年オープンでキャパは224席。広い!224席だよ! 2016年に閉館したシネマライズは3館の時は303席、220席、38席だった。今のユーロスペースは145席、92席。そして、昨年オープンしたTOHO シネマズ日比谷は11ス