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『Somerville』レビュー

Somerville (サマーヴィル)』は、現代の地球を舞台とした2.5D横スクロールのパズル・アドベンチャーだ。

主要キャラクターは男女の夫婦とその幼い子供、そして飼い犬の3人+1匹。ある何でもない日の夜、突如として地球に飛来した謎の未確認飛行物体によって辺りの光景は一変し、夫婦は離れ離れとなってしまう。

男は妻と子供の姿を求めて、まるで終末を思わせる様相へと変貌した世界へと愛犬と共に踏み出していくことになる。

開発:Jumpship
販売:Jumpship
配信日:2022年11月15日 / 日本語サポート有
Steamにも同レビューを公開中:Link

ゲームシステム

本作はパズル要素のあるアドベンチャーだ。

ストーリーとステージ進行はリニアで後戻りはできず、ひとつのマップを攻略すると次のマップへ進んでいくタイプで、基本は横スクロールだがいわゆる「2.5D」と表される奥行きのあるマップ構造となっている。

シチュエーションは様々だが、例えばある時は道を阻む障害物を取り除くために、周囲を観察し、そこで取れるアクションやインタラクトできるオブジェクトを探し・予測して実際に行動を起こしていくわけだ。

端的に言ってしまえば、そうしたトライアル・アンド・エラーの繰り返しなゲーム性と言ってもいい。

ただし、本作にはセリフやテキストの類は登場しない。キャラクターたちの名前すら登場しない。そのため視覚的に情報を読み取るしかないのだが、読み取った情報が正しいのかもわからないので手探りだ。

こうしたビジュアルのみで訴えかけてくるデザインは、ともすれば不親切だと感じてしまうものの、見方を変えれば未知との遭遇を描いたSci-Fi作品とは上手くマッチしていると言っても良いだろう。

日本語サポート

音声はなく、UIが日本語に対応している。

先述のとおり、本作にはキャラクターのセリフや、読ませるテキストといった類のものは登場しない。言語に頼らずプレイが可能な作品ということだ。

TIPS

行き先に迷った時には犬の動きをよく観察してみよう。自由に動いているようでいて、実は正しい行き先に導いてくれていることがあるのだ。

同様にキャラクターのボディランゲージに注目することもヒントになる。もちろん率先して動いて体当たりで正解を見つける、というプレイスタイルもありだ。

気になるポイント

正確には筆者がではなく気にするプレイヤーもいるだろうというポイントなのだが、それは初回クリアまでのプレイ時間だ。

本作のプレイ時間はおおよそだ。筆者は体験を重視するのでこれで充分だと感じるが、評価要素として「費用対効果としてのプレイ時間の長さ」を求めるユーザが一定数いることも理解している。

感じ方は主観的なものなので人それぞれだが、謎を読み解くには周回も必要になるだろうし、体験重視の作品としては程よい長さであろうことは記しておきたい。

バグ

その場における「正解の行動」を取っているにも関わらず、ギミックが動作せず進行不能となるバグを確認している。根本的には修正待ちだが、回避策としては「チェックポイントから再開」することで解消される場合がある。

そもそも自分の取っている行動が正解なのかがわかりにくいので判断が難しいが、そこで出来ることをすべて行ったとしても進めない場合は、バグを疑って試してみてほしい。

総評

本作の開発元Jumpshipを率いるのは、かつて『LIMBO』や『INSIDE』を製作したPlaydeadの共同設立者だったDino Patti氏だ。

SF色がより強く出ているものの、この作品もまたどこか、かつて彼が関わった作品と共通する部分を感じさせる雰囲気をまとっていて、彼と彼の新しいスタジオが得意とする分野なのだと感じさせる。

繰り返すようだが本作はビジュアルのみで見せるタイプのゲームで、シナリオは難解で説明もない。ユーザビリティも正直良くはない。はっきり言って万人受けはしないだろう。

古典的なSFを好む、観察と想像と体験に重きを置けるようなプレイヤーにこそ、おすすめしたい。

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