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雑談力 その2 「テーマを決めずに頭の中にあることを言語化して深掘り」編

前回の「雑談力 その1 二言三言編」の第2弾です。
一応おさらいとしてこんな内容でした。↓


その時にもう一つのタイプとして触れていた、
「テーマを決めずに頭の中にあることを言語化して深掘り」
する雑談について今回は書こうと思う。

ポッドキャスト「となりの雑談」を聴いていただくとわかりやすいのだが、
軽くご紹介を。


出演はジェーン・スーさんと桜林直子さんのお二人。
テーマは決めずにとにかく気心知れた者同士が
話をどんどん深掘りして言語化していく、という流れ。
そこに正解を求めたり、何かを断じたりということはない。
話が転がっていくうちに、ふだん考えていることがまとまっていったり、
相手との考えの違いを通して自分を客観視するようなタイプのものだ。

話のとっかかりは、それこそ「その1」の方で書いたような、
天気の話題で始まったりする。

「寒いね」
「こう寒いと厚着になるからどうしても肩が凝るね」

といった具合の滑り出し。
またはお互いがいま飲んでいる飲み物はなんなのか、
といったようなライトな話題なども交え
その流れに乗って話題が徐々に転がっていく。
「その1」でも述べたが、こうしたアイドリングというのはやはり重要なのだとあらためて思う。

スーさんが仰るには
「話すことでも書くことでもいいので、とにかく一旦出してみることが大切だ」と。
彼女はこれを「脳外上場」と名付けているらしい。
脳の中で持っているうちは自分の持ち株は常にストップ高で、
「これ以上いいアイデアはない」
とか逆に
「こんなにダメなことはない」
と、なりがちなので、
脳の外に出して、書いたり喋ったり風を当てることで
意外に評価をもらえたり、
逆に全然読みが甘かったと気づいたりというふうに
変化してくる。
つまり
「雑談=自分の考えに風を当てるようなもの」
なのだ、と。

(この辺りのことはポッドキャスト「となりの雑談」Ep.2「脳外上場」でお話しなさっています)

私はこのくだりを聴いた時に、大きく膝を打った。
何かを解決しようだとか、アイデアを得ようなどとは思わずに
とにかく口に出して話していくうちに、
考えていたことの輪郭が徐々にハッキリしてきたり、
どうしても腹に落ちなかったことがストンと急に落ちたり、
ということが、私自身にも人と話しているときによくあるのだ。
きっと世の中の多くの人が体験したことがあるのではないだろうか。
一体どういうカラクリなのだろうと不思議でしょうがなかったのだが、
これは自分の脳内にあったもの取り出して見つめて風を当てたことで客観視できたのだな。

雑談は相手を必要とする作業だけれど、
「書く」という一人で行うタイプの作業で言うと
私のイメージは「脳外上場」ということに加え
「自分の頭の中にあるものの棚卸し作業」
ということにも似ていると感じる。
いったん、しまい込んであるものを全部出して並べて在庫チェックしてみる。
「これはもう要らないな」
「これ失くしたと思ってたらこんなところにあったのか」
「これはもう少し足しておかないといけないな」
「これずっと使ってなかったから朽ちそうになってるな」

……というふうに。
どちらにしても、自分の頭の中でずっと置いておくと発酵したり朽ちたりしてしまうのだ。
お気に入りのものを大切にしすぎてしまい込んでいると、
使ってないのに薄汚れたり劣化したりする、あれですよ。

私は仕事で、後進の育成業務をすることがたびたびある。
そこではゼミのような場を持ち、会話をたくさんする。
仕事でもあるし時間の制限もあるので、
テーマを決めずに話すというわけにはなかなかいかない。
でもやはり口に出していくことで周りの人間が
「あなたってこんなタイプの人なんだね」
ということがわかるのはもちろん、
発言した当の本人が
「私はこういうことを大切に感じていたんだな」
というふうに心の奥にあったものが浮き彫りになることがよくある。
それは案外テーマから話が逸れたときに発生することも多いのが面白いところ。
そしてテーマから逸れたようでいて、
マクロで見てみると結局は元の大きいテーマと通じていたりもする。

今回の記事の「頭の中にあることを言語化して深掘り」するタイプの雑談は
私の今後の人生の大きなテーマのひとつになりそうな気がしている。
仕事においてもプライベートにおいても。

コロナ禍が始まった頃は正直に言うと
「必要最低限なことのやり取りで済むって、面倒なことがかなり省かれてラクでいいな〜」
などと思っていた節もあった。

でもこの一見「面倒なこと」が人生のエッセンスだったとは。
コロナ禍以降の3年分の反動が来て、
私は今、人と話したい欲がものすごく高まっている。

そしてこうして「書く」ということについても、何か堰を切ったように
手当たり次第に「脳外上場」と「棚卸し」をしている。
noteはコロナ禍に暇に任せて始めたもののすぐ放置していたのが、今年のGW頃から再開。
10年以上前から書いていたgooブログも同じ頃から再開。

とにかく「こんなしょうもない話を聞かせるのは申し訳ない」だの
「こんな駄文を人様にお見せするなんて」だの
後ろ向きなことは思わないことに決めて、
とにかく出しまくっていこうと思っている。

#雑談 #雑談力 #となりの雑談 #ジェーン・スー #桜林直子 #会話

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