冬季号は創作が1本に、新連載もスタート! 連載、連作3本堂々完結。評論も充実!〈「小説TRIPPER」2023年冬季号ラインナップ紹介〉
◆創作
屋敷葉 「常時録画の愛」
将来を約束した恋人でもなく、一生食べていける仕事でもない。「交際」を「職業」にしているカップルYouTuberの雪葉と晃。偶然バズった動画配信を中途半端な気持ちのまま続ける二人だが、晃が化粧水のプロデュースに乗り出したことで、雪葉は「お笑い」への道を意識しはじめる。真の「相方」を探す現代の成長小説。
◆新連載
真保裕一 「共犯の畔」
ある国会議員の事務所で立て籠もり事件が発生、犯人はあっさり逮捕されるが黙秘を貫く。やがて33年前に行われたある地方での町長選が絡んでいること、さらに選挙はダム建設を巡って町が真っ二つに割れていた事実が判明する。犯人たちが黙秘を続ける本当の理由とは……? 時を超えて因縁が絡み合う長篇サスペンス!
◆連載完結
貫井徳郎 「ひとつの祖国」
分断されていた日本が統一され四半世紀以上が経つも、格差は一向に埋まらない。東日本の再独立を目指すテロ組織と意図しない形で関わることになった一条昇と、彼の幼馴染であり自衛隊特務連隊に所属する辺見公佑。二人の人物を軸に、人間の暴力性、悪意、善意が抉り出される――。24年5月に書籍化予定。
松井玲奈 「私のもしも図鑑」
「私は限定された物事にしか興味が持てないけれど、だからこそ生まれた私らしさがある」。ストローでの飲み方が人と違っていたり、落ち込むことがあると無心で料理をしたり――。毎日を過ごす中で自分を見つめ直す連載エッセイ。今回が最終回です。24年3月に書籍化予定。
◆連作完結
川上弘美 「明日、晴れますように」
2011年3月11日、りらと絵もまた震災を経験する――。それから十数年が経ち、大人になった2人は、どんな未来を見つめるのか。ささやかな人の営み、そのきらめきを描いた8年にわたるシリーズが遂に完結。小さな、子どもたちの世界を描く連作が、私たちを遠い場所へと連れていく。
◆評論
若林踏 「ツイてない殺し屋が現代にもたらす希望――伊坂幸太郎『777 トリプルセブン』論」
伊坂幸太郎氏の、最新刊『777 トリプルセブン』を含む<殺し屋>シリーズにおける「悪党」と「悪意」について、シリーズ全作を通じて論じる。