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【マンガ】「父さんはバカになっちゃった。だから面倒みてね」認知症の父がかわいいと話題

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 親が認知症になったら、どうなってしまうのだろう?
そんな不安を抱いたことのある人もいるはず。イラストレーターのあさとひわさんが描いたコミックエッセイ『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)は、レビー小体型認知症と診断された父(当時78)を母と一緒に支える実話です。

 認知症になったお父さんは、日付がわからなくなったり、同じことを何度も繰り返すようになったり、うまく歩けなくなったりしていきます。都内で一人暮らしをするあさとさんは、埼玉の実家に通ってお父さんを支えます。でも、介護の大変さ以上に読者の印象に残るのは、お父さんの「かわいらしさ」。

 たとえば、認知症と診断されて約1カ月後、実家に帰省したあさとさんは、食卓でお父さんと向き合います。「忙しいのによく来てくれたね」と言うお父さん。

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 なんだか文学的な表現であり、哲学的ですらあります。
そしてそのあと、お父さんはこう続けるのです。

「父さんは 昔はもっと がんばろうって意欲があったの」
「今はもう どうにかしようという気が、まったくなくなっちゃった」
「もうね 依存心があるばっかり」

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 認知症になったことを受け止め、「面倒みてね」と素直に甘えるお父さん。そんな姿が、「ほのぼのする」「お父さん、かわいい」と反響を呼んでいます。著者のあさとさんに、お話を伺いました。

――認知症は、ご本人が病気であることを受け入れられない場合も多いと聞きますが、お父さんはすぐに受け止めることができたんですね。

最初に行った病院では、父が「おかしい」と感じたことを伝えても、「年のせい」にされてしまい、理解してもらえずにつらかったのだと思います。だから、病名がついたことで腑に落ちたみたいです。

――お父さんの文学的な言葉遣いは、昔からですか?

どうでしょうか。あまり記憶にないんですよね。私自身、父が認知症になったことで、父の言葉に改めて注目するようになって、気づいたのかもしれません。
出てくる言葉にギャップがあるんですよね。認知症という病気を抱えているのに、こんなおもしろい表現できちゃうんだ!と思いました。

――お父さん世代の男性で、「面倒みてね」と素直に甘えることができる人は珍しいかもしれませんね。

開き直りともいいますね(笑)。父はたくさんいるきょうだいの末っ子で、小学校3年生まで母親におんぶしてもらっていたと聞きましたから、甘えることには抵抗がないんだと思います。でも、父のわがままや横暴なところも描いたつもりだったので、「かわいい」という感想は意外でした。

※発売中の『ねぼけノート 認知症はじめました』では、かわいいお父さんの様子はもちろん、ちょっとワガママな様子やそれに対するあさとさんやお母さんのぼやきエピソードも読むことができます。

みんなにも読んでほしいですか?

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